2月21日、渋谷のLINE CUBE SHIBUYAにて『越境〜BORDER CROSSING〜石田組 × SUGIZO』の東京公演が開催された。
解体前の渋谷公会堂としては隣接するNHKホールよりも歴史は古く、クラシック音楽の伝統とも呼ばれたこの場所で、2020年代のクラシックコンサートと呼ぶに相応しい公演が開かれた。21世紀以降のクラシック界を牽引してきた凄腕たちが集結した石田組は、演奏のクオリティは桁外れ、映画音楽やヘヴィメタルなどジャンルを横断するプログラムも非常に魅力的だ。
そして、SUGIZOは言わずと知れたLUNA SEAのメンバーにして邦ロック界を代表する名ギタリストであり、クラシック音楽に出自を持つことでも知られる。ファンならずとも誰もが納得する今回のコラボレーションであったが、実際のステージは観客の想像を超えるほどの緊密なアンサンブルが披露された。
SUGIZO原曲のLUNA SEAナンバーが散りばめられているのも堪らないし、SUGIZOの弾く「天国の階段」のギターソロなんてこんな機会がなければ聴くことはないだろう。
出色だったのは石田組のコンサートに欠かせないキング・クリムゾン「21世紀のスキツォイド・マン」。レコードに針を落とした瞬間に始まるあの不穏なノイズすら完全再現するという彼らの名レパートリーであるが、ここにSUGIZOのギターが重ねられると作品としての解像度がぐっと上がる。現代音楽の見本市のような混沌としたハードロック・ナンバーをクラシック音楽として成立させてしまう表現者としてのSUGIZOのセンスに脱帽させられた。
25日には大阪公演を控えている。今も彼らのサウンドが耳に残る。これだけで終わってしまうのは余りにも惜しい。
Text:小崎 紘一
<公演情報>
『越境〜BORDER CROSSING〜石田組 × SUGIZO』
※終了分は割愛
2月25日(日) 大阪・フェニーチェ堺
開演14:00
セットリスト
レッド・ツェッペリン「カシミール」
レッド・ツェッペリン「天国への階段」
ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」
バルトーク「ルーマニア民俗舞曲」
LUNA SEA「IN SILENCE」
シベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」
キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」
David Bowie「Life on Mars?」
クイーン「ボヘミアン・ラプソディー」
SUGIZO 「Synchronicity」
LUNA SEA 「I for You」
※演奏曲は予告なく変更になる場合がございます。
出演:石田組、SUGIZO
※石田組(ヴァイオリン:石田泰尚、佐久間聡一、塩田脩、ビルマン聡平、村井俊朗、伊東翔太/ヴィオラ:生野正樹、萩谷金太郎、長石篤志/チェロ:奥泉貴圭、弘田徹、塚本慈和/コントラバス:米長幸一)
プロデュース:立川直樹
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/ishidasugizo/