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『ステージぴあ10(テン)』で2023年の演劇シーンを振り返る!

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【ステージぴあ10(テン)】

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シアターゴアーなら見つけた瞬間手に取って熟読せずにはいられない【ステージぴあ】。チケットぴあが扱う演劇やミュージカルの情報、俳優やクリエイターのインタビューなどが掲載されているフリーマガジンだ。

この【ステージぴあ】創刊12周年を記念し、演劇・ミュージカルファンの投票による2023年上演・ベスト舞台作品のランキングやネクストブレイク俳優を発表するプログラム【ステージぴあ10(テン)】の模様が2月29日(木)20時よりPIA LIVE STREAMにてオンライン配信され現在はYouTubeにてアーカイブ版の視聴が可能となっている。(3月31日(日)23:59まで)。

【ステージぴあ10(テン)】

MCは片桐仁、アシスタントは斉藤ひかりが担い、2023年の演劇シーンを振り返るゲストコメンテーターとして須賀健太、中井智彦、上村由紀子(演劇ライター)の3名も出演。

なお、本レポートは【ステージぴあ10】にコメンテーターとして出演した上村の視点で執筆したものである。ランキング内容や2023年に各自が注目した舞台の内容などにも触れているため、その点ご留意いただきたい。

収録では【ステージぴあ】読者の投票により選出された<ミュージカル><演劇><小劇場>3部門のベスト10作品と<注目俳優>3名に加え、関係者が選ぶ<ネクストブレイク俳優>3名と【ステージぴあ】12年間の誌面登場回数ランキングが発表された。

新作と再演作がランクイン<ミュージカル>

まずは<ミュージカル部門>10位から2位までの発表。ランクインした作品を見守りながらそれぞれが印象などを語る。須賀さんが注目したのは『ウィキッド』(6位)。首都圏では10年ぶりの上演となった本作を2007年の初演時に観劇し1幕最後のナンバー「自由を求めて」でエルファバが空に舞い上がる姿に感動したそう。『ジェーン・エア』(10位)に出演した中井さんはせりふから自然に歌に移行するさまをプチ実演を交えて華麗に語り、その様子にMCの片桐さん、斉藤さんが感嘆の声を漏らす場面もあった。

須賀さん、中井さんがともに良かったと話したのが『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』(圏外)。派手なドラマは展開しないが、音楽家が舞台上で演奏し、せりふも語った演出が響いたとのこと。

<ミュージカル部門>には、新作と再演作品がほぼ半々の割合でランクイン。やはりグランドミュージカルが強いが、オリジナルミュージカル『SPY×FAMILY』(8位)に加え、濃密な2人芝居『ジョン&ジェン』(7位)が選出された点にも注目したい。また、『ラグタイム』(5位)や『ドリームガールズ』(圏外)といった、異なる人種間の問題が重要な構成要素になっている作品や、フルキャストオーディション『東京ローズ』(圏外)の公演が実現し評価を得たことに、日本のミュージカル界の成熟をあらためて感じさせられた。

多彩なラインナップが出揃った<ミュージカル部門>、果たして1位を獲得したのはどのミュージカル作品か?

まさかの事態が?<演劇>

続いては<演劇部門>10位から2位の発表。須賀さんのピックアップは劇団☆新感線・いのうえ歌舞伎『天號星』(4位)で、自身が新感線に客演したさいの劇場裏側エピソードなども飛び出した。中井さんはランク外の『赤ひげ』が印象的だったと語る。と、その後の<演劇部門>1位の発表なのだが、ここでまさかの事態が!そのまさかの事態とは何なのか、ぜひ配信などでご確認いただきたい。

<演劇部門>は10作品中8作品が映像でも活躍する俳優主演の舞台。さらに同じく8作品が日本の劇作家(脚本家)の手によるもので、未だ海外発の作品が強いミュージカルとの違いが明確になった。上村が推したのは『ジャンヌ・ダルク』(5位)と『笑の大学』(8位)。描かれる国や時代は異なれど、確実に現代日本と地続きの演劇作品だと感じた。

劇団系が強さを見せた<小劇場>

客席数400以下の劇場で上演された作品を対象にした<小劇場部門>。10位から2位の作品で、須賀さん、中井さんがともにプッシュしたのが『我ら宇宙の塵』(10位)だ。新宿シアタートップスに仕込まれたデジタルな空間で紡がれるミニマムと無限が両立する物語に多くの観客が胸打たれた。

<小劇場部門>での注目ポイントとして“劇団系の強さ”を挙げたい。10作品中4作の主催、もしくは母体が中堅~ベテランどころの劇団という結果にファンを獲得しながら集団創作を続けていくことの重みも実感。このターンでは『人魂を届けに』(4位)について語らせてもらったが、これもまたイキウメによる劇団公演である。

<注目俳優>(読者投票)+<ネクストブレイク俳優>(関係者投票)ではそれぞれ3名ずつの名前が挙がる。うち甲斐翔真さんと新原泰佑さんからは映像コメントも届いているのでこちらもチェックしてほしい。

この後【ステージぴあ】12年の登場回数ランキングの発表と、3つの部門の読者投票数総合第1位の作品がMC陣から発表され、当該作品のプロデューサーからのコメントが代読されたところでエンディングへ。

と書くと、非常にスムーズに収録が進んだように思われるかもしれないが、さまざまな方向からトークが飛び交い時にとんでもない方向に広がったり、MC・片桐さんの独自視点でのコメントやソリッドなツッコミ、アシスタント・斉藤さんの出演作エピソードに場が湧いたりと、真面目と笑いが混在する濃度の高い時間となった。オンライン配信では“演劇・ミュージカル愛”に溢れた5人がその思いをアツく(暑苦しく?)語るトークセッションの模様を時に頷き、時に裏拳を入れながらご覧いただければ幸いである。

3月1日発行の「ステージぴあ3+4月号」では【ステージぴあ10】ランキング発表に加え、あの人気俳優のコメントも掲載しているのでお楽しみに。また、【ステージぴあ10】ランクイン記念として一部の公演でオンライン配信も予定。続報は「ステージぴあ」の公式HPでご確認いただきたい。

さて、あなたが2023年に胸に刻んだ舞台作品はどのくらい登場しているだろうか。そして各部門第1位の作品は?

取材・文=上村由紀子(演劇ライター)