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『月岡芳年 月百姿』4月3日から 月にちなんだ物語を題材とした連作「月百姿」100点全点を紹介

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月岡芳年《月百姿 玉兎 孫悟空》(前期)

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幕末から明治期前半にかけて活躍し、とりわけ迫力ある武者絵で知られる浮世絵師・月岡芳年。晩年の芳年が「月」にちなんだ物語を題材として描いた「月百姿」の連作100点を前後期に分けて全点紹介する展覧会が、東京・原宿の太田記念美術館で、4月3日(水)から5月 26日(日)まで開催される。

人気浮世絵師・歌川国芳に入門した芳年(1839−1892)は、その優れた画力で早くから注目を浴びた絵師だ。武者絵、役者絵、美人画、風俗画と様々なジャンルで優れた作品を残したが、江戸から明治へと急激に変化する時代を生きた彼はまた、求めに応じて戦争画や事件画も多く手がけた。流血のある残酷なシーンや死骸を描いた「血みどろ絵(無惨絵)」の描き手としても有名だ。

これまで様々な切り口で芳年を取り上げてきた太田記念美術館が今回焦点をあてるのは、芳年晩年の代表作となる「月百姿」。和漢の物語や和歌、音曲、謡曲などに登場する月にまつわる百の場面には、平安時代や戦国時代の武将たちや絶世の美女たち、あるいは幽霊や妖怪などの不可思議な存在など、様々なテーマが登場する。同展は、その百の物語の多彩な世界を、描かれている題材を切り口として、わかりやすく紹介するものだ。

月岡芳年《月百姿 源氏夕顔巻》(前期)

大胆な視点から切り取った迫力ある構図が芳年ならではの作品も多くある一方で、美しい月夜の静謐感や、登場人物が見せる郷愁や悲哀、擬人化された動物の愛らしさなど、芳年の作風には様々な魅力があることを明らかにしてくれる作品も多い。浮世絵の需要が減る時代にあっても浮世絵を描き続け、「最後の浮世絵師」とも称された芳年が、最後にたどり着いた境地を堪能できる貴重な機会となることだろう。

さて、日本的な感性では、「月」とあらば、やはり「雪」や「花」も思い浮かぶ。同展では、雪と花を主題とした連作の紹介もある。雪にまつわる故事を題材とした「撰雪六六談」は、芳年の門人である新井芳宗の作、また花を連想させる美人を描いた「三十六佳撰」は、同じく門人の水野年方の作。師弟の作品を見比べられるのも楽しみなところだ。

新井芳宗《撰雪六六談 忠信なる哉》個人蔵(後期)
水野年方「三十六佳撰 湯あかり 寛政頃婦人」(前期)

なお、4月29日(月・祝)までの前期と、5月3日(金・祝)までの後期で、作品全点が展示替えとなる。お目当ての作品のある方はご注意を。

<開催概要>
『月岡芳年 月百姿』

会期:2024年4月3日(水)~5月26日(日) ※前後期で全点展示替え
会場:太田記念美術館
時間:10:30~17:30(入館17:00まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)~5月2日(木)、5月7日(火)
料金:一般1000円、大高700円
公式サイト:
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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