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Lucky Kilimanjaro・熊木幸丸インタビュー「今やりたいことはすぐにやらないと」

音楽

インタビュー

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熊木幸丸(Lucky Kilimanjaro) Photo:石原敦志

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「世界中の毎日をおどらせる」というテーマを掲げて活動を続けているLucky Kilimanjaro (ラッキーキリマンジャロ)。4月24日リリースのデジタルシングル「実感」(C/W「次の朝」)は活動10年目を迎えたラッキリの“今”と“これから”がリアルに刻まれた作品に仕上がっている。

4月21日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「Lucky Kilimanjaro YAON DANCERS 2024 supported by ジャックダニエル」、6月から7月にかけて全国ツアー「Lucky Kilimanjaro presents. 自由 “10” に踊ろう TOUR」を開催。新作、ツアーを軸に、ラッキリの現状について熊木幸丸(Vo)に話を聞いた。

――4月8日に熊木さんがX(Twitter)にポストした言葉(俺が歌詞で言ってること大体これ ・いいからやってみよう ・不完全を愛そう ・やり続けよう ・酒が好き ・踊るのはどうですか? ・踊れば良い ・踊ろう ・踊れ ・踊らにゃ損)がちょっと話題になってましたね。

そうですね(笑)。みんなわかってることだと思ってましたけど、意外と反応があって。

――「いいからやってみよう」「不完全を愛そう」「やり続けよう」というのは、そのままLucky Kilimanjaroにも当てはまるような気がします。

バンドだけじゃなくて、僕の物事に対する普遍的な考え方かもしれないですね。頭で考える範囲でできることって意外とないと思うんです。自分の体感が得られないとその先に行けないですし、まずは動いてみるというのが癖になっているのかもしれません。バンドもいろいろな相互作用のなかで動いていますし、そのなかでいろいろな作品や表現が出来ていく。実際にやってみないとアイデアも生まれないですからね。

――ライブも同じですか?

そうですね。いい意味で計画通りにはいかないですし、「こうなるだろう」と思っても実際にはまったく違うことが起きたりするので。そのなかで自分の知識や考え方が再編成されて、また次のライブをやって。そうやって少しずつ生物として変化しているような感覚もあります。

――なるほど。4月24日にはデジタルシングル「実感」をリリース。春から夏にかけてのツアーに向けた新曲という立ち位置ですか?

というより「10周年だね」という話からですね。10周年のスタートとしてどういう曲を出そうか? Lucky Kilimanjaroがこの先10年、さらにみんなと踊るためにどういう態度でいようか? ということを考えて。10周年といっても“ペーペー”だと思ってるんですよ。料理人だったら「これからようやく自分なりのものを生みだしていこう」という時期だと思いますし、バンドを10年やってようやくチュートリアルだなと。

――一通りの技術や知識を身に着けた段階だと。

はい。バンドとしてこれまでいろいろやってきて、これから何をしていくのか、社会、世間、お客さん、自分に向けてどういう音楽をやっていくのか。そういう領域に入っていくんだと思っています。何て言うか、自分たちの居場所みたいなものは少しずつ作れている感覚があるんです。音楽的な立ち位置、お客さんとのコミュニケーションを含めて、ようやく場所が出来つつあって。そこでさらに楽しむためにはどうするか? より多くの人と続けていくためには? ということも考えていますし、そのなかで僕はどういう音楽を作るんだろう?という。

――すごく大きいテーマですね。

自分としては割と自然ですし、そこまで気負ってるわけではないんですけどね(笑)。

――「実感」には「バンド活動10年目。喜ばしい継続の中でいつまでこの情熱に身を任せられるか、ということを考える」という想いが込められているとのことですが、これも今の熊木さんのテーマなんですか?

そうですね。それはバンドのことだけではなくて、「今日、何を食べたいかな」みたいなこともあって。人間って不安定ですし、ずっと同じ状態ではいないじゃないですか。僕がやりたいこと、表現したい音も変わり続けるでしょううし。“踊らせたい”という根本は変わらないにしても、その方法、手段っていうのはずっと変化していますし、今やりたいことはすぐにやらないと。そういうことを書いた曲でもありますね、「実感」は。今の情熱をまるで焦るように入れることと、それを長期的に続けることをどう存在させるか?という。

――「実感」はグルーヴ感も歌詞の響きもこれまでのラッキリとは違うという印象がありました。

確かにこれまでのLucky Kilimanjaroにはなかった曲だなと思いますね。「今やれるカッコいいことを入れる」という衝動的、刹那的な感覚と「長い時間軸で捉える」ということの両方をサウンドと展開でいかに表現するかを考えながら構成して。そういう音作りは初めてだったんですよ。今をめっちゃ楽しむこと、それを未来までずっと続けること。それが今の僕の音楽的な態度なんだと思います。

――なるほど。ライブのことも意識していたんですか?

音源のアレンジはほぼ全部僕がやっているので、ライブに向けてどう再構築してくかはこれからですね。制作のときにライブをイメージする瞬間もありますけど、それが縛りになるのはよくないと思っていて。作品は作品、ライブはライブという発想ですね、基本的には。完全に別の曲みたいになるのはアレですけど(笑)、ライブならではの良さを作っていけたらなと。

――バンドで演奏することで思ってもみなかった変化が生まれることも?

それを含めておもしろいのかなと。そもそも曲を作ってるときも、設計図通りに進めているわけではなくて。リズムの質感やスピード感は頭のなかにありますけど、最終的には違うものになりますし、イメージ通りのものだと楽しくないんですよ(笑)。「自分のなかにあるものだけでできちゃったな」という感じがしますし、それをやっても飽きてしまう気がして。「プラスアルファの何かが自分から生まれた」という喜びがモチベーションのひとつになっているし、それを追い求めることが大事なんだと思います。「実感」もそう。シンセの使い方や置き方も今までとは全然違うし、歌い方、サウンドデザインを含めて、これまでとは違うものができたので。

――それを続けることでバンドのイメージも変わっていく、と。

そうですね。バンドも人間も生ものですし、変化を味わいながら、それをどう拡張して再編成していくか。そういうところが楽しくてやっているんだと思います。

――カップリング曲の「次の朝」についても聞かせてください。“いろんなことがあるけど、必ず次の朝は来る。踊り続けよう”というメッセージは、まさにラッキリの本質だなと。

「実感」と同じ時期に書いてるのでテーマはある程度つながっていて。いかに踊り続けるか、「特に理由もなく踊るんでしょ?」という歌詞なんですけど、わざわざ説明することもないのかなって(笑)。

――確かに(笑)。

次の朝も踊るし、また日々が続く。それ以上のことは特にないんですよ(笑)。最初に話したX(旧Twitter)のポストもそうですけど、(歌詞を通して)そんなにたくさんのことは言ってなくて。要は「踊ろうね」ということをいろいろな角度から歌ってるだけなんです。「次の朝」はその極地というか、「僕らの音楽、こういうことだから」という曲かもしれないですね。

――この後はライブが続きます。まずは4月21日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「Lucky Kilimanjaro YAON DANCERS 2024 supported by ジャックダニエル」を開催。

2021年の4月に日比谷野音でワンマンライブをやらせていただいて。そのときの感覚がすごく残ってるんですよね。コロナ禍だったんですけど、日比谷に集まって、森のなかでみんなで踊った経験がバンドの糧になってる気がして。またあの場所でやりたいとずっと思ってたんです。まさに都会のオアシス的な場所ですし、踊るということがさらにはっきり浮かび上がるというか。

――10周年のアニバーサリー的な意味もある?

応援してくれてる人たちへの感謝もありつつですけど、さっき言ったように10周年なんてまだまだ新人ですし、野音は「ここから10年、こんなふうにやっていきます」という提案の場でもあると思っていて。6月からのツアー(全国ツアー「Lucky Kilimanjaro presents. 自由 “10” に踊ろう TOUR」)もそうですけど、これまでの総括というより挑戦の方が強いです。今回から導入する機材でたくさんあるんですよ。

――メンバーのみなさんとも「サウンドを変えていこう」という話をしてるんですか?

そこに関しては常に話をしていて。「もっとこうしたほうがいいよね」という会話はいつもしていますし、自然の流れのなかで変わっていくという感じですね。次のツアーのなかでも変化していくんじゃないかなと。

――ステージに立って演奏することに対する意識も時期によって変化している?

そうですね。以前はいかに自分たちを見せるかというところが強かったんですけど、だんだんお客さんとの相乗効果が生まれていて。皆さんから受け取るものもたくさんありますし、そういう相互作用のなかでその日の空気を作っていくというか。インタラクティブな楽しさがあると思います、今は。

――オーディエンスの“踊りたい”という気持ちも強まってるのかも。

それは前提というか、「踊りたくて来てくれてるんでしょ?」という信頼があるんですよね。もちろん「踊ったことがない」「ダンスミュージックをあまり聴いたことがない」という人もいるし、そういう人に向けてどういう音楽を届けるか?ということもずっと考えているんですけど、ライブではみんな自由に踊ってくれているし、それが新しいお客さんにも伝播して。そういう景色を見ることで僕らの演奏も変わってきますからね。

――ツアーもめちゃくちゃ楽しみです。この後の10年のビジョン、成し遂げたいことは?

正直、ビジョンみたいなものは全然ないんですよね。「こういう音で踊らせたい」「こんな空気を作りたい」というのありますし、そういう意味でやりたいことはたくさんあるんですけど。単純に「今、これおもしろい」ということを続けていれば10年経ってると思ってますね。

Text:森朋之 Photo:石原敦志

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<配信情報>
Lucky Kilimanjaro デジタルシングル『実感』

4月24日(水) 配信リリース

【収録曲】
1. 実感
2. 次の朝

<ツアー情報>
『Lucky Kilimanjaro presents.自由“10”に踊ろう TOUR』

6月8日(土) 大阪・大阪城音楽堂
6月14日(金) 北海道・Zepp Sapporo
6月16日(日) 宮城・SENDAI PIT
6月22日(土) 石川・EIGHT HALL
7月6日(土) 広島・CLUB QUATTRO
7月7日(日) 福岡・Zepp Fukuoka
7月12日(金) 愛知・Zepp Nagoya
7月15日(月・祝) 新潟・NIIGATA LOTS
7月20日(土) 東京・Zepp DiverCity

チケット料金:5,600円
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2449946

『Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “YAMAODORI 2024 to 2025”』

2025年2月16日(日) 幕張メッセ国際展示場 4・5ホール

FC先行受付中
チケット料金:7,800円(LKDC先行特別価格[継続割]:7,200円)
https://fc.luckykilimanjaro.net/

オフィシャルサイト:
http://luckykilimanjaro.net/

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