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【FREAKY & GROOVY vol.4】平部雅洋(reGretGirl)×仲川慎之介(時速36km)対談

音楽

インタビュー

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左から)平部雅洋(reGretGirl)×仲川慎之介(時速36km)

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他にはない視点で新たな景色を描くツーマンイベント『FREAKY & GROOVY vol.4』が6月19日(水) に、今年15周年を迎える新代田FEVERにて開催される。今回は様々な角度から失恋を描き、大いなる共感を呼んでいるreGretGirl、日常で生まれる鬱屈した想いを熱いロックサウンドで吹き飛ばす時速36kmの出演が決定。ライヴハウスで向かい合うのは初めてということもあり、reGretGirlから平部雅洋、時速36kmからは仲川慎之介というフロントマンによる対談を行った。

互いに異なるアプローチを見せるバンドのようではあるが、ルーツとなるバンドが重なっていたり、曲作りの起点やスタンス等、実はシンパシーを感じる部分も多いという。そんなふたりが打ち解け合い、鮮烈な1日になるであろうツーマンに向けて高まっていく様子をぜひご覧いただきたい。

――おふたりはイベントでの共演がありつつも、しっかりとお話されたことはないんですよね。

平部 そうですね。同じイベントに出たときも入りと捌けの関係で顔を合わせることはなくて。

仲川 だから、こうやって話すのは初めてです。

――では、お互いにどんな印象を持っていますか?

平部 時速とreGretGirlって、たぶんお客さんの感じがかぶっているか・かぶっていないか、微妙な距離感だと思うんです。時速の曲って、斜に構えたところがあるじゃないですか。

仲川 まあ……いや、まっすぐのつもりだったりもするんですけど(笑)。

平部 失礼なことを言ってすいません(笑)。

仲川 いやいや(笑)。

平部 あと、反骨精神、にじみ出る自己嫌悪感、言うたらポジティブなイメージはそんなになくて。鬱ロックっていう表現は言い過ぎですけど。

――曲の起因がネガティブな印象はありますね。

平部 そういうところで、失恋ばっかり歌ってるreGretGirlと近いところがある。まとっているモノは違えど、マインド的な根っこは似たモノがあるんじゃないか、とずっと思ってましたね。

仲川 僕も結構同じことを思ってて。(曲の発想が)マイナスなところからスタートしてるというのもあるし、そういう歌詞や想いを乗せるのがアッパーなサウンドだったりとか。それは我々もやる手法なんですよ。インプットもアウトプットも似通ってるところがあるかもしれないな、って。

平部 それは世代が一緒なのもあるのかな、と。2つぐらいしか変わらないですよね?

仲川 そうですね。僕が95年生まれの28歳です。

平部 僕は93年生まれ。あと、(時速には)BUMP OF CHICKENを感じていて。

仲川 好きですね。

平部 オルタナティブなバンプだな、ってずっと思ってるんですけど、自分も聴いてきたのでそういうところも刺さるというか。

――同世代というところで、ルーツ的に重なる部分も多そうですよね。

平部 reGretGirlの世界観は僕がback numberを聴いたのがキッカケで、あとはMy Hair is Bad、クリープハイプとか、日常っぽいのが好きではあるんですけど、高校生のときに聴いたバンプ、RADWIMPS、ASIAN KUNG-FU GENERATION、このへんはかぶってるんじゃないか、と。

仲川 あぁ、納得というか。reGretGirlって、歌をめちゃめちゃ大事にしてますよね。声も音のひとつと捉えていて、いい音を鳴らすためにちゃんと歌うことを意識してらっしゃるな、と思ってるんです。それもきっと、ルーツにバンプがあるからなのかな、と。僕がそうなんですよ。

――仲川さんのルーツと言うと?

仲川 まず、バンプを好きになって、そこから掘っていったときにまずthe pillowsにあたり、そこからLOSTAGE、オルタナティブの源流としてbloodthirsty butchers、NUMBER GIRL、eastern youthがいて。そのへんは聴いてましたね。

平部 僕もLOSTAGEは好きで。関西の大御所、伝説ですから。通り道がいくつか一緒なんだな、と。

――また、両バンドともひとつの答えを強く提示しないところも似ているのかなと感じてまして。寄り添うと言ってしまえば簡単ですが、聴いた人の生活の足しにして欲しい、くらいのテンション感があるな、って。

平部 あぁ、たしかに。誰かへ向けてっていうより、ふたりとも自分に向けて歌詞を書いてるからそういう風になるんかなと。さっき、back numberを好きになったと言いましたけど、それには深い理由があって。自分のことを歌ってるのに、それを周りが良いと思ってついてくるのがカッコいいなと思ったんです。だから、僕も自分のことを歌うし、誰かのために、というよりは「僕も等身大の自分でいるから、みんなもその状態で横におってくれよ」くらいのノリで最近は歌詞を書いてますね。

仲川 僕も近いというか、まったく一緒と言ってもいいぐらいですね。最初に好きになったのがバンプでしたし、その後に好きになったバンドたちもそうだし……僕、説教が嫌いなんですよ(笑)。

平部 ハハハハ(笑)。どれだけ責任を持ってるのか、みたいなのが気になりますよね。

仲川 絶対に正しいから言うことをきけ、みたいなのは……まあ、そんなことを言ってる人はいないんですけど(笑)、そういうのが透けて見えるのはあんまり好きじゃないな、って。あと、中学の同級生とへったくそなバンドを組んだとき、誰にも見せなくても曲を作って演奏してるのが楽しかったんです。だから、誰かに聴かれるもんじゃない、みたいな意識が根底にずっとあるんですよ。それこそ、いい曲ができてニヤニヤして終わっても良くて。でも、バンドに持っていけば曲になって聴いてもらえる機会が設けられるわけで。それがすげえラッキーみたいな(笑)。

平部 仕事にもなるし。

仲川 いまだに「何でかな?」みたいな感じもあって(笑)。そもそも「聴け!」みたいな意識になるクセがついてない感じですね。今、ついてないのはどうなんだろう、と正直思いますけど(笑)。

平部 でも、言ってることはわかるというか。僕も自分の歌を歌っているという点では一緒なんで。いちばん自分の曲を愛せるのは自分でありたいので。

――キャリアを重ねてもロックスター感は出てこないんですか?

平部 いや……思ったことないな(笑)。5年前に必死でアルバイトしながらバンドやってたときを思い返すと、今の生活なんて考えられないんですけど、上には上がいますし。さすがにステージに立ってるときは、オレがいちばんカッコいいぐらいのノリですけど、普段の生活が変わったりはしないですね。

仲川 まったく一緒な部分がありますね。僕は卑屈クセがめちゃめちゃあって、聴いてもらえるもんじゃない、というベースがあったから、良いねって言われても「マジ?」みたいな(笑)。でも、憧れのバンドが(対バンとして)呼んでくれるようにもなって、ちゃんとしなきゃという意識を最近は持つようにしてますね。「オレなんかが……」と言ってたら「じゃあ、そこをどけよ!」って言われるだろうし、ステージの上では卑屈ではいられないな、って。

――おふたりにとって理想とするヴォーカリスト像はありますか?

平部 それは模索中ではあるんですけど、先ほど挙げたバンドのヴォーカリストは憧れだし、ああそうなりたいなと思います。でも、自分のオリジナリティをしっかり持って、唯一無二の存在になっていかないと生き残れないから、日々勉強をしてます。

仲川 たしかに大事ですよね。僕はやっぱ、真ん中に藤くん(藤原基央)がいますね。信じる言葉があって、「100本映画を観たヤツよりも1本の映画を100回観たヤツの方が映画みたいな人生を送る」っていうのなんですけど、それが僕にとっては藤くんなんです。と言っても、僕の頭の中にある概念なんですけどね。今の藤くんの一挙手一投足を……見てはいるんですけど(笑)。

平部 めっちゃフリークやん(笑)。

仲川 でも、それとは別に、頭の中にはイマジナリー藤くんがいて。そこにガッカリされないようにやる、っていう。「オレはいいけど、YAZAWAはどうかな?」理論というか(笑)。

平部 あ〜、なるほどね(笑)。

――シンパシーを感じる部分があるというお話ですが、逆に自分にはできないなと思う部分はありますか?

平部 そうっすね……尾田栄一郎にハマる、とか(笑)。絶対にウチじゃ考えられない!

仲川 いや、それは僕らも考えられなかったですよ(笑)。

――尾田栄一郎先生が週刊少年ジャンプ巻末の「ジャンプ マイベスト3!!!」で今ハマってるモノとして時速36kmの「ハロー」を挙げたんですよね。

平部 さんざん言われてると思うんですけど、毎週大好きで読んでる週刊少年ジャンプに突然(時速36kmの)名前が出てきてビックリしました。これをちゃんと言うたら、根っこは一緒かもしれないですけど、求められる層がたぶん違うと思うんです。僕らはどちらかと言うと大きな母数を持つ部分に受け入れられようとしていて、たぶん受け入れられるんだろうな、と何となく思ってるんですけど、時速は自分らで突き上がっていく。自分たちが先頭を走って、社会現象を起こしていくようなところにいるんじゃないかと思っていて。

仲川 そんな大それたモノでは……嬉しいっすけど(笑)。

平部 えげつないプレッシャーを与えるようなことだけど(笑)。

仲川 僕らがマネできない部分と言えば、ある種、全部って言ってしまってもいいんですけど、やっぱり歌詞ですね。失恋という1本の軸でいろんなところへフォーカスしてる。これはどうやってるんだろう、と。僕らがやったら同じような曲になっちゃうんだろうな、って。

平部 恐縮です(笑)。

仲川 しかも、受け取り側もその多彩さをちゃんと理解してますよね。

平部 何か恥ずかしくなってきたな(笑)。でも、実はあんまり意識してなくて。同じことをやり続けてきた結果というか。最近は失恋以外も歌いたいし、そういう曲も出しているんですけど、それこそバンドを始めたときは失恋の一点突破でずっとやってたから、それが修行になったのかもしれないし。

――ツーマンという形式に対して、身構えるようなところはありますか?

平部 バンドも歴を重ねてきたので、最近は身構えるよりも楽しみが勝つようになってきましたね。結局、対バンは楽しいもんやし、どっちかを好きで来る人もいれば、どっちも好きで来てくれる人もいて、そういうごった煮感もその日しか生まれないじゃないですか。ライブってホントに生き物なんで、楽しみにしてますね。

仲川 これは人間的な部分が大きいんですけど、やっぱ、怖そうな人もいるじゃないですか(笑)。

平部 ハハハハ(笑)。

仲川 まあ、それは勝手なイメージだったりもするし、こうやっていろいろ喋ったんで(reGretGirlには)そういうことはないですけど(笑)。だから、こうなれば楽しみしかないですね。新代田FEVERは楽屋も広いし、一緒に酒とか飲めたら嬉しいな、ぐらいで(笑)。

――お互いのファンの属性はどうなんでしょうかね?

仲川 属性は違うような。でも、ちょっとですよね?

平部 くすぐったら、こっち来るやろ、ぐらいの。

仲川 だからか、大きくは違わないような。

平部 特にライブのスタンスでいうたら、何かイケそうな気がしてて。楽しみですし、喜んでもらえるんじゃないかな、と思ってますね。

――改めてになりますが、ツーマンへ向けての意気込みをお願いします。

仲川 お互いに違うところはあるかもしれないけど、そのズレは紙一重のところだったりするし、reGretGirlのお客さんには新しいモノを提示できるんじゃないか、と。しかも、そんなに受け取りづらいモノじゃないと思うんです。で、それは時速のお客さんにとっても同じというか。当日、しっかり自分らを示せるライブができれば良い日になるんじゃないかと思ってます。

平部 この対談で仲川くんもしっかり芯があるし、自信を持ってステージに立ってるバンドだということが改めてわかったし。僕もそこは意識してるんです。自分に自信があるヤツは絶対にカッコよく見えるんで。片方しか知らないみたいなことがあっても、絶対に重なり合えると思うから、化学反応と言ったらカッコよすぎるんですけど、その日にしかできないモノにしたいですね。

Text:ヤコウリュウジ


■■お互いのバンドの好きな楽曲3選■■

reGretGirl:平部雅洋が選ぶ “時速36km”の3曲

・銀河鉄道の夜明け
・アトム
・七月七日通り

時速36km:仲川慎之介が選ぶ“reGretGirl”の3曲

・グッドバイ
・バブルス
・best answer

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<ライブ情報>
FREAKY & GROOVY vol.4 ~ FEVER 15th ANNIVERSARY ~

2024年6月19日(水) 新代田FEVER
18:30開場/19:00開演
出演:時速36km、reGretGirl
※入場時ドリンク代別途必要

■オフィシャル抽選最終先行:4月29日(月・祝) 23:59まで
https://w.pia.jp/t/freaky-and-groovy-v4/

関連リンク

reGretGirl公式サイト:
https://www.regretgirl.com/

時速36km 公式サイト:
https://www.36kmperhour.com/

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