2.5次元舞台をまたひとつ進化させるExperimental Theater「結合男子」
ステージ
ニュース

Experimental Theater「結合男子」ゲネプロ公演より (撮影:吉田沙奈)
続きを読むフォトギャラリー(14件)
すべて見る2023年に発売し、瞬く間に話題沸騰となったスクウェア・エニックス原作の友情結合シミュレーションアドベンチャーゲーム『結合男子』。元素の力を宿す10人の志献官たちが、万物を呑み込み虚無へと還す『デッドマター』から世界を救うため、命をかけて戦う物語だ。初の舞台化となるExperimental Theater「結合男子」では、演出・松崎史也、脚本・三浦 香、振付・福澤 侑(REX)、プロデューサー・荒牧慶彦がタッグを組み、若手から実力派の多彩なキャストが顔を揃えている。
初日を前に、演出の松崎史也、高橋祐理、高野渉聖、早乙女友貴、荒牧慶彦、福澤 侑による囲み取材とゲネプロが行われた。
原作ファンも初めて触れる方も、誰もが楽しめる物語
開幕に向けて、高橋は「稽古初日から今日までやってきたこと全てをお届けできたら良いなと思っています。千秋楽まで全力で駆け抜けていくのでよろしくお願いします」、高野は「初日から先輩方にいろいろ教えていただき、自分自身も成長できたと思います。それを全部ぶつけるので、ぜひ皆さん楽しんでください」と意気込む。早乙女は「アクション、ダンス、歌、舞台設備や映像、照明など盛りだくさん。原作を知らない方にも楽しんでいただけると思います」、福澤は「新しいものが見られるんじゃないかと思います。誰が見ても楽しい作品になっていると思います」、荒牧は「若手俳優たちのフレッシュさや情熱あふれる姿を素敵にお見せできると思います。フレッシュなパワーを受け取っていただき、共に楽しんでいただけたら。そこに僕らも力を託して素晴らしい作品を作り上げられたと思っています」と自信を覗かせる。

今回、松崎と脚本の三浦、福澤、荒牧らクリエイター陣は初めてのタッグとなっている。松崎は「お客様に誘導ライトを持っていただく演出は打ち合わせの中で生まれたアイデアです。光の力がみんなを導いて結び、結合が起こる・舞台が輝くという見どころを、プロデューサーとしての荒牧さんたちと一緒に作れたのがすごく良かったと感じています」と話し、続く福澤は「個人的にも大好きな方々と一緒に作ることができて楽しかったですし、このメンバーじゃないとできなかったことが多いと思います。今回はいろいろな面で携わらせていただきましたが、全勢力で挑んだので、楽しみにしていただけたら嬉しいです」と呼びかける。
荒牧は「信頼できるクリエイター陣の作るものや生み出すものの素敵さを改めて実感しました。今回は実験的な要素がたくさんあります。最初はぼんやりしたプロットだったのを、自信を持ってお出しできるものに昇華できたことが誇らしいです。今回は光の演出で皆さんに一媒人として参加していただけます。また違った観点で楽しめるんじゃないかと思っています」と語った。
見どころを聞かれると、高橋は「あらゆるエンタメ要素が詰め込まれています。素晴らしい陣営の中で大切な役をいただけたのが嬉しいです。素敵な化学反応を媒人の皆さんと起こせるように頑張ります」と意気込む。
高野は「僕は個人的に、結合するシーンが大好き。こんなに輝かしいシーンを自分が演じられるなんて、こんなに誇らしいことはないです。きっと皆さんも大好きだと思うので、そういった意味ではお客さんと僕はすでに結合しているのかなと思います!」と笑わせていた。

早乙女は「個人的にはやっぱり福澤侑のダンス。侑のダンスを見ていただければもう大丈夫。そこが一番の見どころだと思っています」と推しポイントを挙げ、荒牧は「舞台業界に必要な要素の一つとして若手がどう台頭していくかがあると思います。経験を積んでいないからこそ醸し出せる雰囲気や情熱が確かにある。フレッシュな若手たちが自分なりにキャラクターを解釈して最大限のパワーで表現してくれるのが嬉しいですし、それがお客様にも伝わると思います」と期待を寄せる。
福澤の「ボス(荒牧)が挑戦する新しいエンタメを、いろいろな方が関わった大きなプロジェクトとして皆さんにお届けできるのが嬉しいです。僕はこの作品をアトラクションだと思っています。ぜひ楽しんで帰っていただけたら」という言葉に松崎も頷き、「2.5次元演劇を前に進めるという心意気で作ってきました。スピーディーだけど中身が盛りだくさんで、まさにアトラクション。こんなにやるんだと思っていただけると思うので、ぜひ劇場で体験してほしいです」と締め括った。
ゲネプロレポート
会場に足を踏み入れると目に入るのは、客席のあちこちに設置された誘導ライト。ゲームのプレイヤーである媒人が持つガラス管をモチーフにしたアイテムがさまざまな色に光っており、作品の世界に誘われる。
物語は記憶をなくした媒人(=観客)が志献官たちと出会うことから始まる。キャラクターたちが媒人に話しかけてきたり、媒人の選択で展開が変化したりと、観客の没入感をアップさせるような仕掛けが用意されている。さらに、作中の自己紹介ペアナンバー「化学反応式」は回によって組み合わせが変化。毎公演に特別感があるのも本作の大きな特徴と言えるだろう。

キャスト陣は個性豊かなキャラクターを魅力的に表現しており、それぞれが気になる存在だ。今回は源 朔と安酸栄都を中心に据えた物語になっているが、キャラクター同士の距離感や関係性が垣間見えるやりとりに、「この二人の話も知りたい」「このキャラクターの背景には何があるんだろう」と興味をそそられる。

また、戦いはダンスや殺陣、光の演出で表現されている。一人ひとりのスタイルや個性が楽しめるシーン、コンビネーションやチームワークが光るシーンまで、多彩なパフォーマンスに圧倒された。キャラクターが扱う武器の豊富さによってアクションの幅も広がっており、非常に見応えがある。
迫力のあるアクションと人間ドラマ、シリアスな中に差し込まれる笑いと、見どころたっぷりな本作は5月7日(火) から5月13日(月) まで日本青年館ホール、5月17日(金) から5月19日(日) までCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演。初日と大千穐楽はDMM TVで独占ライブ配信も行われる。
取材・文・撮影:吉田沙奈
<公演情報>
Experimental Theater「結合男子」
東京公演:2024年5月7日(火)~5月13日(月) 日本青年館ホール
大阪公演:2024年5月17日(金)~5月19日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
フォトギャラリー(14件)
すべて見る