まなつ×CULTURES!!!×極東飯店の3バンドがリベンジライブ 『Grasshopper』オフィシャルレポート
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「Grasshopper vol.20~Re-jump~」4月22日下北沢DaisyBar Photo by 清水舞
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すべて見る2024年4月22日に下北沢DaisyBarにて、「Grasshopper vol.20~Re-jump~」が行われた。ちなみに既にvol.21は2月に、vol.22は3月に終了しており、5月27日にvol.23が開催される。
それなのに何故また今回がvol.20なのか。実は1月に開催されたvol.20では、まなつ、CULTURES!!!、極東飯店での開催予定だったが、極東飯店が当日キャンセルとなり、まなつとCULTURES!!!のツーマンとして開催された。
これはこれで盛り上がりを見せたのだが、「改めてこのスリーマンでしたい!」という2組とGrasshopperチームの熱い思いが合致し、急遽vol.23ではなく、vol.20のリベンジマッチとして、同メンツで開催することとなった。
その思いを込めて、”Re-jump”という新たなタイトルを追加し、ある意味これまでのGrasshopperとは違う意味を持ったイベントとして、今回行われることになった。
冬越えて叶った念願の気持ち×既にある信頼関係の元で行われたからこそ生まれた強い熱狂。そこに関西からやって来た初Grasshopperレポートの私は圧倒された。今回はその記録である。
まなつ
1組目は1月とは違い、町田出身スリーピースロックバンド・まなつが担当。登場して曲に入る前にいたやボーイ(Vo.Ba)は「リベンジマッチって言うなら、1等賞取らないといけないでしょ!」と叫び、1曲目『夢で見たような』をプレイ。初っ端から全身全霊でロックンロールを見せつけて、フロアも高々と掲げた拳で応える。
その熱そのままに『レボデス』に入る。その繋ぎが本当にパワフルなまま繋がれるので、見入って汗拭う暇もなかった。ここにライブバンドとして評価される実力を見た。楽曲もサビの”TONIGHT TONIGHT TONIGHT”というフレーズのリズムが良くてノリやすく、さらに会場の一体感が増した。
そして3曲目『アイラブユー』も、ほたて(Dr)の力強い〈タンタンタタタン、タタタタン〉のドラムのキックのリズムの入りで、すぐに心を掴まれてしまう。この曲のサビでは手拍子も発生し、3人の躍動感もどんどん増していった。
MCでいたやボーイは、「前回もCULTURES!!!とライブでぶつかり合って仲良くなれて良かったんだけど、やっぱり3組でやれないことに心残りがあった」「その日の打ち上げで「この3組でやりましょう!」って言ったら、ぴあさんもすぐ「やりましょう!」と答えて、すごい勢いで会場取っていた」「ぴあがバンドマンと同じ気持ちだったのが、すごく嬉しい。皆さんも今日は同じ気持ちでいてくれたらと思います!」と、信頼関係を感じるMCの後に披露されたのが『ナイトライダー』。
“ひとつになる日が来るから!”“夜はこれから”とMCの言葉で、曲中の歌詞で、この場にいる全員がこの日を一緒に最高にする仲間だということを認識させてくれる。
5曲目『夢のしるし』を終え、再びMCへ。「大事な時間は呆気なく過ぎ去る。だからこの瞬間を、今を大事に」と『ブルーメモリー』を演奏。
ここまでの雰囲気とは少し違い、深い青色の照明に照らされるのもあって、寂しさや後悔をじっくり吐き出しているように見えたが、その青色の照明に少しずつ明るい白色や赤色の照明が混じっていく構成が、それでも前を向いて生きていく人間のストーリーに重なる。
そして「ロックバンドなんかに救われない人生でありますように!あなたを救うのは、あなた自身でありますように!」と『ヒーロー』をプレイ。いたやボーイが、アリー(Gt.Cho)が、ほたてが、最後の力と言わんばかり思い思いのプレイでフロアを煽る!
これで実は終了の予定だったが、「2分あるよ、2分あるよ!」と急遽『旗揚げ』を追加演奏。このライブ全体のメッセージにも感じた、自分の機嫌は自分で取ろうぜ!というスタンスの答え合わせの如く、全員が更に自由でアグレッシブなプレイを見せる。フィニッシュで、いたやボーイは倒れ込んだ。完全燃焼。
熱量の高いライブパフォーマンスの中にも、誤魔化しの効かないスリーピース編成でしっかりブレないギターとアクセントとなるコーラスを見せるアリー、パワフルさと笑顔で支えるドラムの紅一点のほたて、そしてメッセンジャーとして前線に立ついたやボーイは、春の夜に熱く輝く一番星だった。
〈セットリスト〉
1.夢でみたような
2.レボデス
3.アイラブユー
4.ナイトライダー
5.夢のしるし
6.ブルーメモリー
7.ヒーロー
8.旗揚げ
CULTURES!!!
2組目は千葉県佐倉市4ピースバンドCULTURES!!!。ボーカルを除く3人が位置についた後、梅本(Gt)による『DIVE』の甲高いギターイントロが鳴り、遅れて佐藤(Vo.Gt)が登場。
この曲はハンドマイクなこともあり、登場するやいなや柵に登り「踊ろうぜー!」と、まなつと負けじにトップギアからのスタート。「この瞬間だけは紛れもなく幸せです!」と佐藤は話したが、その幸せをフロアの1人1人と分かち合うように歌う。
2曲目『SPRINT!!』でも「遊ぼうぜー!」と会場のテンションは継続。ただその勢いに佐藤のギターのストラップが耐えきれず、急遽途中から再びピンボーカルスタイルで対応。
3曲目『2017』に関しては途中梅本はアドリブのギタープレイで対応するなど、こちらも現場で鍛え上げられたライブバンドの底力を見せる。フロアも歌って助け合っていたが、正直CULTURES!!!初見の私からしたら、普段からこんなんじゃないの?充分カッコいいんだけど!と思って拳上げて見ていた。問題ないように支えていた横山のベース、田櫓のドラムも目を見張るものがあった。
MCでは「前回はまなつのベースがこんなことになっていた」とエピソードを話す。ただ今回違うのは、なんと極東飯店の土肥(Gt)の活躍により、このMCの間に佐藤のギターが復活したのだ。これもまた対バンライブの面白さか。
「まなつの言う通り、最後に自分を救うのは自分自身だと思う。その途中で俺等を頼ってくれ」という言葉と共に演奏された『hikariare.』、“この瞬間のために生きてるんだって”“これ以上の幸せはいらないよ”と力強く歌う『Pray for me』は、まさにフロアも含めた今日のGrasshopperの結束力や各バンドのヒーロー性を象徴するメロディ。
後半もライブハウスならではの感情のキャッチボールが続いていく中、『ぼくらの戦争』でクライマックス。かつて佐藤は「勝ち負けでしか価値が分からない人だった」と話したが、それ以上の価値があることがロックバンドの演奏にあることを伝えてくれた。そしてそれはきっと誰もが持っている個性にもあるということも。それが分からなくなった時が来たら、CULTURES!!!の音楽に任せよう。
と、本来ここで終わる予定だったがCULTURES!!!も急遽『ランナーズハイ』を追加! 駆け抜けるような演奏で締めた。
佐藤は「いつか常にぴあに頼まないといけないくらいチケット予約が来るバンドになって、武道館でやる時は、ぴあで予約した人だけドリンク付けます!」と宣言。もう全国のどんなロックバンドとも、ぶつかり合える実力を持ち合わせている。まだ呼んでいないライブハウスの都道府県がいたら呼びましょう。
〈セットリスト〉
1.DIVE
2.SPRINT!!
3.2017
4.hikariare.
5.Pray for me
6.ぼくらの戦争
7.ランナーズハイ
極東飯店
リハーサルから一際デカく重い音を轟かせる。そのまま板付きで「長かったね。お疲れ。」と、いおん(Vo.Gt)の一言でライブスタート。
1曲目『嫌』の伸びやかなんだけど、クセのある歪んだギターのイントロで、あっという間に抜け出せなくなる世界観を創り上げる。「この曲に関してはサビでワーってなったら嬉しい」と、いおんは話したが、言われるまでもなく反応するフロアに自然と笑みが溢れる。
2曲目は『ネコも食べない』。懐かしさや異国情緒も混じってるような得も言われぬ浮遊感がある。3曲目は『カンフースクワッド』。ゆったりとしつつも一段上がった轟音がじわじわと体に焼き付いていく感覚がある。ミステリアスな赤い照明と相まったのもあるだろう。
簡単にジャンルの括れないバンドサウンドが会場を包み込んでいく。いおん、土肥、ちょー(Ba)、タチバナ(Dr)の4人の丁度良く飄々とした感じがまた、その音楽性に納得感を出す。
いおんはMCでメンバー紹介した後、「まさかぴあがこんなライブハウスのイベントのリベンジを軽々しくやるのが意外だった」と話す。そして「俺は好きなんだけど、ライブでは盛り上がらない曲」というまさかの説明をしてから、『恐竜はダイナソー』で中盤戦がスタート。
ここまでの3曲とは違ったクリーンで抜けたギターと、あのユーミンの名曲へのリスペクトを感じるフレーズが印象的。たしかに爆発的に盛り上がる曲ではないかもしれないが、聴いてて右肩上がりでワクワクしてくるし、教育テレビの恐竜特番の曲に使ってほしい耳馴染みの良さがある。小学生も好きになれる曲だと感じた。
5曲目『video2』は、ゆったりと抱きしめるような入りから、土肥(Gt)のギターが炸裂する。ここまで極東飯店の音を食らうことで開いた穴という穴に染み込むような、ここで持ってくるのがズルいとさえ思った1曲だった。
ここで恐らくぴあ側からの要望もあって、「極東飯店はアンコールやんないんですけど、その代わり今から追加でやっていいですか?」と、『シュガー』『Mia,I'm ready』を披露。『Mia,I'm ready』では手拍子が起こるなど、この太っ腹サービスにフロアも最後まで楽しむ。
「あと1万曲したい。2時間したい」と惜しんだ最後に演奏されたのは『92』。きっとあらゆるジャンルから洗練したことで生まれた、聴いたら1秒で心がスパークする安心感さえある強いサビはラストにもってこい。そして土肥は途中から柵を登り、ギターを弾き倒し続けていた。
飄々としつつも、所々感情が見え、何よりテクニックの高さもあって、最後まで底の見えない4人の存在感があった。ただ1つ間違いなく言えるのは「こんなヒーローがいてもいい」ということ。まなつとCULTURES!!!の出した火力とは違うけど、彼らもまた困った時に頼れる音楽をしていた。
〈セットリスト〉
1.嫌
2.ネコも食べない
3.カンフースクワッド
4.恐竜はダイナソー
5.video2
6.シュガー
7.Mia,I'm ready
8.92
どのバンドもセトリに急遽追加するし、ハプニングもあったしで、1月のvol.20と変わらず、予定調和なことが全然なかった1日となった。でも「これもなんかGrasshopperと、この3組っぽいな」と笑い飛ばせる幸せな満足感に溢れた空気があった。
恐らく今日の3組とぴあは、またどこかで巡り合うだろう。そこは更にジャンプアップしたステージとなっているはずだ。その場には4/22下北沢DaisyBarで同じ気持ちで楽しんだあなたと、このレポをここまで読んでくれているあなた、どっちもいてほしいと私は願う。
Text by 遊津場 @sakidori_yutuba Photo by 清水舞
<次回の公演>
『Grasshopper vol.23』
5月27日(月) 下北沢CLUB Que
出演:WOLVEs GROOVY/ゴホウビ/宇宙団
■チケット情報:
https://fan.pia.jp/grasshopper/ticket/detail/29/
イベント公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/
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