新しい“映画との出会い”がきっとある！
月イチ！“ぴあテン”ランキング
2024年4月公開の「みた」映画ベストテン！

エンタメの出会いと発見を提供する「ぴあアプリ＆Web」のランキング企画『月イチ！“ぴあテン”ランキング』！　「ぴあアプリ＆Web」でいつも映画のレビューを執筆していただいている「水先案内人」合計27名の皆様に、2024年4月公開の「みた」映画の中から特に良かった作品、好きだった作品、高く評価している作品を投票していただいたベストテンを発表します！

本企画は、毎月中旬頃に発表予定。同じく「水先案内人」の皆様に聞いた「これからみたい」映画ベストテンも、毎月末～翌月初旬に発表します。ふたつのランキングで、映画ツウたちがみた上で高く評価した作品や期待している作品をチェックして、新しい“映画との出会い”をお楽しみください！

【ランキング投票方法】
水先案内人合計27名に2024年4月公開の「みた」映画の中からそれぞれがベスト3までを挙げていただき、1位：5点、2位：3点、3位：2点のポイントを付けたうえで集計したもの。対象は2024年4月1日～4月30日に日本で劇場公開された作品で、映画祭や特集上映での公開作、配信のみの作品、ブルーレイ・DVDのみでの発売作品は含みません。

ぴあ水先案内人27人が投票！
2024年4月公開の「みた」映画ベストテンはこちら！

1位

悪は存在しない

公開日：2024/4/26(金)

37pt

2位

パストライブス／再会

公開日：2024/4/5(金)

28pt

3位

プリシラ

公開日：2024/4/12(金)

20pt

4位

異人たち

公開日：2024/4/19(金)

17pt

同4位

青春

公開日：2024/4/20(土)

17pt

6位

アイアンクロー

公開日：2024/4/5(金)

15pt

同6位

リンダはチキンがたべたい！

公開日：2024/4/12(金)

15pt

同6位

正義の行方

公開日：2024/4/27(土)

15pt

9位

エドガルド・モルターラある少年の数奇な運命

公開日：2024/4/26(金)

12pt

10位

システム・クラッシャー

公開日：2024/4/27(土)

11pt

【ランキング総評】
2024年4月の「みた」映画ランキングは、濱口竜介監督がヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した『悪は存在しない』が37ptを獲得し第1位！選者27名のうち9名が投票しており、そのうち5名が1位に選出。同作は「4月のこれからみたいランキング」でも1位となっており、鑑賞前の期待と鑑賞後の満足が合致した形。リゾート施設開発にゆれる山間の町の人間模様を描き、「濱口竜介監督ならではの視点と語り口を堪能」（イソガイマサト）、「ラストシーンに戦慄した」（堀晃和）という声があがった。

第2位の『パストライブス／再会』は、米アカデミー賞で作品賞・脚本賞にノミネートされた「人の縁（えにし）」がテーマのラブストーリー。「──みたいランキング」の8位から順位をあげ、「丁寧な描写のせいか、グッときてしまった」（相馬学）というコメントが寄せられている。期待を大きく上回る面白さ、といえる作品だ。

第3位は『プリシラ』。エルヴィス・プレスリーに見染められた14歳のプリシラが成長していく姿を描く本作に、多くの票が集まった。

また、「──みたいランキング」でランク外だった『正義の行方』と『リンダはチキンがたべたい！』が第6位に浮上したことも興味深い。「飯塚事件」を多面的に描くドキュメンタリー『正義の行方』は、投票した3名が全員第1位に選出している。

ぴあ水先案内人から寄せられた選出コメント

イソガイマサト
フリーライター

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①霧の淵
②悪は存在しない
③アイアンクロー
【選出コメント】
①はミニマムな世界観と最低限な設定で映画の豊かさを示した傑作。今年上半期いちばんの収穫だ。②では、濱口竜介監督ならではの視点と語り口を堪能。③は漫画『タイガーマスク』にも登場した、伝説的プロレスラーの呪われたエピソードの数々に驚愕。フィクション以上にドラマチックな人生をじっくり描いていて見応えがあった。

伊藤さとり
映画パーソナリティー

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①正義の行方
②システム・クラッシャー
③リンダはチキンがたべたい！
【選出コメント】
①当時、関わった警察や弁護士、新聞社、当事者の妻という多角的検証であぶり出す人間の正義感と危うさを痛感。②手持ちカメラでの少女の人との距離感、未来を案じつつも社会からこぼれてしまう子供の問題を突きつけられました。③柔らかなタッチと単色の世界で、親と子の感情を見事に表現したアートアニメに胸打たれました。

植草信和
フリー編集者（元キネマ旬報編集長)

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①システム・クラッシャー
②プリシラ
③あまろっく
【選出コメント】
①L・ブレア、J・フォスターに勝るとも劣らない「壊れた少女」を演じたヘレナ・ゼンゲルの演技には心底驚嘆させられた。②プレスリーのドイツ時代に興味津々。プリシラに扮したケイリー・スピーニーは本当に可愛かった。③古典落語から飛び出たようなオッサンを好演した鶴瓶、その娘の江口の掛け合いが絶品。ほのぼの感が嬉しい。

相馬学
フリーライター

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①マンティコア　怪物
②インフィニティ・プール
③パストライブス／再会
【選出コメント】
①思考と表現の境目をなくすネット社会の弊害について思いをめぐらせたり、真の怪物とは誰かと考えたり。ともかく、激しくザワつく逸品！　②ヘンタイのベクトルこそ異なるが、さすがクローネンバーグの息子！　ミア・ゴスのサディスティックな怪演だけでも見る価値あり。③恋愛映画には心動かされないタチだが、丁寧な描写のせいか、グッときてしまった。

中川右介
作家、編集者

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①ゴジラ×コング新たなる帝国
②悪は存在しない
③ブルックリンでオペラを
【選出コメント】
①1960年代後半の、お子様向け映画時代のゴジラ映画に似た感じで、なつかしくもバカらしくて、楽しんだ。②映画は、映像と音（音楽を含む）とで表現されるものだ、と再認識させてくれる。面白いかどうかは別だが、記憶に残る。③いまのアメリカは病んでいるけど、希望がある国なのが、うらやましい。脚本、俳優、演出が完璧。

堀晃和
ライター（元産経新聞）、編集者

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①悪は存在しない
②システム・クラッシャー
③リトル・エッラ
【選出コメント】
①恐らく観る者全ての予想を裏切ったであろうラストシーンに戦慄した。ただ、最も感銘を受けたのは中盤のドライブのシーン。車内で心情を吐露する様子に鼓動が速くなった。②怒りと悲しみ、2つの感情を表現したトラウマを持つ少女の演技に尽きる。③サッカーが得意な女の子エッラが、実のおじさんに寄り添う姿が愛らしい。

真魚八重子
映画評論家

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①異人たち
②No.10
③エドガルド・モルターラある少年の数奇な運命
【選出コメント】
①は観終わってしばらく経ってから、妙に侘しくて悲しくなってしまった。窓から見える街の灯りの美しさ。②はクライマックスで（ウヘー……）となってから、ヨッシャ！の展開が見事。それがどういうことかはネタバレになるから全然説明できないけれど。③は成長した主人公が無垢ではなく空っぽでいい。

村山匡一郎
映画評論家

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①悪は存在しない
②青春
③越後奥三面-山に生かされた日々〈デジタルリマスター版〉
【選出コメント】
①ゆったりとした映画的時間の流れ。そこから浮き上がる自然と人間の時間的なズレが心を揺さぶり、何とも刺激的だ。②中国経済の高度成長を下支えする農村出身の若者たち。彼らの姿が中国社会のリアルな実態を映し出して面白い。③今は失われた日本の地方生活の原風景が40年前の民俗誌映画で鮮やかによみがえる。まさに映画の力だ。

よしひろまさみち
映画ライター

2024年4月公開の「みた」映画ベスト3
①異人たち
②パストライブス／再会
③94歳のゲイ
【選出コメント】
①人生の一作、といえる映画が久しぶりに。舞台とセクシュアリティを変えたことで大林版よりもグッと“孤独”が際立つ最強演出・脚本・編集。さすがおヘイ。②同窓会で会った懐かしの顔の変貌ぶり、みたいな気分に。実体験であるだけにつらい。③差別偏見がどれだけ人の人生を変えてしまうかを映し出した傑作。