『ロートレック展 時をつかむ線』SOMPO美術館で開幕 世界最大級の個人コレクションからポスター、素描など約240点を公開
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展示風景より
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すべて見る19世紀末のフランスで活躍した画家、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの展覧会『フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線』が、6月22日(土)よりSOMPO美術館で開催されている。個人コレクションとしては世界最大級のフィロス・コレクションから約240点が展示される。
南フランスのアルビで伯爵家の息子として生まれたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864〜1901)は、20代で画家を志しパリへ。モンマルトルにアトリエを構え、そこで生きる歌手や芸人、娼婦たちを描き、一世を風靡する。奔放な生活により肉体や精神が蝕まれ、わずか36歳で亡くなってしまうも、膨大な作品を残している。
この展覧会は、ロートレック作品のコレクターとして国際的に名高いベリンダとポール・フィロス夫妻によるコレクションで構成されている。20年にわたり夫妻が収集した作品は300点以上。そのなかでも、素描を中心に、紙を支持体とする作品群が多いことが特色のひとつだ。夫妻のコレクションによる展覧会は、日本では初めての開催となる。
展覧会は5章構成。第一章「素描」では、100点を超えるロートレックの素描作品を紹介する。ロートレックは生涯に5000点弱の素描を描いたが、フィロス・コレクションはなかでもより上質な紙作品を重点的に集めている。綿密に描かれたスケッチや、ポスターの下絵など完成度の高いものから、ユーモラスな落書きなどまで、貴重な「1点もの」が数多く展示されている。
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かわいらしいおじさんは、ロートレックの父親、アルフォンス・ド・トゥールーズ=ロートレックの似顔絵。ユーモラスななかにも、対象の特徴を的確に捉えていることがわかる。
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第二章「ロートレックの世界―カフェ・コンセール、ダンスホール、キャバレ……」では、娯楽、文化の発信地として、そして歓楽街として名高いパリのモンマルトルを描いた作品を紹介する。
ロートレックは名優アリスティド・ブリュアンや歌手のイヴェット・ギルベールら当時の人気俳優や歌手、ダンサーらの特徴、そして当時のパリの空気や流行をを巧みに描き支持を集めていった。
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第三章「出版―書籍のための挿絵、雑誌、歌曲集」では、ロートレックの出版にまつわる作品、仕事を紹介。19世紀末は技術革新が進み、また都市部を中心に識字率が向上したこともあって新聞や雑誌が次々と創刊されていた。ロートレックも大衆向けの雑誌から、愛好家向けの少部数の出版物までさまざまな出版メディアに携わった。
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版画集『レスタンプ・オリジナル』は、2年間に10巻が出版された版画集で、ロートレックのほか、ナビ派やポン=タヴェン派など、最先端の前衛芸術家たちの作品を積極的に掲載していた。また、工程が複雑で手間のかかるリトグラフも多用した。ロートレックの作品は創刊号の表紙を飾っている。
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第四章「ポスター」はロートレックの真骨頂でもあるポスター作品に光を当てる。当時のポスターは屋外に掲出されることが多く、その大半が破損や変色しておりオリジナルの状態をとどめていない。
フィロス・コレクションのポスターは、状態の良いものを厳選し、さらに第三者による文字入れ前の刷りを収集しているため、オリジナルに近い状態で鑑賞することができる。文字をのせる前の刷りなど、ロートレックの作品だけに着目できる作品も展示される。
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右:《ジャヌ・アヴリル》(文字のせ前)1893年 リトグラフ
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最終章となる第五章「私的生活と晩年」は、多くの仲間や友人、理解者にめぐまれていたロートレックのプライベートな部分が垣間見える資料や作品を紹介する。私的な手紙や自身がプロデュースした食事会のメニュー、写真などを通してロートレックの別の一面を覗いてみると、彼の芸術観がより深く楽しめるようになってくる。
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短い生涯の間に、数多くの素描、作品を残したロートレック。彼と、彼が過ごした19世紀末の文化を上質なコレクションで堪能しよう。
取材・文・撮影:浦島茂世
<開催概要>
『フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線』
2024年6月22日(土)~9月23日(月・祝)、SOMPO美術館にて開催
公式サイト:
https://www.sompo-museum.org
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2450882
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