『ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と』現代アートシーンの風雲児が「BIG CAT BANG/猫大爆発」で岡本太郎記念館をジャック
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すべて見るユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品で、国内外から高い評価を受けている現代美術家 ヤノベケンジ。現在、東京・銀座の複合商業施設GINZA SIXの中央吹き抜け空間に展示した、全長9メートルに及ぶ巨大な作品《BIG CAT BANG》(2025年夏までを予定)が大きな話題を呼んでいるヤノベが、南青山の岡本太郎記念館で、その背後にあるストーリーを語る展覧会を開催する。会期は、7月12日(金)から11月10日(日)まで。
1965年生まれのヤノベは、1990年代初頭より、「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに大型の機械彫刻を中心に制作してきた。岡本太郎(1911−1996)が1970年の大阪万博のために制作した《太陽の塔》をテーマとした作品でも知られ、2011年には岡本太郎記念館で大型彫刻《SUN CHILD/太陽の子》を公開している。今回、再び同館に登場するヤノベが提示するのは、こんなストーリーだ。「35億年前、無機質だった地球に生命を誕生させたのは、宇宙船『LUCA号』に乗って地球に到達した『SHIP’S CAT/宇宙猫』だった。太陽の塔はそのときの宇宙船であり、いま大阪で人々を見下ろしている巨大な《太陽の塔》は、その亡骸なのだ」。なんとも壮大な物語である。
GINZA SIXの吹き抜け空間には、《太陽の塔》の形をした宇宙船から宇宙猫たちが飛び出す光景が繰り広げられている。「芸術は爆発だ」と主張していた岡本太郎は、《太陽の塔》の中に原生生物から人類に至る進化を示す「生命の樹」のインスタレーションをつくったが、岡本太郎の遺伝子を受け継いだヤノベケンジは、「猫大爆発」という着想に乗せて、生命の根源や宇宙の誕生にまで思いを寄せているのだ。
巨大なインスタレーションが観る者を圧倒するGINZA SIXの展示と、その背景にあるストーリーとディテールを丁寧に語る岡本太郎記念館の企画展は、180度逆のアプローチからひとつの展覧会を構成する「ふたつでひとつ」の展覧会になっているという。同館の館長は、「これまでも《太陽の塔》をモチーフにした作品は種々あったけれど、こんなにワクワクしたことはなかった」とコメントしている。混迷と危機の世紀に立つ現在だからこそ、人は想像と創造を爆発させ、宇宙からの俯瞰した視点を獲得しなければならないのだろう。人々にワクワク感や希望を与えるヤノベが紡ぐ物語を読み解きに、ぜひ会場を訪れたい。
<開催概要>
『ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と』
会期:2024年7月12日(金)〜11月10日(日)
会場:岡本太郎記念館
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:火曜 (祝日の場合開館)
料金:一般・大高650円、小学300円
公式サイト:
https://taro-okamoto.or.jp/
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