名前通りの“スタンダード”を見せる 『熱海殺人事件 Standard』が開幕
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『熱海殺人事件 Standard』舞台挨拶より (撮影:吉田沙奈)
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すべて見る2024年7月5日(金) から7月22日(月) に紀伊國屋ホールにて、つかこうへい作の『熱海殺人事件』が上演される。
『熱海殺人事件』は、1973年に発表され、翌年1974年に岸田戯曲賞を授賞、映画化もされるなど、日本において最も愛され、上演され続けている作品だ。紀伊國屋ホール60周年記念公演となる今回は、中江功が演出を務める『熱海殺人事件 Standard』と中屋敷法仁演出の『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』を『熱海連続殺人事件』として上演する。
7月5日(金) の開幕に向け、『熱海殺人事件 Standard』の荒井敦史、新内眞衣、富永勇也、高橋龍輝、演出・中江功による舞台挨拶と公開稽古が行われた。
中江は「2021年、紀伊國屋ホール改装後の柿落とし以来、2回目の『熱海』です。今回はキャストが全員シングル。とてつもない勝負に立ち会わせていただいています。最高のキャストが集まったと思うし、『Standard』の名にふさわしいものを作れたと思っています」と自信を見せ、荒井は「僕自身5回目になるので、より洗練された表現で今回の伝兵衛を見せたいです。ずっと出演したい作品だったんですが、僕の初めての『熱海』はコロナ禍のタイミングでした。予断が許されない中で、ようやく少し安心して演劇に向き合えるようになった気がします。全力で向き合いたいです」と語った。
新内も「4回目の挑戦ですが、何度立っても緊張します。私は全公演完走してきたので今回も無事に完走することを目標に。いろいろ踏み込んで演じていきたいです」と話し、高橋は「熊田役の……あ、違った」とボケたあとで「今回は大山金太郎を演じます。これまで3度出演し、ずっと熊田をやっていましたが、念願の大山。目標にしていた役を演じられて嬉しいです。歴代キャストに恥じぬよう、一番になれるよう頑張ります!」と気合十分。
初参加の富永は「灼熱の舞台だと思いながら稽古を過ごしてきました。歴史ある作品のメンバーになれて光栄ですし、皆さんに支えていただきながら今日を迎えられたのを嬉しく思います。毎公演積み上げ、駆け抜けられるように精進します」と意気込む。
最後に荒井の「灼熱の夏に、『熱海連続殺人事件』と称して『Standard』と数日後に初日を迎える『モンテカルロ・イリュージョン』をやります、僕らは『Standard』という名に恥じぬよう、これがスタンダードだというのを展示できたらと思っています。あとはこの作品に向き合って全力で演じるだけ。見たことがない方にはぜひ見ていただきたいですし、この作品のファンの方にも楽しんでもらえたらと思います」という熱量たっぷりな挨拶で会見を終えた。
続いてフォトコールが行われた。公開されたのは冒頭30分、新人刑事の熊田(富永勇也)が富山県警からやってきて木村伝兵衛部長刑事(荒井敦史)と婦人警官の水野(新内眞衣)に出会い、三流の犯人である大山(高橋龍輝)が事件についての供述を始めるまでのシーン。
荒井は冒頭から圧倒的な熱量と勢いを持って木村伝兵衛を演じる。一方で余裕や冷静さ、奔放な言動の影に愛情も感じさせ、「警視庁にその人あり」と言われた刑事の凄みのようなものを醸し出していた。
新内は艶やかな表情や動作で舞台に華を添える。荒井との息の合ったやりとり、富永との掛け合いもコミカルで、堂々とした佇まいは貫禄を感じさせる。初参加の富永も果敢に食らいつき、新人刑事らしい初々しさのある熊田を好演。上司たちに翻弄されながらも奮闘する姿を熱く演じた。そして高橋は、イキイキと大山を表現し、観るものの心をグッと掴む。登場シーンの派手な見た目からの振り幅の大きさも魅力で、ここからの展開に対する期待も高まった。
本作は7月5日(金)、紀伊國屋ホールにて開幕。7月9日(火) からは『モンテカルロ・イリュージョン』もスタートし、7月22日(月) まで公演が行われる。
取材・文・撮影:吉田沙奈
<公演情報>
紀伊國屋ホール60周年記念公演『熱海連続殺人事件』
『熱海殺人事件 Standard』
『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』
公演期間:2024年7月5日(金)~22日(月)
会場:紀伊國屋ホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/atami-2024/
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