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「CLUB TAO3」 江良拓哉・岸野央明インタビュー

音楽

インタビュー

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左から)江良拓哉、岸野央明

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和太鼓を中心とする和楽器の演奏と殺陣などのパフォーマンスによって、国内外で精力的な活動を展開しているDRUM TAO。伝統音楽の枠にとらわれずさまざまな試みを進めるなか、クラブカルチャーにもアプローチ。EDMとのコラボレーションとして立ち上げたスペシャルステージが「CLUB TAO」だ。2022年に初めての公演が行われ、3回目の公演が10月8日(火)~20日(日) に新宿ルミネゼロで開催される。トップパフォーマーであり総合演出補佐を務めている江良拓哉と、同じくトップパフォーマーのひとりでありテクニカルディレクター補佐としても公演に深く関わっている岸野央明。名実ともにステージを牽引するふたりは、「CLUB TAO3」でどのようなパフォーマンスをめざすのだろうか。

EDMとのコラボレーションで、今までにない楽曲が生まれる

――長く活動を共にしているおふたりですが、あらためてお互いをプレイヤーとしてどのようにとらえているのかお聞きしたいと思います。

江良 これは以前に別の取材で話したこととかぶってしまうけど、岸野さんはいろいろな面でしっかりしてます。LEDだとか舞台のテクニカルな部分を仕切ってくれていて、図面を作ってケーブルの配線を決めて、って普通なら業者さんがやることまでマスターして、ほかの人たちにも教えながらルールを作って浸透させていく。細かい部分までしっかりやっていくのは本当にすごいと思うし、プレイヤーとしても通じているものがあるんじゃないかな。

――しっかりやるというのは、性格的なところから来るのでしょうか。

岸野 いや、普段の自分はだらしない方です(笑)。でも好きな分野に関しては、細かくやっても苦にならない。

江良 O型の特徴ですね。

岸野 江良くんは、演者としてスピードとキレが群を抜いて素晴らしい。例えば別動チームで江良くんがいない時に若いメンバーが彼のポジションに入ることもあるんですけど、やっぱり江良くんでないとな、っていう。そこのポジションは不動な感じがしますね。

――それは、言うなればカリスマ感とかオーラといったことなのかも?

江良 出ちゃってますかぁ!(笑)

岸野 (スルーして)演奏の質を保つという面でも、替えがきかない感じはありますね。やっぱり唯一無二な存在じゃないかと思います。

――そんなおふたりが中心となって進めている「CLUB TAO」ですが、これまでの2回の公演で印象深いことを挙げていただくと?

江良 「CLUB TAO」でできた楽曲が、良い具合にDRUM TAOの本公演に混ざる。そんな化学反応が毎回起こっています。そういう意味では、「CLUB TAO」をやることによってDRUM TAO全体に昇華されていく感覚がありますね。

岸野 そういった相乗効果で、DRUM TAOの公演と「CLUB TAO」、両方のクオリティーが上がっていることは間違いない。でも、それぞれのコンセプトの違いがだんだんなくなってきているようにも感じる。だから「CLUB TAO3」は現在ツアー中のDRUM TAO2024「FUTURE」とは明確に分けて、よりクラブ色を強められたらと思っています。

江良 「FUTURE」はストーリー性を重視した作品だし、「CLUB TAO」はあくまでEDMと和太鼓のコラボレーション。今回は両方の特色をうまく分けて、まったく違う作品を見せられるのではないかと期待しています。

江良拓哉

―― EDMとのコラボの中で、和太鼓や和楽器の新たな魅力、可能性は感じましたか。

岸野 最初の公演から感じていたことですけど、EDMと和太鼓はめちゃくちゃマッチしますね。そうなると欲が出てきて、最初はテープを流してそれに合わせて演奏している感覚でしたが、最近はバンドの人が後ろにいて一緒に演奏しているような感じが自然に出てきた。とってもいい感じですよ。

江良 EDMって、クラブに行ってあの爆音が聴こえてくると体がノッてくるんですよね。それが太鼓の波動と合致した時の興奮は、初めて聴く人はきっとびっくりすると思います。それに日本古来の篠笛や琴、三味線はこれまでバンドスタイルで表現されることが多かった。それが電子系の音楽に入ることによって、最初は唖然としていたリスナーも気づいたらすごくノッていたりする。もしかしたら日本よりも海外の方がよりびっくりされるかもしれないし、それを楽しみにEDMと和楽器のコラボは続けていきたいですね。

――なるほど、海外での展開も視野に入れてのコラボなんですね。今度の「CLUB TAO3」について、新曲を含めてどういったところが見どころになりそうでしょうか。

江良 EDMのサウンドに和太鼓をのせるわけですけど、全体としてではなくどこか一部で、和太鼓・和楽器だけでEDM的なノリを表現できたら。それに近しい楽曲がひとつできるかもしれないと期待しています。それと、最近はあまり演奏していない昔の楽曲にもいろいろな魅力が詰まっているので、それを掘り起こしてEDM化してみたら今までにない感じの楽曲になりそう。創るのはこれからなので、できあがってみたらどうなっているかはわかりませんが(笑)。

――岸野さんは、何かチャレンジしたいことはありますか?

岸野 新宿ルミネゼロは独特な空間で、すごく一体感があるんですよ。今回はそこを意識して、本当のクラブのように演奏者と観客っていう概念をなくしてコミュニケーションを多めにしていきたい。もともとクラブで少人数で演奏しようっていうのが「CLUB TAO」の企画のスタートで、やってみたら意外と好評だったし、やっている側もすごく楽しくて。そのコンセプトを劇場でもやりたい。

江良 「FUTURE」はストーリー性があってそれに準じて表現するステージなので、お客さんとのコミュニケーションはあまりとっていません。逆に「CLUB TAO」は、お客さんも一緒に楽しめる一体感を特色として強めたいんです。常に手拍子して手が痛い、なんてことになるような。ここ数年はコロナ禍で客席に行ってなかったし、客席にも行ってお客さんとコミュニケーションをとりたいですね。

新曲も、新アレンジも、楽しむことのできるステージに

――今回、江良さんが初めて演出も担当されると伺いました。

江良 ずっと演出家として「フランコドラオ」がいて、その補佐として隣でDRUM TAOのショーをやってきたので、今回「江良拓哉演出」っていっても僕の中ではそんなに大きな変化はない。確かに最終的に「決定する」のが僕だっていう責任感はあるけれど、これまで培ってきたものを崩さず、さらにパワーアップするのがベターだと思うんですよね。それをめざして、新しい楽曲、新しく編曲された楽曲も含めて皆さんに聴いてもらえたらって思います。

――プレイヤーの側から、江良さんの初演出について思うことは?

岸野 今の話では現状をブラッシュアップさせていくっていうことですけど、期待としては、テイストの違う「これ、びっくり!」っていうくらいの振り幅があるといいな、と。

江良 ふふふ(笑)。

――ちょっとハードルを上げてきましたね。

岸野 なかなか難しいところではありますけど(笑)。楽曲の制作は僕らみんなでやっていますけど、江良くんが作ってくる曲は毎回新しいアプローチがある。例えば「FUTURE」なら、太鼓の曲の中にボーカルが入ってくるとか。それって僕たちは意外とやったことがなかったし、かなりの挑戦ではあるんです。そういった楽曲一つひとつの新鮮さが、江良くんの発想にはある。たぶん演出のうえでもそういうところが出てくるだろうし、楽しみにしています。

岸野央明

既成概念にとらわれないチャレンジがDRUM TAOらしさ

――EDMとのコラボで興味をもって、初めてだけど行ってみようかなと思った方にアピールポイントを伝えるとしたら、どんなことでしょうか。

江良 和太鼓って、どうしても古典的なイメージが強いんですよね。

岸野 和太鼓は歌舞伎と同じ時を重ねた歴史がある音楽なのですが、祭りや祭事になじみのある身近なもので、敷居が高くない分、現代では、地元の祭りでたまに聴くものだっていうイメージで見られてしまって、和太鼓の魅力を言葉だけで説明するのは本当に難しいし、宣伝してもなかなか伝わらない。

江良 でも「EDMと和太鼓がコラボできるの?」っていうところから、和太鼓のイメージを少し変えることができたら。今の和太鼓のスタイルやEDMとのコラボを、1回試しに体感してみてほしいんです。

岸野 1回観ていただければ、好き嫌いはあると思いますけど「自分のイメージしていた和太鼓とはちょっと違う」「なんか新しい」って思ってもらえる自信はあります。EDMとのコラボはSNS世代の若い人たちにとっても親しみやすいフィールドだろうし、ぜひ観に来ていただきたいですね。

――和太鼓・和楽器でパフォーマンスを行うグループとして、DRUM TAOならではの強みはどういうものだととらえていますか?

江良 「ここがすごい」というポイントは思い浮かばないかな。でも、僕たちは基本的に365日ずっとDRUM TAOとして活動している。本拠地のTAOの里にいる時も、ツアーを回っている時も、みんな一緒で常にショーのことを考えているんです。もちろんほかの団体もそうなんでしょうけど、DRUM TAOはもしかしたらそれが特に強いかもしれません。

岸野 代表が大元のアイディアを出してくれるんですけど、彼は演奏者ではなくて、既存の和太鼓のあり方に満足していないというか、「もっとこうしたらさらに良くなるのに」という発想なんです。結構なムチャぶりではあるけど、実際にやってみるとすごく新しいし、それが僕たちのスタンダードになってきた。そういう、タブーを恐れずにやってみるところはDRUM TAOならではかな。海外で見聞きしたもの、交流した人やアーティストからもらったヒント、共演して発見したものなどを自分たち流に取り入れて、最終的には新しいものとしてアウトプットする。

――新しいもの、面白いものがどんどん生まれてくるわけですね。最後に、今回の「CLUB TAO3」でおふたりそれぞれに成し遂げたい課題、あるいは目標を教えてください。

江良 実は、最近パフォーマンスは棒術しかしていなくて。だから、久々にそれ以外のパフォーマンスもやりたいですね。

岸野 最近アンサンブル曲が多くて、ひとりだけで演奏するシーンがあまりなかったんですよね。だから今回は、久々に独奏をやれたらと思います。

江良 それは、いいことを聞きました!

――「CLUB TAO3」で岸野さんのソロがあるか、あるならどういうパフォーマンスになるか、期待しています。

岸野 本番でなくなってたらどうしよう(苦笑)。よろしくお願いします!

江良 ぜひ、お楽しみに!

取材・文:金井まゆみ

<公演情報>
「CLUB TAO3」

公演期間:2024年10月8日(火)~20日(日)
会場:新宿ルミネゼロ

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2452841

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