奥野壮と豊田裕大の気持ちの伝え方「どれだけ思いを爆発させられるか」
映画
インタビュー
左から)奥野壮、豊田裕大 (撮影:友野雄)
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電子コミック大賞2021BL部門賞を受賞した「コスメティック・プレイラバー」(楢󠄀島さち著)が実写ドラマ化される。
真面目でピュアな先輩美容部員の間宮棗と、生意気でクールな後輩美容部員の佐橋斗真。最初は反発し合っているが、仕事でペアを組むうちに、互いに認め支え合い、恋に落ちていく……という糖度高めのラブストーリーだ。
今回、先輩美容部員の棗を演じる奥野壮と、後輩美容部員の佐橋を演じる豊田裕大にインタビュー。
ドラマの内容に迫ると共に、お仕事ドラマとしても魅力たっぷりの本作にちなみ、ふたりに仕事に対する「熱」を聞いた。
どんなに器用でも、真っすぐでピュアな人には叶わない
――まず作品に初めて触れたときの印象を教えてください。
奥野壮(以下、奥野) ドキドキしながら原作を読ませていただきました。これだけ読者をドキドキさせる原作をドラマでどう表現するのか、というプレッシャーはありましたね。
豊田裕大(以下、豊田) すごく刺激的だな、と。初めて読むジャンルのマンガだったのですごい世界だな、と思うのと同時に少しわくわくしたというか。純粋に興味を持ちました。新しい自分の一面を知ることができたな、と思います。
――やはり、おふたりでのシーンが多いかと思うんですが、お互いの役に対してはどういった印象を持たれていますか?
奥野 ずるいなと思っていました(笑)。
豊田 「ずるい」なんだ(笑)。
奥野 僕は視聴者の人に心の中をひけらかすわけです。でも……。
豊田 ははは!
奥野 佐橋は本音が分からず、ミステリアスな魅力はカッコよくてずるいな、と思います。
――その分、視聴者のみなさんは棗くんに感情移入しますよね。
奥野 そうだぞ!(笑)
豊田 ははは!
普段の奥野くんを知っているので、お芝居しながらこんなにかわいい顔をできる人なんだな、と思いました。
奥野 普段はかわいくないの?
豊田 かわいくないっていうか……かわいいって感じることは少ないよね(笑)。
奥野 たしかに、それはそうか(笑)。
豊田 棗の愛らしさを全て表現していますよね。1人で悶々として考えなきゃいけないシーンも、今の表情はどうだったかな、だとか、監督と話をしたり、試行錯誤しながら演じていました。楽しそうだけど、大変そうだなって思いながら見ていましたね。
――棗くんのかわいさと佐橋くんのある種、俺様っぽいところのコントラストが引き立ちますよね。
豊田 引き立たせていただきました!
――「俺様」役は演じてみていかがでしたか?
豊田 僕自身は全く俺様じゃないので、俺様でいることがすごく難しかったです。自分には欠点がない、欠点があると疑う余地が1ミリもないと思っていないとできないじゃないですか。そのハードルの高さと毎日戦っていました。
誰かをいじめて、その自尊心を高めているから俺様が出ているわけではなく、ただただ生物として、かっこよく生まれて、器用で、ソツなくこなせる。もちろん、裏で努力もしていると思うんですけど。これはなかなかハイスペック男子だな、と思って。
――そんなハイスペックな佐橋くんが棗くんにベタ惚れになるのも観ている側としても幸せになりますよね。
豊田 普段の生活でもそうですけど、どんなに器用でも、真っすぐな人とかこういう純粋な人には勝てないんだな、と思いました。
ふたりの美容意識は?
――ふたりの恋模様も気になるところですが、BAのお仕事ドラマとしても魅力的な作品ですよね。
豊田 指導の方がついてくださって練習したよね。
奥野 練習して、僕は自宅で兄を相手に練習しました。それが徐々に僕たちの身について、BAさんにしてもらうようなタッチアップができるようになりましたね。
豊田 純粋に楽しんでいました。
奥野 怖がりながら。
豊田 作品にインして実際にタッチアップするときに、見たことがない奥野壮がいました(笑)。できるかな、みたいな。意外と緊張するんだなって思いました。
奥野 緊張していましたね。女性でも男性でも初めましての方の顔に触れるってなかなかハードルが高いじゃないですか。自分でメイクすることもほとんどないし、人にメイクしたことも1回もなかったので。
――普段は美容に対しての意識は高いほうですか?
豊田 僕は専属モデルをしているMEN'S NON-NOでも美容を担当することが多くて。ほかの人と比べると、わりと意識は高めだと思います。食べ物や、化粧水だとか、今はどういうものが流行っているんだろうな、と思いながら、お店に行ったりしますし。
撮影中に何かを大きく変えたことは……食事の量を減らすことぐらいですかね。少し減量しよう、と思って。どうでした?
奥野 普通にラーメン食べていましたね(笑)。
美容意識は……低めだと思いますね。
――スキンケアとかは。
奥野 とくには……。
豊田 塗らないの?
奥野 化粧水と、乳液まではやるけどこだわったりはしていないですね。あるものを使う。
豊田 そうなんだ。
奥野 それこそ、お兄ちゃんはわりとちゃんとやっているんですよね。一緒に住んでいるのでお兄ちゃんのものを勝手に使っています(笑)。
奥野 メイクって素敵だな、ということをあらためて感じました。
ドラマの演出のはずなのに、メイクが終わった後はやっぱりみなさん表情がキラキラしだして……。自信がもらえるのは本当にステキで、人にメイクするのって楽しいんだなと思いました。
互いに刺激を受ける部分もある
――おふたりはお仕事をする上で、どういったことを大切にされていますか?
豊田 フラットでいることを心掛けています。
あとは悔しがれない瞬間がないように。お芝居を始めるのが遅めだったので、、できる人を見たときに「この人はすごいな」と思うだけで、悔しさを感じられないときがあるんです。それは弱さだな、と思っていて。だから、悔しさを感じられるぐらい、真剣に打ち込むことは意識しています。
――悔しさを感じなかったときにハッとされたりするんですか。
豊田 します。常にアンテナは巡らせていたいな、と思います。
奥野 僕はもうラフに、気楽に、適当に。
豊田 いいね。
奥野 ……が、一番大事にしていることですね。
あとは人に対して否定的な意見を持つことが多いので、それをあまりしないように。みんなにリスペクトを込めて接するように、ということはずっと意識していますね。
――人のお仕事のやり方だとかが気になってしまう?
奥野 そうです、そうです。「どうしてそういうやり方をするんだろう?」ということを感じたくないですね。僕はやらないけど、それもこの人のステキなやり方の一つだ、という捉え方をするようにしています。
――作中では棗くんと佐橋くんはお互いの存在が仕事でも刺激になっているかと思うのですが、おふたりもそういうことはありますか。
奥野 あります。僕はすごく気楽にふわあっとしながら現場に入るんですよね。僕が悩んでいないわけじゃないんですけど、裕大くんみたいにひとつひとつのシーンに対して真摯に向き合っている姿を見ると、がんばらないとな、って刺激を受けますね。
僕もがんばっていないわけじゃないんですよ?(笑)
――それはもちろん!(笑)豊田さんはいかがですか?
豊田 刺激を受けることはたくさんあります。それこそ奥野くんに対して、常に漠然とすごいな、と感じるところが多いです。ほかの方だったり、映画を観ていて感じることもあります。
――刺激を受けるというところを踏まえて、今回共演されて、お互いに感じた強みはありますか?
奥野 裕大くんはまさに少し棗に似ていると思いますね。
まっすぐさというか、ピュアさというか。ひとつひとつにちゃんと心で向き合っているので、それがすごく魅力だと思います。
豊田 奥野くんはルールを作るのがうまいな、と思います。自分の中である程度「ここまではいい」「ここからはダメ」というラインを作るのがうまいから、多分他人に対しても敏感になれるんだと思います。
僕はわりと受け入れちゃうというか……フラットでいるということにも多分通ずるんですけど、ある見方をすると流されちゃうみたいな。だからそれが魅力だな、と思います。
――奥野さん自身は、ルールを決めている感覚はあるんですか?
奥野 意識することはないですけど、例えば「この人はこれ以上は踏み込んじゃいけないな」とか、「でも仲良くなるためにどうしようかな」ということは考えますね。そういうところは自然とやっているのかもしれないです。
ふたりのそれぞれの思いの「伝え方」
――棗くんも佐橋くんも思いを伝えるのがストレートなようで不器用なところもあって……。それがよりきゅんとするポイントだな、と思うんですが、おふたりは思いを伝える上でどういったことを大事にされていますか?
奥野 伝え方は一番大事だと思っています。どう思っていようが、伝え方ひとつで受け取る側は変わると思うんですよね。例えばアドバイスとして受け取るか、批判として受け取るのか、肯定的な意見として受け取るのか、というのはこちら側の伝え方次第じゃないですか。
だから、自分の思うことをそのまま伝えるのではなくて、ちゃんと相手をリスペクトしているということを、目を見て伝えますね。
――リスペクトをきちんと意識して持たれているんですね。
奥野 人を思いやりたいし、思いやられたい人間なので、そこは大事にしていますね。
豊田 僕は真逆というか……。伝え方はいろいろあると思うんですけど、思いをどれだけ爆発させられるかとか、自分の中でどれぐらい考えているかをぶちまけるっていうんですかね……。そういう方がいいな、って思います。だから思いをぶちまける、ということが僕は伝え方としては一番大きいかもしれません。
――お話を聞いているとおふたりが正反対なところも多いような。
奥野 多いですね。それこそ佐橋と棗ぐらい違うと思います。多分、僕のほうが佐橋です。
豊田 内面的なもので言えばね。
――現場でもそういう話題が出たんですか?
奥野 ずっと言ってたよね。
豊田 言ってた、言ってた。
奥野 逆だねーって。
だから相手のことも自分のことも理解できますよね。同じとは言わないんですけど、棗と似ている部分があるからこそ、「なるほど、そういう考え方なんだ」となると、「棗もこういうふうに考えられるのかな」とかそういう発見もありましたね。
撮影/友野雄、取材・文/ふくだりょうこ
ヘアメイク/(奥野)松本真由子、(豊田)速水昭仁
スタイリスト/(奥野)三宅剛、(豊田)杉浦優
衣装協力/(奥野)ジャケット ¥74,800 ナノアット(ジョワイユ 03-4361-4464)
(豊田)ニット¥38,500 Blanc YM(TEENY RANCH 03-6812-9341)、パンツ¥24,200 FARAH(URBAN RESEARCH ONLINE STORE 050-2017-9011)、シューズ¥41,800 Pantofola d'Oro(ADONUST MUSEUM 03-5428-2458)
<番組情報>
「コスメティック・プレイラバー」
8月5日(月) 26:55~
フジテレビで放送開始、FODにて独占配信開始、TVerにて見逃し配信開始
※放送・配信時間は予告なく変更する場合あり
公式サイト:
https://www.nbcuni.co.jp/jcon/cosmeticplaylover/
(C)楢󠄀島さち・libre/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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