若手育成とPNC優勝の二兎を追うジョーンズHC、「テストラグビーは勝ちたいし、勝つことに意味がある」
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エディー・ジョーンズHC (C)JRFU
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すべて見るイタリア戦の完敗から3週間、エディー・ジャパンが次なる戦いへ再び動き出す。『パシフィックネーションズカップ(PNC)2024』に向けて、今週末より宮崎合宿がスタート。8月7日、宮崎合宿およびカナダ遠征のメンバーを発表したエディー・ジョーンズHCは選出理由をこのように語った。
「今回日本ラグビーを再建するステージ2を迎えられてうれしく思う。今回参加可能で一番いいメンバーを選んだ。『PNC』は日本と同等のレベルのさまざまな国が参加するので、さらに向上できるいい機会。我々も期待しているし、楽しみにしている。前回のサマーシーズン、とくにイタリア戦から改善したいと思っている。イタリア戦ではポゼッションの40%ターンオーバーされたので、これが大きな改善点。とくに基礎の部分の向上にフォーカスしたい。我々が目指す超速ラグビーを実現するために落ち着きながら、実行していくことが大事。まず基礎を構築し、チャンスをどんどん作り出し、その上で落ち着いてスコアに持っていくことが我々の課題」
日本代表宮崎合宿参加及びカナダ遠征参加メンバーは以下の通り。
【FW:19名】
岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス)2
三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ)9
茂原隆由(静岡ブルーレヴズ)3
坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)44
原田衛(東芝ブレイブルーパス東京)3
松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ)
木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ)5
竹内柊平(浦安D-Rocks)6
為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)3
エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)
桑野詠真(静岡ブルーレヴズ)1
サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ)5
ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)14
サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)5
下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)6
ティエナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ)2
アイザイア ・マプスア(トヨタヴェルブリッツ)
山本凱(東京サントリーサンゴリアス)1
ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)8
【BK:16名】
小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ)2
藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)2
村田大和(京都産業大学)
松田力也(トヨタヴェルブリッツ)39
李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)14
海老澤琥珀(明治大学)
根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)2
立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)56
サミソニ・トゥア (浦安D-Rocks)3
長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)7
ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ)
ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)20
マロ・ツイタマ (静岡ブルーレヴズ)
ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)11
矢崎由高(早稲田大学)3
山沢拓也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)9
【リハビリテーション組:1名】
ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京)7
※所属チームの後の数字は日本代表キャップ数。数字がない選手はノンキャップ。
リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)は休養のため、齋藤直人(スタッド・トゥール―ザン)とテビタ・タタフ(ユニオン・ボルドー・ベグル)は所属クラブの活動に伴い、姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)とシオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ)、福田健太(東京サントリーサンゴリアス)はゲームフィットネス向上中のため、今回は選考対象外となったとのこと。
ジョーンズHCは3人の大学生の招集に応じた明大、早大、京産大に感謝の念を述べた。
「前回のサマーシリーズではもっと多くの大学から参加してもらった。今回は各大学でプレーしてもらう方向となった中、永友(洋司)チームディレクターとの協議の結果、明治、早稲田、京都産業の理解を得て、海老澤、矢﨑、村田の3人にカナダ遠征に参加してもらうことになった。協力に感謝している。今後のセレクションに関してはそれぞれのパフォーマンスに因るところが大きい。各選手のパフォーマンスを見て、セレクションしていきたい」
さらに3人の大学生について、指揮官は言及した。
「矢崎を非常にいい才能の持ち主。ボールを持っている時の動きは素晴らしいが、オフ・ザ・ボールの動きを向上させれば、さらにいいプレイヤーになっていける。『ワールドラグビーU20トロフィー2024』で活躍した海老澤、村田には次のレベルでプレーするチャンス。『PNC』は大きなチャンスだが、日本にはどのような選手がいて、何人が出場可能で、我々が目指すラグビーを体現できる選手が何人いるか、次の『ラグビーワールドカップ(RWC)』に向けた進行中のプロセスだと考えている」
大学生だけではない。5人のノンキャップメンバーへの期待も口にした。
「全員それぞれに強みを生かしたプレーをしてほしい。超速ラグビーを体現するためにいかに早く順応していくか、いかにチームプレーに徹することができるかを見ていきたい」
前回のサマーシリーズに参加していなかったウルイヴァイティとマプスアについて質問が飛ぶと、ジョーンズHCは?
「エピネリはLOとしてハードワークするタフなLOが必要だと判断した。サマーシーズンは小瀧(尚弘)がいいパフォーマンスをしてくれたが、今回はエピネリをオプションとして呼んだ。マプスアはバックローに何人かケガ人が出ていて、リーチが担った4・6番のカバーにも最適だと思って招集した。マロは以前から興味を持っていたが、日本代表資格を得たということで今回呼んだ。WTBとしてマロやナイカブラというタフなランナーがいて、根塚や海老澤といったワイルドカードで活躍が期待できるメンバーがいるなど、選手層は厚くなっている」
ジョーンズHCは前回と同様に、世代交代の難題に引き続く取り組んでいく。
「日本ラグビーの次の世代がキーになる。今いる世代がトップ8、トップ4に導いてくれると信じている。今回のスコッドで20キャップ以上は4名だけ。ただこれが日本ラグビーの現状だととらえている。前回の『RWC』から日本は変わらないといけない。その過程には痛みを伴うし、自分たちが求めない結果を突き付けられることもあるかもしれないが、若い選手の育成に自信を持っているし、次の世代のラグビーを作っていきたい。前回の『RWC』を見ていて、日本代表の選手層を自分は心配していた。『リーグワン』でも日本人選手の出場機会は53%のみということで、若手が足りるか心配していたが、実際、U20日本代表や大学生の選手を見て、才能がある選手は十分いると感じている。若手には時間も必要だし、丁寧なコーチングや選手たちのハードワークも必要。若いタレントをパフォーマンスに変えていくことが重要。次の2~3年に向けて、この若いタレントをパフォーマンスに変えていく必要がある」
前回の代表活動を経て、ジョーンズHCは『PNC』の課題を次のように挙げた。
「我々としてはボールを大事に扱うことがキーになる。イタリア戦ではポゼッションの40%をターンオーバーされてしまった。スピードに乗ったプレーは日本の特徴なので、ここを変えようとは思っていない。しかし向上しないといけない課題はある。FWは安定してボールを勝ち取らなければならないし、BKは勝ち取ったボールをいかにハンドリングエラーをなくして展開していくかが重要」
FWがボールを勝ち取り、BKがボールを展開するために必要なのは「基礎の部分」だと言う。
「基礎の部分を徹底的にやることに尽きる。これまで理解力の問題もあったが、それぞれのチームのラグビーからジャパンのラグビーをするためには理解度は時間がかかる。トレーニングの連係が必要。『パリ五輪』の例を挙げたい。日本男子バレーは身長の差がありながら、ディフェンスの基礎の動きのレベルが高いからあれだけのパフォーマンスを見せていた。体操の岡(慎之助)選手も解説を聞いたところ、基礎がしっかりしているからこそあのような演技ができたのだという。我々のチームで考えるとキャッチ、パス、サポートラインやブレイクダウンのワークなど基礎的な部分を精度高くやることでほかのチームとの違いを生み出せると思っている。選手たちの取り組む姿勢は申し分がないので、引き続きやっていきたい」
ジョーンズHCは『PNC』での目標は優勝だとキッパリ。
「超速ラグビーをどんどん向上させていくことがメインテーマになってくる。試合ごとにインテンシティもどんどん上げていきたい。もちろん『PNC』でチャンピオンになることが最大のターゲット。テストラグビーは勝ちたいし、勝つことに意味があると思っている。だが、我々は発展の途中だと認識しないといけない。若い選手を育成するためには忍耐力が必要。我々は超速ラグビーを極めていきながら、結果を出していきたい」
日本代表は8月10日(土)より宮崎合宿に突入。『パシフィックネーションズカップ 2024』プールBでは8月25日(日)・カナダバンクーバーにてカナダ代表×日本代表、9月7日(土)・熊谷スポーツ文化公園 ラグビー場にて日本代表×アメリカ代表がキックオフ。プールAはフィジー、サモア、トンガが属す。9月14日(土)・秩父宮ラグビー場にてプールA3位×プールB3位、プールA1位×プールB2位、15日(日)・秩父宮にてプールA2位×プールB1位、21日(土)・東大阪市花園ラグビー場にて3位決定戦、決勝を開催。アメリカ戦のチケットは8月10日(土)一般発売。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
パシフィックネーションズカップ2024 プール戦 プールB 日本代表vsアメリカ代表のチケット情報
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