岡田義徳、『来てけつかるべき新世界』でヨーロッパ企画初参加「程良い距離感で」
ステージ
インタビュー
岡田義徳 (撮影:石坂大輔)
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すべて見るヨーロッパ企画の第35回公演として上演され、第61回岸田國士戯曲賞の受賞作ともなった上田誠の代表作『来てけつかるべき新世界』。その再演が8年ぶりに決定、新たに岡田義徳がキャストに名を連ねる。ヨーロッパ企画の舞台への参加は初となる岡田。実力派俳優として映像はもちろん、舞台でも欠かせない存在となった岡田が、ヨーロッパ企画の世界でどんな一面を見せてくれるのか。稽古開始を数日後に控えたある日、現在の胸の内を語ってもらった。
舞台上で本気で恋をする。そのリアリティが面白さに繋がるはず
――『来てけつかるべき新世界』の再演で、ヨーロッパ企画の舞台に初参加されます。
舞台は初めてですが、(作・演出の)上田(誠)さんが脚本を書かれた映像作品には何度か出演しています。特に去年やった『横道ドラゴン』はアドリブ劇で、撮影中ずっと上田さんがその場で脚本を書かれていたんです。だから結構密にお話する機会があって。ヨーロッパ企画の皆さんとはほかの現場でご一緒することも多かったですし、そういったことが今回の出演に繋がったのかなと思います。
――劇団の本公演をはじめ、上田さんの舞台作品も多く拝見されているとのことですが、その魅力とは?
素直なのか、素直じゃないのかよくわからないところがありますよね。実はちょっとひねくれているというか、あまのじゃくな感じもあって。
――確かに、正統派コメディのようでいて実は……みたいなところがありますね。
そうそう。見せる角度がちょっとほかの人とは違うというか、そこが上田さんの本の面白いところかなと。この初演を拝見した時も、第一に楽しそうだなとは思ったんですが、たた楽しいだけの雑なものではない、すごく密に作られている印象があって。改めて参加するのが楽しみになりました。
――本作で上田さんは、第61回岸田國士戯曲賞を受賞されています。
今回出演させてもらう上で、それも僕の中では大きかったことです。やっぱり戯曲としてすごく面白いですから。ただそれを自分が演じる、人を笑わせるとなると、本当に難しいことだろうなと思います。笑いに関する間とかワードチョイスって、僕は才能だと思っていて。ぜひそこは今回鍛えて欲しいですね。自分自身のことはボケだと思っているんですが、今回ツッコんでくれる人が周りにたくさんいて。どんどん拾ってもらって、面白くしていただけたらありがたいです。
――本作は8年ぶりの再演となりますが、岡田さんの役どころは初演で本多力(※元劇団員。22年に退団)さんが演じられた「散髪屋のおっさん」です。
本多くんのことも知っているだけに、あの人のパンチ力はよくわかっているつもりです。あれを僕がやろうとしても絶対に負けちゃうので、彼に出来ないことをやるべきだろうなと。上田さんとは、「よりリアリティがあったほうが面白いんじゃないか」といったことを話しています。コメディだけど、舞台上でちゃんと本気で恋をしている。つまりある程度の熱量を持って演じたほうが面白くなるんだろうなと思っています。
俳優の一番の仕事は、演出家が望むことを100%、120%で返すこと
――大阪・新世界が舞台ということで、台詞が関西弁なのも特徴のひとつですね。
初演が本多くんだったってこともそうですが、関西弁縛りであることも自分の中ではひとつ壁だと思っています。ただそこを意識し過ぎてしまうと、変に力が入っちゃって面白くないのかなとも思っていて。それよりも新世界ならではの勢いというか、空気感のほうを大切にしていきたいです。
――舞台では鄭義信さんやケラリーノ・サンドロヴィッチさんなど、同じ演出家の作品に参加することが多かったかと思います。今回の上田さんのように、初めての演出家と組む時になにか心がけていることはありますか?
上田さんってどういう感じなんだろう?って楽しみはありますが、この人とやるから、みたいなことは特に意識しないかもしれません。やっぱり僕ら俳優にとっての一番の仕事は、演出家が望むことを100%、120%で返すこと。だからまずは上田さんがなにを望んでいるか。そこを逃さず、大切に、しっかりと返していけたらと思っています。
――舞台は初とはいえ、上田さんをはじめヨーロッパ企画の皆さんとのおつき合い自体は長いので、安心は安心ですね。
そうですね。ただフレンドリーに見えて、意外と壁がある人もいたりしますから。そういうのを今回僕は、全部ぶっ壊していってやろうかなと(笑)。ずけずけキャラとして、どんどんみんなの中にずけずけ入っていこうかと思っていて。あ、でもめっちゃ嫌われたらどうしよう……程良い距離感でいこうと思います(笑)。
――(笑)。ヨーロッパ企画は地方公演が多いのも魅力ですね。
ええ、今13都市も回る公演なんてそうないですからね。ただヨーロッパ企画のお客さんって、いい加減なものを持っていっても笑ってくれない人が多いような気がするんです。しかも今回は、僕と板尾(創路)さんと(町田)マリーさんが加わるわけで、その中でどう作品として面白く出来るのか。そこも僕にとっては大きなチャレンジかなと思っています。
取材・文:野上瑠美子 撮影:石坂大輔
<公演情報>
ヨーロッパ企画第43回公演
『来てけつかるべき新世界』
作・演出:上田誠
音楽:キセル
出演:石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅
土佐和成 中川晴樹 永野宗典 藤谷理子 /
金丸慎太郎 町田マリー
岡田義徳 板尾創路
【プレビュー公演】
2024年8月31日(土)
会場:滋賀県・栗東芸術文化会館さきら中ホール
【東京公演】
2024年9月19日(木)~10月6日(日)
会場:本多劇場
ほか、京都、富山、新潟、大阪、愛知、神奈川、福岡、広島、高知、石川、北海道にて上演予定
チケット情報:
pia.jp/t/europe-k/
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