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無名劇団×尾形大吾の共同企画第2弾は、吸血鬼一家を通じて描く葛藤と成長の物語

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「みんなと共鳴する演劇」を目指し、若者の群像劇を得意とする無名劇団と、観劇ファンを増やして演劇界を盛り上げたいと活動する俳優の尾形大吾による共同公演第2弾『BURNS FAMILY』。吸血鬼をモチーフに、深い森の奥で暮らすとある家族の‟しきたり“を巡るホラー・コメディだ。劇団代表で作・演出を担う島原夏海と、劇団に新たな風を吹かせている劇団Patch卒業生の尾形大吾に、無名劇団について、また共同プロデュースの取り組みなどを聞いた。

――無名劇団とは?ということをお伺いしたいとのですが、どんな劇団でしょうか?

島原:元々は中・高演劇部の卒業生を母体にした劇団で2002年に立ち上げました。その時の代表で脚本・演出の中條岳青が一旦休みたいということで2009年に休団して、中條が不在の中で2015年に復活しまして、そこから私が脚本・演出を担うようになりました。

――島原さんはいつ入団されたんですか。

島原:私は結成メンバーの一人である顧問の娘なんです。劇団員ではなかったのですが、劇団には出入りしていて、中学生ぐらいからずっと関わってきました。私が大学に入学して本格的にやり始めたいなって思った時に休団になったので、自分の居場所を守っていきたいなという気持ちがあって、脚本・演出はやったことがなかったのですが、「もう一回、私が」と思って、2015年からがっつり劇団員として、また、代表としてやり始めました。

――では、作風について教えてください。

島原:中條が劇団に帰ってきたこともありまして、今は私と中條の脚本の2パターンがあって、中條は近代文学をモチーフにした、ちょっと幻想的な世界観の作風です。私が作・演をする時は心の痛みや日常の些細なことに対する葛藤などを表現したいという気持ちがありまして、家族観や死生観をモチーフに、ワンシチュエーションの演劇を作ることが多いです。今回の『BURNS FAMILY』も吸血鬼という特殊な設定のお話ですが、日常会話で構成されているちょっとコミカルな演劇です。おこがましいのですが、三谷幸喜さんみたいな作風が好きで、コミカルだけど切ない、ちょっと重たい部分もあるというものを目指そうと、今回もそういう路線で描こうと思っています。

――尾形さんとはどんな出会いだったのでしょうか?

島原:休団前の作品で『プラズマ』というテアトロ新人戯曲賞の佳作賞を取った代表作があるのですが、10年ぶりにリメイクしようという話になった時、主役である高校生を演じていただける方を探していて、知り合いに尾形さんを紹介してもらいました。それが5年前です。5年前に初めて一緒にやらせていただいて、尾形さんのお芝居は素敵だなと思いましたし、客演として演じるだけでなく、作るところから並走してくださって。一緒に作品を盛り上げていきたいと思ってくださったそのスタンスがすごく素敵だなと思って、それから毎年、年に1回以上は一緒にやらせてもらっています。

――共同プロデュースという形では今回が第2弾ですが、尾形さんは客演としての関わり方と、共同プロデュースでの関わり方は、また違うんですか?

尾形:これまでは無名劇団さんからオファーがあって出演させてもらっていましたが、無名劇団さんのお芝居の良さを僕のファンや周りの方々にもっと知ってもらいたい、もっと広げたいなと思って、去年、僕から「共同プロデュースをしませんか」と声をかけさせていただきました。それで、僕が今まで出会ってきた方や一緒にお芝居をやりたい方と無名劇団さんとで芝居を作ろうと。

――尾形さんが思う無名劇団さんの良さとは?

尾形:島原さんの脚本はすごく苦しい部分が多くて、ストレートな言い方になりますが役者の心に負担がかかるんですよね。でも、その苦しみに対してお客さんも同じような感想を持たれていて、役者自身が苦しむことによってお客さんと寄り添えるところが島原さんの脚本の一番いいところだなと思っています。僕のファンの方もそのことを分かってくださっていて、無名劇団さんをより好きになったり、友の会という無名劇団さんのファンサイトに入ってくださったりして、いい相乗効果が出ているのではないかと思います。

――ファンの方からはどんなご感想がありますか?

尾形:役者としての姿以外で僕を知ってくださったファンの方の中には、「舞台を初めて見ました」という方がちらほらいらっしゃって。「初めて見た舞台が無名劇団さんでよかった」と、島原さんの作品にどっぷりはまっていく方が多いですね。「また出てください」とも言ってくださって、やってよかったなと思います。

――今回はホラー・コメディですが、どんなお芝居になるのでしょうか?

島原:吸血鬼のお話で、特殊な設定だけど振り返ると自分のことのように感じるというものを表現してみたいと思っています。生きている方の葛藤を特殊な設定で表現したいというのは前から思っていたので、派手な衣装や設定を意識しながら、私の世界観も崩さずに、それらをいい塩梅でバランスとってやっていきたいなと考えています。

――尾形さんが一緒にお芝居したい役者さんをお呼びしたということですが、どなたでしょうか?

尾形:前野修一さんと原貴和さんをキャスティングしました。原さんとは東京のミュージカルでお会いしまして、その時、役ではちょっとしか絡まなかったのですが、稽古場でも1行のト書きから驚くようなプランを考えてくれていて、挑戦的で心のある役者さんだと思って。あと、性格と顔がちょっと似ているんですよね。それで島原さんに「こういう人がいるんだけど、兄弟役とか、面白いことができないかな」と相談しました。

島原:家族の話になったのも、「僕と原さんの顔が似ているから、兄弟の役とかできたりしない?」と言ってきて。そうやったら家族かな?って。

尾形:前野さんはお兄ちゃんっぽい人で。僕にもお兄ちゃんがいて、前野さんは僕のお兄ちゃんとそっくりな性格なんですよね。それで、前野さん、原さん、僕という3兄弟の物語を関西・東京で上演することで、無名劇団さんに新たな広がりがあるのではと思ってキャスティングしました。

島原:お父さん役の川下大洋(Piper/大田王)さんと、お母さん役の中村ユリ(アルソア日粧)さんと、3兄弟がいて。200年くらい生きている吸血鬼の家族で、原さんが三男役です。「吸血鬼はある条件を満たさないと成人できない」と、その条件を満たすため、夜に成人を迎える三男の誕生日パーティーを開きます。今の時代、吸血鬼はもう人の血を吸わないのだけど、その家は由緒正しき家だから絶対にそのしきたりを完遂しなければならないということで、3人の人間が騙されて彼らのパーティーに連れて来られて…という展開です。ファンタジーな要素を取り入れながら、描き出したいテーマは、普遍的な「家族」の葛藤や愛です。私自身、父との関係が良くないのですが、もしやり直せるならどういう方法があるんだろうと考えたいというか。人間、失敗することもあると思うのですが、失敗を受け止めて、そこからどう立て直そうとするか考えられることが大人になるということなんじゃないかなって思って。なので、作品を通じて大人になるとか、家族になるとはどういうことか考えていきたい。それをストレートにやっちゃうと結構重たい話になるので、ふざけた設定だったり、キラキラした衣装にして、マイルドにしていきたいですね。

――島原さんの個人的な痛みに向き合って、それをエンタメとしてお客様にお届けする。

島原:そうですね。これまでは私自身の痛みをそのまま描くことが多かったのですが、自分の痛みを描くことは同じですが、それをある種のエンターテイメントまで昇華して、ちょっと客観視して、楽しませていけるような物語になればいいなと。今回はそういったチャレンジでもあります。

――尾形さんは無名劇団さんと出会って、お芝居に対する考え方やご自身の中で変わったことはありますか。

尾形:僕が初めて無名劇団さんに出させていただいた5年前は、舞台とはどういうものかわからない状態が続いていたんです。劇団Patchの舞台でお客さんを楽しませたり、盛り上げることに関しては掴んでいたのですが、心が動くことが少なくて。でも、無名劇団さんと関わり始めてものすごく心が動くようになって、島原さんが描く苦しみを自分が味わわないとお客様には届けられないということを教えてもらいました。今は動きすぎて毎回、鼻水が出ちゃう(笑)。また、無名劇団さんで初めて主演をさせていただいて、脚本に対して真っ直ぐ取り組むところが自分のいいところだと島原さんが教えてくれました。

――尾形さんが客演で来られて劇団員も変わりましたか?

島原:変わりましたね。私たちは舞台専門の学校を卒業して、結集しているわけではないので、どこか心がアマチュアというか、あくまでも好きでやっているんだという気持ちがあったのですが、尾形さんがプロとして私たちに関わってくださったことで、「このままではいけない、尾形さんに出てもらっても恥ずかしくない舞台じゃないといけない」と思いました。そこからはプロとしてどれだけお客さんに届けられるか、尾形さんのファンの方ががっかりするようなものを絶対に作ってはいけないという気持ちで、みんなで取り組んでいますね。

尾形:僕も今はすごく良い関わり方をしていると思います。心から演じるからこそ思うことがたくさんあって、「ここって、こういう言い回しではないんじゃない?」とか、芝居に対して感じたことを率直に相談できています。

――では、最後に公演に向けての意気込みをお願いします。

尾形:本当にたくさんの方に無名劇団の島原夏海さんが書くお芝居を見ていただきたいですし、好きになってもらいたいなと思います。コロナ禍でいろんなお仕事がなくなった時、声をかけてもらって、救ってもらったこともたくさんあるので、共同プロデュースは無名劇団さんに恩返しをしたいというところからも始まっています。僕を救ってくださった無名劇団さんを、もっといろんな方に見ていただける公演にしたいです。

島原:尾形さんと並走しているからこそ新しい試みや世界が見えることもあります。今回、小劇場の役者さんだけでなく、モデルさんや商業演劇の俳優の方もいらっしゃるのですが、尾形さんはそういう世界ともつなげてくださいました。だからこそ尾形さんがやりたいと思う会話劇で、「無名劇団に出ている尾形さんが一番輝いている」と尾形さんのファンの方にも思ってもらいたいし、今回初めて出てくださる役者さんにも「無名劇団はハマっていたね」と思っていただける作品にしたいと思います。

<公演情報>
無名劇団・尾形大吾 共同プロデュース東阪ツアー公演「BURNS FAMILY」

【大阪公演】
チケット発売中 Pコード:527-182
▼8月30日(金)~9月1日(日)
扇町ミュージアムキューブ CUBE01
S席-5000円 A席-4000円
[劇作・脚本][演出]島原夏海
[出演]尾形大吾/原貴和/前野修一/川下大洋(Piper/大田王)/綿谷優和(ワタナベエンターテインメント)/島原夏海/中村ユリ(アルソア日粧)/天知翔太/大塚芽依/かさね咲/神咲有希乃/充人/中井美空/松田拓士/守本圭太
※SS席、B席は取扱なし。未就学児入場不可。上演時間は約90分を予定しています。公演の詳細は公式WEBサイトをご確認ください。(https://mumeigekidan.net/stage/burnsfamily/)
[問]無名劇団■050-3576-2384

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:527-373
▼9月13日(金)~16日(月・祝)
萬劇場
S席-5500円 A席-4000円
[劇作・脚本][演出]島原夏海
[出演]尾形大吾/原貴和/前野修一/川下大洋(Piper/大田王)/綿谷優和(ワタナベエンターテインメント)/島原夏海/中村ユリ(アルソア日粧)/天知翔太/大塚芽依/かさね咲/神咲有希乃/充人/中井美空/松田拓士/守本圭太
※SS席、B席は取扱なし。未就学児入場不可。上演時間は約90分を予定しています。公演の詳細は公式WEBサイトをご確認ください。(https://mumeigekidan.net/stage/burnsfamily/)

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2452491

公式サイト:
https://mumeigekidan.net/stage/burnsfamily/

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