Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 5年ぶりの来日!“ヴァイオリンの怪人”ロビー・ラカトシュ インタビュー いかにしてキングは生まれ、世界を熱狂させてきたのか

5年ぶりの来日!“ヴァイオリンの怪人”ロビー・ラカトシュ インタビュー いかにしてキングは生まれ、世界を熱狂させてきたのか

クラシック

インタビュー

ぴあ

続きを読む

フォトギャラリー(4件)

すべて見る

目もくらむような圧倒的なテクニック、手に汗を握るグルーヴ感とオーラ、時に激しく、時にどこか懐かしく優しい音楽、そしてトレードマークの怪しいカイゼル髭。どれをとっても「ヤバい!」の一言。今年11月に来日する天才ヴァイオリニスト、ラカトシュがインタビューに応えてくれた。その音楽の秘密に触れて、公演までワクワクしながら待ちたい。

―ジプシー音楽がユニークなのはどういったところでしょうか

クラシックとは違うよね。いや、基本的にはクラシック音楽のヴァイオリンのテクを使うんだけど、ジプシー音楽には、たとえばクラシックとは違うビブラートのテクニックが求められるんだ。それからグリッサンドもずっともっと使うよね。これは一番大事なことかな。それからピチカート。私ももちろんピチカートを使うけど、言ってみれば自分のオリジナルなピチカートのテクニックを使っている。バラライカのような、あるいはフラメンコ・ギターのような。アルペジオだってそうだ。ジプシー音楽がユニークなのはこういったところだね。

―子どもの頃からオーケストラで演奏したそうですね。あなたの超絶ヴァイオリンのテクニックは現場で大人たちから教えて貰ったのですか。それとも毎日の基礎練習などで身につけたのでしょうか。

僕が子供の時のヴァイオリン教育は、今とはずいぶん違っていたと思う。コミュニストの時代だったし、そもそも何かを習う、ということが今よりずっと難しかった。だから何かを学ぶならものすごく真剣にやらないといけなかった。僕がついた先生は、とてもとても厳しかったんだ。基本的なテクニックはその先生から習ったよ、古いハンガリーの教育法でね。ヨーゼフ・シゲティやイロナ・フェヘールの考えたとてもパワフルなメソッドだったよ。

―若い音楽家たち、クラシック音楽で生きて行こうと思っている優秀な若者たちにはどのようなことを教えますか。

たまにマスタークラスや若い音楽家を教えるけど、僕がハンガリーで作った財団では、例えばヴァイオリンのコンクールをしているんだ。このコンクールはおもしろくて、即興のコンクールなんだよ。若い演奏家に教えるときはほぼ即興を教えるんだよ。クラシックの若い演奏家が即興演奏を学ぶのはとても大切なことだと思う。まずは何かトライしてみる、そうするとどんどん即興ができるようになっていく。ジャズやジプシー音楽みたいにね。それに即興というのは全ての音楽に通じるものだよ。私が教えるっていうことはつまり即興を教えることなんだよ。

―ハイフェッツやレーピンなどのヴァイオリニストが好きだと以前語っておられました。いまでもそれは変わりませんか。

レーピンは素晴らしい演奏家だし、今でももちろん大ファンだよ!ヴェンゲーロフもそうだけど、偉大な音楽家はものすごくたくさんいるから、だれかを選ぶのはとにかく大変だね。レーピンやヴェンゲーロフとは仲良しだし。若い世代だと例えば、レオニダス・カヴァコスとかヒラリー・ハーンも素晴らしい。アンネ=ゾフィー・ムターもファンタスティックだよね。

―伝説のヴァイオリニスト、メニューインはしばしばあなたのクラブに来ていたそうですね。どういう会話をしましたか。よく憶えているメニューインの言葉はなんですか。

素晴らしい人だったね。メニューインの80歳を記念したコンサートがブリュッセルのバレ・デ・ボザール(注:ブリュッセルで最も有名なクラシックのコンサートホール。なおラカトシュはブリュッセル在住)であって、そのあと初めて私のクラブに来てくれたんだ。それから月に一回のペースで来てくれるようになった。メニューインの方がずっと年上なのに、僕たちはとてもいい友達になれたんだ。面白いよね。ある日、「私は世界じゅうを旅しているし、みんな君のことを知ってるっていう。でも知っているのは音楽家だけなんだ。もっと一般の人にも広く知ってもらうため一緒にコンサートをしないか?」と誘ってくれたんだ。ブリュッセル、ロンドン、パリで3公演したんだけど、それが僕にとってとても大事な分岐点になった。僕のキャリアはまさにここから始まったんだよ。

―今度日本ではどんな楽器で演奏されるのですか。

いろいろな素晴らしい楽器で演奏してきたけれど。曾お爺さんの代から家に伝わるヴァイオリンがあるんだ。1696年頃にブレシア出身のジョヴァンニ・バティスタ・ロジェーリが作った楽器だ。今回日本ではこのヴァイオリンを弾くよ。

―今回のプログラムのハイライト、一番聴いてほしい曲はなんですか。

新しい曲を聴いてほしいね!ダブル・スタンダードというCDがあるんだ。ダリウス・ブラスバンドというピアノ演奏家と一緒に演奏したんだけど、日本ではここから2曲演奏するよ。NinaとTic-Tacという曲で、面白い作品だよ。もちろん自分の心に近いブラームスとリストの曲も演奏するよ!リストはイェヌー・リステシュがチンバロンソロで演奏するんだ。とても、とてもいい曲なんだよね。楽しみにしていてほしい。

取材:山根悟郎

ロビー・ラカトシュ&アンサンブル

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451201

11月10日(日)
13:00開演 Aプログラム
17:30開演 Bプログラム
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

11月12日(火)
19:00開演 Bプログラム
神奈川県立音楽堂

フォトギャラリー(4件)

すべて見る