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『虎に翼』直人役の青山凌大の素顔「大切な人が大切な人と楽しそうにしているのを見るのが好き」

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青山凌大 (撮影/友野雄)

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いよいよ佳境を迎えた『虎に翼』。クライマックスに向け大きな盛り上がりを見せる中、主人公・寅子を取り囲む顔ぶれにも注目が集まっている。

その一人が、猪爪直人役の青山凌大だ。寅子の甥として、寅子と同じ法曹の道を目指す直人。持ち前の端正な雰囲気で猪爪家に爽やかな風を吹き込んでいる。

演じる青山は本作が朝ドラ初出演の23歳。その素顔は、礼儀正しくて、思慮深くて、でもちょっとネガティブ?でこじらせているThe令和男子だった……!

昔から波風立たない人生がいいなと思っていました(笑)

――『虎に翼』は、あらゆる人々が平等に生きていける社会を目指した物語です。

正直、本当の平等ってすごく難しいものだと思うんです。僕も含めて人は難しいことをついあきらめてしまいがち。でもこの作品に出てくる人たちは、綺麗事と言われるような平等な社会を実現しようと真剣に取り組んでいる。きっとトラちゃんみたいな人たちは今この時代にもいると思っていて。社会を良くしようと頑張っている人たちに恥じないよう演じたいと思って現場に入りました。

――序盤から、いかに女性たちが理不尽な境遇を強いられていたかが描かれていました。

『虎に翼』は戦前から戦後のお話ですけど、今も変わらず差別が残っている部分はあると思うんですね。僕は女性というだけで相手を軽視するような人が好きではないので。そういった差別や理不尽に悩んでいる人にとって拠り所になる作品なんじゃないかなと思います。

――ご自身にとって初の朝ドラ。緊張もあったんじゃないでしょうか。

僕、人と仲良くなるのにすごく時間がかかるタイプなんです。でも、『虎に翼』の現場はみなさんすごく優しくて。僕が前室に入ってきたら(直人の母・花江役の)森田(望智)さんが「こっち来て座りなよ」と温かく声をかけてくれて、自然と輪の中に入っていけたんですね。なので、緊張してどうしようみたいなことには全然ならなかったんです。

――あの賑やかな猪爪家のまんまの空気なんですね。

休憩中も僕が食に興味がないという話をしたら、「なんで興味ないの?」「どういうものが好きなの?」って、こんなにツッコまれるんだっていうくらいいっぱい質問が飛んできて(笑)。視聴者のみなさんが想像されている通りの素敵な方たちばっかりで、楽しかったし面白かったです。

――食に興味がないんですね(笑)。

そうなんです……(笑)。お腹に溜まるのがあんまり好きじゃなくて。『ドラゴンボール』の仙豆ってわかります? あれを1粒食べると10日間くらい何も食べなくていいらしくて。普段の食事も全部あれがいいなって思っています(笑)。

――基本的に淡白というか、物事にあまり興味がないタイプですか。

かもしれないです(笑)。それこそこの仕事を始めるまで何か一つのことに真剣に打ち込んだこともなかったですし。大きな言い方になりますけど、人の可能性とか、そういうものを信じてこなかったので。

――青山さんはジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞したことをきっかけに芸能界入り。ただ、応募をしたのはお母様だったそうで、青山さんは芸能界に興味がなかったそうですね。

そうですね。なかなかない機会なので、せっかくだからやってみるだけやってみようという感じでスタートして。お芝居のレッスンを受けたりして楽しいと思った時期もあるんですけど、楽しいだけじゃできないなということに気づいて、辞めようと考えたこともありました。

――そこのお話、もうちょっと聞いてもいいですか。

僕、人から注目されるのがあまり得意じゃないんです。波風立たない人生がいいなって昔から常々思ってて。

――波風立たない人生(笑)。

でも、芸能界ってそこからあまりに外れているじゃないですか。

――なんだったら波風を起こしていく仕事ですからね。

誰かに何かを与えられるという意味では素敵な仕事だなと思いますし、それができる人のことを尊敬してますけど、自分はそっち側の人間ではないかもしれないなと。

――そこからどうやってもうちょっとお芝居を頑張ってみようと腹決めしたんですか。

応援してくださる方々の言葉に背中を押されたり、いくつかきっかけはありますけど、その一つが『虎に翼』であるのは間違いないです。本当にすごい方たちばっかりなんです。伊藤(沙莉)さんとか、表情だけでいろんな感情を表現されるじゃないですか。伊藤さんのお芝居を見ながら、どうやったらこんな表情ができるんだろうって考えるのも楽しいですし。スタッフさんもみなさんカッコよくて。一つのシーンをつくるために、全員が妥協せず突きつめていく姿を見て、僕も少しでもみなさんに近づきたいと思った。そこから自分の中でギアが一つ上がったような感覚はあります。

花江さんへの台詞は、自分の母への感謝の気持ちを重ねました

――青山さんは第20週からの出演となりましたが、周りの反響はいかがでしたか。

僕のおじいちゃんが自営業をしてるんですけど、取引先の方に僕が出るよってメールをしていて。お客さんからの反応も一つ一つLINEで教えてくれて。面白いおじいちゃんだなと思いました。

――直人はお父さん譲りの「僕にはわかる」が口癖。青山さんはお父様似ですか。それともお母様似ですか。

両親を知っている人からは、中間かなってよく言われます。僕の父は、誠実な人。大らかで、明るくて、友人も多くて、僕はそこは似なかったですけど(笑)、でも尊敬しているし、自分もこうありたいって憧れています。

母は、優しい人です。というか、僕から見ると甘いレベルで(笑)。僕もよく甘いと友人から言われるので、そういうところは似ているのかもしれません。

――ご両親は、青山さんのご活躍をどうご覧になっているんですか。

家族裁判のシーンで「俺ら、お母さんに幸せでいてほしいだけだよ」と言うくだりがあるんですけど、あのシーンを見て、母が「感動した。自分に言われてるみたいだった」って感想をくれて。僕もちょっと意識したというか、自分の母親に対する感謝の気持ちを重ねたところはあったので、母からそう言ってもらえたのはうれしかったです。

――死んだ父親から「お母さんのことを頼むよ」と託された直人がお母さんの面倒は僕たちが見ると宣言したシーンですよね。

あそこは10分以上の長回しだったので、もう緊張感がすごくて。でも、みんな一発OKなんです。直前まで笑いながら普通の会話をしてるのに、「よーい!」の瞬間に切り替わって、そこからは完璧。本当にすごい方たちだなと思いました。

大切な人が大切な人と楽しそうに生きているのを見るのが好き

――『虎に翼』には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、いちばん共感するのは誰ですか。

航一さんかな。人と距離をとりたがるところが、わりと似ている気がします。

――あまり人と関わりを持ちたくないタイプなんですね。

内心では関わりたいんですよ。でも、関わり方がわからない(笑)。それこそ仲良くなりたいなと思った人ができたとしても、その人にはこれまでの人生の中でもうすでに大切な人がいるわけじゃないですか。今さら自分がそこに割って入るのは違うというか。どっちかと言うと、自分はそこに入らなくていいので、大切な人が大切な人と楽しそうに生きているのを見ているのが好きなタイプです。

――天性の当て馬気質ですね(笑)。もし恋愛的な意味で好きな人ができたとして、その人が他の誰かを好きだったらどうしますか。

もうすでに付き合っているなら絶対に邪魔はしないです。もし付き合っていないなら応援したい気持ちもあるけど、その恋をしていて幸せじゃないのであれば僕のことを好きになってもらえる努力はしたいです。

――もし好きな子が片想いに疲れて悩んでいたら。

僕がそばにいて楽になるのであれば、そばにいてあげたいです。でも、弱っているところにつけ込むようなことはしたくないかな。気持ちが弱ってるときって正常な判断ができないじゃないですか。そういうときにアピールするのはどうなんだろうって。こういう考えなくていいことまで考えちゃう性格なんですよね……(笑)。それがいいことだとは思っていないんですけど。

――前提として、自分が傷つくのが嫌なのかなという印象もあります。

嫌ですね(笑)。

――あまり他人に執着しないのも、誰か特定の人を拠り所にすることで、そこの関係がダメになったときに自分までダメになることを恐れているような……。

そうですそうです(笑)。もちろん家族とか友人とか拠り所にしている相手は僕にもいますし、誰かから頼られたらうれしいし、自分にできることならなんでもしてあげたい気持ちはありますけど。

――リアルにトラちゃんみたいな人がいたら距離を置くタイプですか。

というより、僕にもトラちゃんみたいな時期があったんだと思います。それこそ小中のときは自分で言うのもなんですけど、正義感の塊みたいな子で。アリを潰している子とか大っ嫌いで本気で怒ったりして、よく真面目って言われていたんですけど。いろいろあって、今は主張をするのに疲れちゃったのかもしれない(笑)。

――でも、俳優というのは、人に対して深く踏み込むことを避けられない職業とも言えます。

そういう意味で、すごくいい出会いになったのが(叔父・直明役の)三山(凌輝)さんでした。三山さんって人との距離が近くて、何でも話してくれる人なんです。三山さんとたくさん話したおかげか、「朝ドラに入ってから明るくなったね」とよく言われます(笑)。

――役柄上は叔父と甥ですが、実年齢は近いですもんね。

それこそ三山さんと僕って誕生日が一緒なんですよ。名前も「山」と「凌」と共通の字が入ってて。だけど、性格全然違うよねって話を現場でしていました(笑)。

三山さんともうちょっと仲良くなってみたいです

――役だけではわからない青山さんの面白さが見えてきたところで、もうちょっと素の部分を掘っていきたいと思います。お仕事以外で、何をやってるときが楽しいですか。

音楽が好きで、よく聴いています。Mrs. GREEN APPLEさんがデビューしたときからずっと大好きで。キラキラしたイメージがあるかもしれませんが、実は黒々しい歌詞が多くて、そこに救われるんですよね。ハマったきっかけが『我逢人』という曲なんですけど、「貴方の微笑みだけじゃ救われない世界が心底嫌いになりそうだ」という歌詞とか本当いいなって。

――カラオケに行ったりも?

します。地元が、遊びに行くところがイオンかカラオケしかないようなところだったので(笑)。カラオケではミセス(Mrs. GREEN APPLE)とかRADWIMPSとかヨルシカあたりをよく歌います。

――ご自身の長所は?

真面目に生きようとしているところ。自分のことを真面目だとは思っていないですけど、真面目に生きようとは思ってます。

――じゃあ、短所は?

それゆえにつまらないところ……(笑)。たぶん僕っていじりにくいんです。仲良くなった人には「変だよね」とか面白がられるんですけど、なかなかそこまで仲良くならない(笑)。

――じゃあ、芸能界で仲良くなった人とか……?

正直いないです(笑)。連絡先を交換した方はいますし、趣味が合いそうな方もいるんですけど、さっき話したように、もうその人にはその人の大切な人がいるなって思っちゃうので、自分から連絡するのが得意じゃない……。

――失礼を承知で言いますが、面倒くさいタイプですね(笑)。

その通りです。面倒くさいことを自覚してるので、そう言っていただいても全然嫌な気はしないです(笑)。卑屈なんですよ、きっと。

――この人と仲良くなってみたいなと思っている人は?

そんなことを言ったらみんなそうです! 関わった人みんな好きですけど、今あえて名前を一人挙げるなら、三山さんは本当に素敵な方でした。

――じゃあ三山さんにカラオケ行こうって言ったり。

絶対言えないです、自分からは。

――じゃあ三山さんから行こうって言われたら?

行きたいです! って、こんなところで言っていいのかわからないですけど(笑)。

――では最後に。「僕にはわかる」というのがお決まりの台詞ですが、青山さんの「僕にはわかる」なことはありますか。

たぶんご覧になっている方は、テレビに出ている人ってみんなキラキラしていて何不自由なく生きているんだろうなと思われたりするかもしれませんが、全然そんなことはないです。

自分で言うのもなんですけど、僕にも黒々しい部分はありますし、しんどかったこともたくさんある。だから、みなさんのしんどいことも僕にはわかる気がするので、仲間だよって伝えたいです。


撮影/友野雄、取材・文/横川良明
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