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令和6年度(第79回)文化庁芸術祭主催公演『アジア オーケストラ ウィーク 2024』が京都初開催!

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京都市交響楽団 ©井上写真事務所 井上嘉和

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文化庁芸術祭主催公演アジアオーケストラウィークが、メイン会場を京都に移す。その最初の日本側のホストは、当然のことながら、京都市交響楽団だ。指揮台に上るのは大友直人、京都市直営時代の最後を率いた第11代常任指揮者である。大声を張り上げる強引さとは無縁な端正な音楽は、細かいニュアンスや味わいに満ち、京響が70年に近い歴史で培ったブラームスの本質へと真っ直ぐ導いてくれよう。そして日本代表として舞台に挙がる音楽たちは、今や世界を席巻するニッポン・サブカルチャーの古典たる伊福部昭の咆哮に始まり、異才池辺晋一郎が日本人なら知らぬ者はない宮城道雄の響きをオーケストラに置き換え、日本伝統楽器の風雲児が開く琴の響きの未来へ。これらを10月22日に聴くことが出来る。10月19日のシンガポール交響楽団と共に貴重な機会だ。

京響は日本のプロ管弦楽団にあって、極めて独特な存在である。まだ高度成長期が始まる前の年、音楽家を公務員として雇い、市長を楽団長に、安定した運営を試みた。日本史上初の「公共インフラとしてのオーケストラ」を誕生させたのが、百年千年の文化財に溢れ、日本最古の市立芸術大学を有し、芸術の価値と社会的役割、さらにはその維持の困難さを誰よりも知る古都の納税者だったのは、いかにも京都らしいことだった。

今は伝説となった初代指揮者カール・チェリウスの猛訓練で鍛えられ「モーツァルト・オーケストラ」として知られた京響は、その後は森正、外山雄三、渡邉暁雄、山田一雄と、派手さや話題性ではなく実力のみを評価したような日本の実力者を歴代常任に迎え、安定した老舗として着実に古都の音楽芸術を支え続けた。その意味では、世界のスター奏者を集めたスーパーオーケストラ設立ではなく、音楽監督ラン・シュイの下で多文化都市国家の音楽文化を担う基本インフラとして着実に地力を高める道を選んだシンガポール交響楽団にも共通している。

そして今、京響は、市直営から外郭団体への移管という大きな変革を情熱と安定という矛盾するカリスマ性で乗り切った広上淳一を経て、日本初の女性音楽監督として話題の沖澤のどかと共に、新たな時代を迎えようとしている。

1200年の古都と建国半世紀の多文化都市――正反対にもみえる街は、どんなオーケストラの響きを育んだのか。世界に伝える秋の夜。

渡辺和(音楽ジャーナリスト)

<公演情報>
令和6年度(第79回)文化庁芸術祭主催公演
『アジア オーケストラ ウィーク 2024』


〈シンガポール交響楽団〉
▼10月19日(土) 16:00
京都コンサートホール 大ホール
[指揮]ハンス・グラーフ [独奏]エレーヌ・グリモー(p) [演奏]シンガポール交響楽団

〈京都市交響楽団〉
▼10月22日(火) 19:00
京都コンサートホール 大ホール
[指揮]大友直人 [独奏]LEO(箏) [演奏]京都市交響楽団

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2454502

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▼10月20日(日)13:00~15:00
ヒューリックホール京都
参加費無料
https://www.orchestra.or.jp/information/2024/-aow2024symposium/

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