新しい“映画との出会い”がきっとある！
月イチ！“ぴあテン”ランキング
2024年9月公開の「みた」映画ベストテン！

エンタメの出会いと発見を提供する「ぴあアプリ＆Web」のランキング企画『月イチ！“ぴあテン”ランキング』！　「ぴあアプリ＆Web」でいつも映画のレビューを執筆していただいている「水先案内人」合計27名の皆様に、2024年9月公開の「みた」映画の中から特に良かった作品、好きだった作品、高く評価している作品を投票していただいたベストテンを発表します！

本企画は、毎月中旬頃に発表予定。同じく「水先案内人」の皆様に聞いた「これからみたい」映画ベストテンも、毎月末～翌月初旬に発表します。ふたつのランキングで、映画ツウたちがみた上で高く評価した作品や期待している作品をチェックして、新しい“映画との出会い”をお楽しみください！

【ランキング投票方法】
水先案内人合計27名に2024年9月公開の「みた」映画の中からそれぞれがベスト3までを挙げていただき、1位：5点、2位：3点、3位：2点のポイントを付けたうえで集計したもの。対象は2024年9月1日～9月30日に日本で劇場公開された作品で、映画祭や特集上映での公開作、配信のみの作品、ブルーレイ・DVDのみでの発売作品は含みません。

ぴあ水先案内人27人が投票！
2024年9月公開の「みた」映画ベストテンはこちら！

1位

エイリアン：ロムルス

公開日：2024/9/6(金)

33pt

2位

Cloud クラウド

公開日：2024/9/27(金)

32pt

3位

ナミビアの砂漠

公開日：2024/9/6(金)

31pt

4位

ヒットマン

公開日：2024/9/13(金)

26pt

5位

ぼくが生きてる、ふたつの世界

公開日：2024/9/20(金)

21pt

6位

西湖畔に生きる

公開日：2024/9/27(金)

18pt

7位

ぼくのお日さま

公開日：2024/9/13(金)

17pt

8位

憐れみの3章

公開日：2024/9/27(金)

15pt

9位

ジョン・ガリアーノ　世界一愚かな天才デザイナー

公開日：2024/9/20(金)

10pt

同9位

パリのちいさなオーケストラ

公開日：2024/9/20(金)

10pt

【ランキング総評】
2024年9月に日本で劇場公開された映画は79作品。その中からぴあ水先案内人が選んだ「9月の“みた”映画ベストテン」は、前月と同様に、ベスト3が1ptの僅差でならぶ接戦でした。

第1位に輝いたのは、シリーズ７年ぶりの新作『エイリアン：ロムルス』。「こんなエイリアンがみたかったのだ！」（笠井信輔）、「ヒロインが最高！」（中谷祐介）という熱いコメントにあるように、さまざまな点で原点回帰を感じさせる期待通りのサバイバル・スリラーでした。

第2位には、菅田将暉との初タッグも話題になった黒沢清監督の『Cloud クラウド』が！「げに恐ろしく、おかしきは人間。そのことを活写した……唯一無二の興奮を味わわせる」（恩田泰子）作品。黒沢映画は6月に『蛇の道』、8月に『Chime』と、驚異的ペースで新作の公開が続きましたが、すべて「“みた”ベストテン」にランクインするという快挙です。

そして第3位は『ナミビアの砂漠』。やり場のない感情を抱いて生きる21歳の女性が主人公の本作は、「山中（瑶子）監督の才気と、河合優実の絶妙な表情と身体性からなる演技力が奇跡的に融合」（細谷美香）といった称賛にくわえ、「今後、日本映画になにか変革をもたらすかもしれない」（水上賢治）という声まであがっています。

8月に発表した「9月の“みたい”映画ベストテン」から大幅にランクアップした作品は、ベストテン圏外から第5位に入った『ぼくが生きてる、ふたつの世界』。吉沢亮がCODAの主人公を演じた、呉美保監督の「家族に関する気付きがある」（夏目深雪）感動作です。

水先案内人が投票する、2024年9月公開の「これからみたい」映画ベストテンへ

ぴあ水先案内人から寄せられた選出コメント

恩田泰子
映画記者（讀賣新聞）

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①Cloud クラウド
②ぼくが生きてる、ふたつの世界
③西湖畔に生きる
【選出コメント】
げに恐ろしく、おかしきは人間。そのことを活写した①は、冷たい水風呂のように、見る者の頭を冷たくクリアに保ちながら、血流を促進。唯一無二の興奮を味わわせる。②は、CODAの主人公の物語を徹底的に描きこむことによって見事な普遍性を獲得。これもまた人のおかしみをちゃんと描いた映画。③では中国の俊英が鮮烈に描き出す人間世界の闇と光に引き込まれずにはいられなかった。

笠井信輔
フリーアナウンサー

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①ぼくが生きてる、ふたつの世界
②エイリアン：ロムルス
③ぼくのお日さま
【選出コメント】
①吉沢亮の手話、母親役のろう者俳優、忍足亜希子に感動。②原点回帰、こんなエイリアンがみたかったのだ！　③令和のスケート版『小さな恋のメロディ』に胸熱。

春日太一
映画史・時代劇研究家

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①ヒットマン
②憐れみの3章
③ビートルジュースビートルジュース
【選出コメント】
①はリンクレイター監督とグレン・パウエルの相性が抜群で、最高にロマンチックでスリリングなコメディ映画に仕上がっていた。②は３つのエピソードそれぞれの不穏な空気の出し方が抜群で、他人に生き方を依存してしまった人々の憐れさが緊迫感とともに突き刺さる。③は作品内容云々は別として同窓会的な楽しみ方ができた。

立川直樹
プロデューサー、ディレクター

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①ジョン・ガリアーノ　世界一愚かな天才デザイナー
②憐れみの3章
③セッションマン：ニッキー・ホプキンズローリング・ストーンズに愛された男
【選出コメント】
①は本当におもしろいし、よくぞここまで出来たものだと感心させられたドキュメンタリー。本人が映画以上に映画的なのが凄かった。②はランティモス監督の（クリエイティブな）エネルギーと他の追随を許さない“甘い毒”のようなセンスに脱帽させられた。③は構成は平凡だが知らなかったことをたくさん知ることができたのに感謝……。

中谷祐介
編集者(ぴあ)

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①Cloud クラウド
②エイリアン：ロムルス
③ヒットマン
【選出コメント】
①はとにかく面白い！また観たくなる！ジャンル映画の魅力がこの時代に成立したことに驚愕。地獄の入り口まで一方通行。1秒ごとに日常から遠ざかっていく。決して元には戻れない。その恐怖と快感！　②はヒロインが最高！新しさはないけど「やっぱエイリアンってこれだよな」感でひとまず満足。③はリンクレイター安定の仕事。

夏目深雪
著述・編集業

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①ナミビアの砂漠
②ぼくが生きてる、ふたつの世界
③Cloud クラウド
【選出コメント】
「悪女」や「狂気の女」枠にヒロインを押し込めず、ヒロインのエモーションをただ追い続ける①の新しさは快挙である。男性が嫌い、女性のみが喜ぶ映画があったっていい。②は和製版『コーダあいのうた』だがまた違う感動と家族に関する気付きがある。③黒沢清監督が菅田将暉と組んだ作品。公開作が続くが他の作品も楽しみである。

細谷美香
映画ライター

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①ナミビアの砂漠
②ぼくが生きてる、ふたつの世界
③西湖畔に生きる
【選出コメント】
①は山中監督の才気と、河合優実の絶妙な表情と身体性からなる演技力が奇跡的に融合。自分の違和感に正直な主人公のように怒りを爆発させてみたくなった。呉監督のユーモアを交えた慎み深い演出と、母親の愛情に大号泣した②、山水画のような美しさとマルチ商法の恐ろしさの寒暖差に震え上がった③もランクイン。

水上賢治
映画ライター

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①西湖畔に生きる
②ナミビアの砂漠
③SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース
【選出コメント】
①はグー・シャオガンの図抜けた才能を証明。いまこれほど強度のある物語を、強度のある映像で見せる映画作家はそういない。②は山中瑤子監督と河合優実がタッグを組み、こういう映画が生まれたことは、今後、日本映画になにか変革をもたらすかもしれない。③は、映像のもつ「美」と「刹那」を体感させてくれるすばらしい１作だった。

村山章
映画ライター

2024年9月公開の「みた」映画ベスト3
①ナミビアの砂漠
②ベイビーわるきゅーれナイスデイズ
③憐れみの3章
【選出コメント】
「若い才能」みたいに一括りにするのは失礼だが、映画って閃きだけじゃなく、いいものを形にするための技術も経験もいると思っていて、①の山中監督は1997年生まれ、②の阪元裕吾監督は96年生まれでどちらも20代。しかも独自の道を歩んで素晴らしい作品をものにしてる。未来！　③はベテランだけど好き放題にやってて楽しそう！