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ウルフルズ約2年ぶりホールツアー ファイナル公演オフィシャルレポート「永遠にこんなツアーが続くようにこれからもがんばります」

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『ウルフルズ ライブツアー2024 ツーツーウラウラツー シーズン1』10月20日(日) 山形・希望ホール(酒田市民会館) Photo:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

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ウルフルズの約2年ぶりのホールツアー『ウルフルズ ライブツアー2024 ツーツーウラウラツー シーズン1』が、8月31日佐賀・鳥栖市民文化会館にて初日を迎えた。ツアータイトルは2002年に開催された全国ツアー『ツーツーウラウラ』にちなんだもので、22年の時を経て開催される。今回のツアーは初めて訪れる街も含む全14都市の会場を回る。3本目となる9月5日京都・ロームシアター京都でライブレポートを担当したが、ツアーが始まったばかりという事で、ネタバレ一切なし曲目記述一切なしとして書いた為、大熱狂と大興奮は込められたものの詳細はまったく書けていない。というわけで、ツアーファイナルの10月20日山形・希望ホール(酒田市民会館)におけるライブレポートで思う存分書いていきたい。

リハーサル終了直前の15時に到着して、すぐに観客席へと向かう。オープニング演出の確認を終えて、メンバーとスタッフ全員の和やかな記念撮影も終えて、それぞれ開演まで自由に過ごす。開演5分前、トータス松本・ジョンB・サンコンJr.とサポートメンバーの真心ブラザーズの桜井秀俊(g)、小杉泰斗(key)の5人が往年のソウルミュージックやファンクミュージックを鳴らすバンドの如くお揃いの格好良いブラウンスーツ姿で集う。トータスのスーツだけ少し淡いブラウンなのもフロントマンを一段と象徴していて、これまたとてつもなく格好良い。メンバーとスタッフが本番前のルーティーンであるハイタッチの儀式を行なって、ステージ袖へと向かい、メンバーだけで円陣を組み気合い入れて、いよいよ始まる。

ステージ前に掲げられた緞帳には日本地図が描かれており、既に訪れた13都市には各地のスタンプ※註のシールが貼られ、スポットライトがグルグルと地図上を照らして、最後に山形へとスポットライトが当たる。BGMがカットされ、演奏が始まる。そして、緞帳の前に下手からトータス松本が登場して、観客を煽り、緞帳が振り落とされると演奏する4人が現れるという最高の幕開けシーン。ようやく書けたし、1曲目が「ツーツーウラウラ」から始まるというのも、やはり粋すぎる。

「知らない街へ 即出早出のツアーに」と歌われるように、初めての街も含めて全国津々浦々を訪れるのは、22年前のツアーも今回のツアーも同様に大きなコンセプト。特に酒田は初めて訪れる街であり、「今夜はオマエを離さないぜ」を「今夜は酒田を離さないぜ」と歌われた時、観客の熱狂度と興奮度は凄まじいものがあった。これは極めて重要な事なので先に書いておくが、兎にも角にも「おらが街にウルフルズがやって来た!!」ムードが想像以上に凄まじかった。先に訪れた京都は都市部であり、どちらかというとウルフルズファン・ロックファンが多く見受けられた。だが、酒田は大半が地元市民であり、それも老若男女問わない。如何にウルフルズが、トータス松本が、お茶の間の全国区的存在であり、認知度が高い事が誠によくわかった。「よくぞ酒田に来てくれた!」という大歓迎モードであり、観客席後方から観ていても多幸感しか溢れていなかった。16時30分開演という早い時間から大満杯の会館というのは素晴らしすぎる。

さて改めて、ライブでの立ち位置についても書くと、舞台前方に横一列で下手からサンコン・トータス・ジョンBときて、一段高い後方に桜井と小杉が並ぶ。美術セットはツアー前半からSNSでも写真が掲載されていたが、2002年のツアー『ツーツーウラウラ』と同じくウルフルズとデザインされた電飾美術セットが色鮮やかに光りまくる。色々な色に光り輝くウルフルズの電飾を眺めているだけで、当たり前なのだが、今、ウルフルズのライブを目撃している感が異様に高められて、たまらなくハッピーな気分になる。

「山形久しぶりだし、酒田には初めて来ました。こんな立派な会館めちゃくちゃ気持ち良いし、最終日思う存分やりますから!」

「センチメンタルフィーバー ~あなたが好きだから~」での踊りひとつ観ても、トータスの気合いが漲っている。続く「いいたい事はそれだけ」では一転してスローバラードであり、その歌は沁みわたり聴き入るしかない。1995年リリースシングル「ガッツだぜ!!」カップリングという長年のファンが愛するナンバーだが、あまりにも秀逸なメロディアスナンバーであり、初めて聴く人の心にも間違いなく響く。

ツアーファイナルへの想いを「うれしいようなさびしいような何とも言えない気持ち」とトータスは評したが、この14本目でもバンドとしての調子の良さが手に取って分かる。ウルフルズのサポートギターを務めて早6年であり、デビュー35周年を迎えた真心ブラザーズの桜井。メンバーの子供世代と言っても過言ではないフレッシュ25歳の小杉。5人として初めてツアーを一緒に共にするが、熟年と新鮮による融合が何とも言えない。

魂揺さぶる男トータス松本のMCも絶好調で、後2年で還暦という話題から、「おじちゃん」「おじさん」「おっちゃん」はたまたジョンB提案の「おじちゃま」など呼び名についての話題や、山形県酒田市が御当地という事もあり、NHK朝の連続テレビ小説『おしん』についても語られる。一昨日、福島を訪れた事から先日亡くなられた西田敏行についても触れられ、故人の名曲「もしもピアノが弾けたなら」と『おしん』の音楽が同じく作曲家の坂田晃一が手掛けている事など、おしゃべりが一向に止まらない。もちろん全国各地で御当地の話がされているわけで、そう考えると同じ楽曲構成流れでも、ツアー1本1本すべてに違う味わいがある。

ジョンBが歌う「ニャーホホ」、サンコンが歌う「コミコミ」とトータス以外のふたりが歌う事で違う感触があるし、だからこそ、その後にトータスが歌う「ど真ん中」での山形(ヤマガタ)からの「ガッタ! ガッタ!」と熱を帯びていくファンク節がとんでもなく痺れる…。この3曲の流れはウルフルズというバンドの真骨頂が感じられた。そして、ウルフルズの心意気が充分に届けられる「いい女」では、最後にトータスが袖にはけて、「トータス松本に逢いたいか!?」というお家芸のコール&レスポンスから着替えが完了したトータスが再び我々のもとへと現れる。

個人的に京都でのライブで衝撃を受けたのは、この着替えのシーンであった。ウルフルズのツアーTシャツ・青に白ラインのジャージズボンという上下に、赤と白の長襦袢を羽織り、淡いブルーのハットを被る。いわゆる特注のド派手豪華な衣装というよりは、曲目や美術電飾セットなどと同じく想像以上にシンプルストレート。真っ直ぐド直球で必要最低限というか、余分なもの無駄なものがまったくない。先程までは結われていた長髪もおろされ、1992年デビュー・シングル「やぶれかぶれ」のMVを彷彿とさせる。歌われるのも、「今夜どう?(ここまではOK!)」とスーパーブレイク夜明け前の1995年リリース楽曲であり、当時のなりふり構わない荒々しいラフさが結成36年の現在にも漲っている。

このツアーではメンバーを丁寧に丁寧に何度も何度も紹介する場面も印象的であったが、ここでもトータスは真心ブラザーズの大名曲「どか~ん」を歌って、桜井を紹介していく。桜井もギターをバットの様に持ち構えたり、ギターフレーズを弾いたりとフルスイングで応えていく。こちらも1990年の楽曲ながら全く色褪せることなく、2024年の現在に更新されて、我々の耳に飛び込んでくる。「オレたちはウルフルズ! 君たちはお客!」というコール&レスポンスもそうだが、昔から変わらないと想っているものが、実は現代で変化進化を遂げている凄み……。酸いも甘いも全てひっくるめて爆旅を積み重ねてきたウルフルズならではのパワーである。

「(今までは)東京に戻ったり、地元大阪でファイナルをすることが多かったけど、今回は山形の酒田で終わるのが続いていく感じがするのよね!」

トータスは、こう言った。オープニングにおける日本地図の演出もそうだが、楽器や機材を乗せて全国津々浦々を走り回るツアートラックにも、トータスオリジナルイラストのウルフルズマスコットキャラわいもくんたちが日本地図の上を旅するイラストが描かれている。という事は、2002年は35本のツアーだった『ツーツーウラウラ』だが、今回はシーズン1と名乗っている事もあり、もしかして、シーズン2以降も続いていき、全47都道府県を全国津々浦々してくれるのではと……勝手に妄想してしまう。

そんな抑えきれぬ期待が爆発しそうな中、歌力が強烈な「サムライソウル」が真っ赤な照明と共に突き刺さってきたりと、尋常じゃなく高揚するが、気が付くとまたもや『おしん』の話に戻っており、橋田壽賀子=アレサ・フランクリン説など大脱線するのも御愛嬌。ファイナルならではの楽しい解放感を歌からも雑談からも感じられる貴重な夜であった。

終盤は、地方で聴くからなのか昭和旅芸人の唄みたいな味わいもあった「ヤッサ!コレカラ音頭」を皮切りに、「バカサバイバー」「ガッツだぜ!!」とファンキーナンバーが二連発。

「ずっと永遠にこんなツアーが続くように、これからもがんばります! 一緒に歌ってけろ!」

おしん風味もある決意表明からラストナンバー「笑えれば」は、会場全員が大熱唱。みんなでツアーファイナルを祝うお祭りな雰囲気がとても心地良かった。

アンコール。「愛がなくちゃ」が歌われて、このツアー初の試みであるインスタライブを次の楽曲だけ実施されることに。その前にトータスは総評の様に、今回のツアーは若い人と男の人が増えた事を明かし、その上で「ワーワー! キャーキャー!」と声援を送り続けてくれる女性皆様にも感謝を述べる。

「ありがたいことにウルフルズは原曲キーを下げずにやれている! みんなもキーを下げずに〈ワーワー! キャーキャー!〉言い続けてください!!」

そこからの「バンザイ~好きでよかった~」に感激しないわけがない……。恋人へのラブソングというよりは、ウルフルズから観客みんなへのラブソングに聴こえたのは、私だけだろうか。

ファイナルならではの特別なダブルアンコール。トータスが長髪を揺らしながらハンドマイクで舞台上手下手両方にある花道へと向かい、観客にギリギリまで近づいて魂の歌を叫ぶ。その歌が「ええねん」というのも、これ以上の選曲があるだろうかという極上さ! 大団円というのは、こういう状況を言うのであろう。こうしてシーズン1の幕は閉じたが、全国にウルフルズを待ってくれている人がいる限り、ライブツアー『ツーツーウラウラツー』はシーズン2以降も絶対に幕を開いてくれるだろう。

※註:会場のロビーに貼り出されているQRコードをスマホで読み込むと、ウルフルズのキャラクターである「わいもくん」が各地の名産物や観光名所とコラボしたスタンプがダウンロードできた。「各地のスタンプ」というのはこのスタンプを地図上に配置したもの。またファンクラブ会員はスタンプの数によってプレゼントが貰えた。スタンプは次回の『ツーツーウラウラツー』ツアーでも利用可とか?!
『ウルフルズ ライブツアー2024 ツーツーウラウラツー シーズン1 』特設ウェブサイト内「デジタルスタンプラリー」ページ

Text:鈴木淳史 Photo:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

<公演情報>
『ウルフルズ ライブツアー2024 ツーツーウラウラツー シーズン1』

10月20日(日) 山形・希望ホール(酒田市民会館)

公式サイト:
https://www.ulfuls.com/

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