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ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』囲み取材&公開ゲネプロレポート

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ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』囲み取材より (左から)太田基裕、牧島 輝、山崎大輝、小野塚勇人 撮影:田中亜紀

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11月4日、ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』開幕を前に、囲み会見とゲネプロが行われた。ふたり芝居で綴る、珠玉の110分間。太田基裕(アルヴィン)と牧島 輝(トーマス)は3年ぶり2回目のペア、山崎大輝(アルヴィン)と小野塚勇人(トーマス)は初参加となる。

囲み会見では、今の気持ちを聞かれて、太田「この3年間でいろんなことを経験し、またこうして(牧島と)向き合うことができて幸せです。新鮮な気持ちで演じていきたい」、牧島「久しぶりに台本を読んだら、前回とは印象が違うなと思いました。新しく作品を作る過程が楽しいです」、山崎「相方を信じて何があっても克服していく、そのように構築してきた気がします。アルヴィンはある種、ピーターパンみたいな人だと思っていて、そんな心を大切に演じたい」、小野塚「とにかく緊張しています。予想を遥かに上回る大変さで、めまぐるしく展開も変わります。心の底からこの作品を楽しめるようになりたいです」。演出の高橋正徳は「曲は同じでも、ペアによって違う作品のようになるのが面白いところです。110分間をふたりだけでやる、その旅で育っていく関係性が顕著に現れます。太田さんと牧島さんペアは解像度が高めになると思いますし、山崎さんと小野塚さんペアは新しい風を取り入れてくれています」と語った。

ペアを組んでいる相手の印象については、太田「恥ずかしいですね(笑)。3年前とは違う一面を見ている気がするし、いろんな提案をしてくれて勉強になります。本番はさらに刺激しあえるといいな。感謝しています」、牧島「3年前もすごく助けられました。太田さんは俳優である前に、人として信用できてたくさん頼らせてもらっています。太田さんが頼ってくれるのもうれしいし、一緒に作っている感覚が強いです」、山崎「すぐボケて笑いに行こうとします(笑)。僕もどっちかというとそちら側なので、楽しくやらせてもらってます」、小野塚「ふたりで芝居をしていると感覚的に噛み合う瞬間が多く、アルヴィンの顔、表情、言い方をキャッチしながら、いい空気感を作れました。すり合わせしなくても自然に作れる、良いパートナーです」とのこと。演出の高橋はペアの違いについて、「太田さんと牧島さんペアとは前回のベースがある上でどう深めていくか、戯曲や歌詞を読み解く作業を粛々と行いました。山崎さんと小野塚さんペアは情報量の多さに翻弄されながらも、それを乗り越えるエネルギーが作品にエモーショナルなものを呼び起こしてくれます。面白ポイントを見つける嗅覚が優れていて、それは作品に効果的な時もあり、時には安い(いまいちだ)ぞ!と(笑)。楽しい時間でした」と胸を張った。

ゲネプロは初参加の山崎・小野塚ペアを観劇した。
物語は急逝したアルヴィンへの弔辞を考えるトーマスのシーンから始まる。トーマスはベストセラー作家なのに、全く文案が思つかない。悩んでいると、アルヴィンがやってきて、記憶の旅へと誘う……。

山崎大輝

アルヴィンとトーマス、どちらも出ずっぱりで、物語は過去と現在を行き来する。無邪気な子供時代、多感な思春期、大学に進学する者と故郷に残る者、父親の死により本屋を継いだアルヴィン、トーマスのスランプなど。時には、もしかしたら空想?というようなシーンもあり、シームレスな展開がより想像力を掻き立てる。

小野塚勇人

アルヴィンとトーマスの関係性。仲良しだった少年たちは大人になり、それぞれの道を歩みつつ、固い絆で繋がっていたようにも見える。しかし本屋を守りながら孤独に生きるアルヴィンにとって、頼れるのはトーマスしかいなくて依存せざるを得なかったのかもしれない。一方、作家として多忙な社会で生きるトーマスにとって、アルヴィンは重荷になったのかもしれない。このような友情と行き違いは、誰の心にも刺さるのではないか。

山崎大輝が演じるアルヴィンは愛らしく、自由さと繊細さを併せ持ち、子供時代のトーマスのように守ってあげなきゃ!と思わせるところがある。〈独立記念日〉の伸びやかでスカッとした山崎の歌声にはワクワクした。小野塚勇人が演じるトーマスはリアルにいそうなやり手の人物を思わせ、堂々とした立ち振る舞いとパワフルさで魅了。象徴的な一曲〈バタフライ〉に心が動かされた。

大きな本棚と階段、渡り廊下のようなセットが、学校やレストラン、川や滝などさまざまな場面に見立てられる手法には、演劇の醍醐味がたっぷり。音楽は多彩なメロディーが駆使され、舞台脇にはピアノ、チェロ、クラリネット、オーボエの奏者たちによる生演奏の様子を見るのも楽しい。

ある意味、映像など使わないアナログさが、観客の感覚をより鋭くしてくれるし、とても丁寧に積み重ねられた作品だと実感できる。まさにSweet&Bitter、ファンタジー感たっぷりでありながら切なく哀しく、だけど観劇後にはどこか心がほっこり。この先も大切に上演を重ねていってほしいミュージカルだ。

取材・文:三浦真紀
撮影:田中亜紀

<公演情報>
ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』

<東京公演>
公演期間:2024年11月5日(火)~11月15日(金)
会場:よみうり大手町ホール

<大阪公演>
公演期間:2024年11月22日(金)・23日(土・祝)
会場:サンケイホールブリーゼ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/soml2024/

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