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ミュージカル『チキチキバンバン』長野博インタビュー

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インタビュー

チケットぴあ

長野博 (撮影:石阪大輔)

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タイトルナンバーは誰もが聞き覚えのあるミュージカル『チキチキバンバン』が、来年1月より上演される。主人公で魔法の車を作った発明家のカラクタカス・ポッツを演じるのは長野博。豊富なキャリアの中、ミュージカルには2年ぶりの出演だ。ふたりの子どもや父親らと車に乗り、悪党とチェイスもしながら冒険を繰り広げるファンタジーに、どう臨むのか聞いた。

――今回のオファーを受けて、どう思いました?

昔聴いた「チキチキバンバン」がこの作品の曲だったんだと、グッと繋がりました。僕にはGO-BANG’Sさんが歌っていたイメージがあります。そういう作品で、僕は車も好きなので嬉しかったです。

――もともとの原作となった映画はご覧になりました?

はい。1960年代の作品でも古さは感じなくて、名作は年月を経ても色褪せないと改めて思いました。ファンタジーミュージカルなので、車で今のホバークラフトみたいに海の上を走ったり、空を飛んだりしていて。子どもの頃に夢見ていたことですけど、男性って年を重ねると少年に戻っていきますよね。そういった意味で、すごく夢が詰まった作品でした。

――演じるカラクタカスについては、どんな印象を持ちましたか?

いつか自分の発明したものがたくさんの人に使われる夢を持って、いろいろなものを作り続けていて。好きでないとできないことだと思うんです。僕の仕事でも、新しいものを吸収しては発信していきたいと常に考えているので、共感できます。あと、ふたりの子どもがいて、パワーをもらって支えられながら、好きなことを続けている印象がありました。

――息子のジェレミー役の小山十輝さんは事務所の後輩ですね。

個人的な接点はなかったので、どんな子なのか楽しみです。僕は中2で事務所に入りましたけど、十輝くんは小学生の頃からやっているのかな。

――先輩として教えてあげたいこともありますか?

そこはあまり考えていません。何か聞かれたら答えますけど、自分の姿を見て、どう感じてくれるかだと思うので。これだけ年が離れていると、感覚がまったく違うはずですから、何が好きか、どんなことが流行っているのか聞いて、逆に僕が吸収したいです。

――まだ稽古に入る前ですが、演出の三木章雄さんとはお話しされたとか。

一度お会いしました。宝塚歌劇の殿堂入りをされている演出家の方で、今回のキャスティングでも役ごとにイメージがあったそうです。この人にはこう言えば響く、この人はあまり言わないほうがいいとか、自分の中で見極めて演出されるとうかがいました。最後には「いろいろお話ししながらできそうですね」と言ってくださって。僕もそうやって作り上げるのが好きなので、安心しました。キャストの皆さんは初めての方ばかりで、稽古場でどんな化学反応が起きるのか、ワクワクしています。

――演じるのが楽しみなシーンはどの辺ですか?

(カラクタカスと恋に落ちる令嬢の)トゥルーリーに対する気持ちの移り変わりもありますし、常に子どもと行動して車にも一緒に乗ったり、親子愛が垣間見えるところにも惹かれます。あとはやっぱり、自分が改造した車が空を飛んだり、水の中を走ったりするのは、夢の世界ですね。舞台でどう見せるのか、まだわかりませんけど、三木さんはブロードウェイでこの作品を観たそうです。客席の上を車が本当に飛んでいたと聞きました。その車を奪おうとする人間が出てきたり、本当に楽しめるストーリーです。

――車好きの長野さんから見て、今回の魔法の車・チキチキバンバンのフォルムはどんな印象でした?

昔は当たり前だったオープンカーですよね。僕はフォードのアメリカの本社にロケに行ったことがあって、そのときにイベントをやっていたんです。生産第1号の車、蒸気機関車のような車が実際に走っていて、チキチキバンバンより全然古くて、昔はこんな感じだったんだと体感しました。そこまで古くなくても、旧車は今、需要があって価格も上がっています。クラシックカーはその原点で、やっぱりいいですよね。

――それこそ少年に戻った目で見るとカッコイイというか。

そうですよね。子どもの頃、ミニカーから車好きが始まって、学年が上がっても、今なら1万円を切るラジコンが昔は高級品だったんです。「そんな高いもの、買ってもらえるの?」という意識がありました。大人になって実車が買えるようになりましたけど、昔欲しかったものを手に入れるような感覚があります。

――ちなみに、長野さんにカラクタカスのような発明の才能があったら、作りたいものはありますか?

本当に才能があったら何か浮かぶんでしょうけど、ないですから(笑)、ちょっとわかりません。ただ、数十年前は今くらいの時代になったら、車が飛んでいると言われていましたけど、実現していませんよね。(日本ハムの)新庄監督が空飛ぶバイクで登場したことはあっても、実用化には至ってなくて。だからこそ、空飛ぶ車はやっぱり夢ですね。

――改めて、『チキチキバンバン』はどんなミュージカルになりそうですか?

これは夢なのか、カラクタカスの願望なのか、現実なのか……と織り交ざっているファンタジーで、大人も子ども幅広く楽しめると思います。「どういうこと?」みたいなところはなく、本当にわかりやすくて。音楽もハッピーになれる曲がたくさんあるので、ぜひ素敵な時間を笑って過ごしに来てください。

取材・文:斉藤貴志
撮影:石阪大輔
ヘアメイク:浅野有紀
スタイリスト:カワサキ タカフミ

<公演情報>
ミュージカル『チキチキバンバン』

東京公演:2025年1月17日(金)~1月26日(日) 東京建物 Brillia HALL<豊島区立芸術文化劇場>
大阪公演:2025年2月7日(金)~2月9日(日) 森ノ宮ピロティホール
福岡公演:2025年2月15日(土)~2月16日(日) キャナルシティ劇場

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/chitty/

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