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巨匠リドリー・スコットの右腕が語る創作の秘密。「映画づくりは“戦い”です」

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ポール・メスカル、ペドロ・パスカル、デンゼル・ワシントンらが出演する大作映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が公開されている。本作の監督を務めたのは、巨匠リドリー・スコット。『エイリアン』や『ブレードランナー』など数々の傑作を手がけ、近年も『最後の決闘裁判』『ナポレオン』など大規模な作品を驚異的なペースで発表している。

なぜ、スコット監督はここまで旺盛な活動を続けられるのか? スコット監督の”右腕”として働くスコット・フリー・プロダクションのプレジデント、マイケル・プルスに話を聞いた。

本シリーズは古代ローマ帝国を舞台に、愛する者と故郷を失った主人公が剣闘士=グラディエーターとして戦い、復讐を果たそうとする物語が描かれる。その撮影規模は壮大で、円形闘技場の実物大のセットが建てられ、マルタでの大規模なロケ撮影を敢行。もうすぐ87歳になるスコット監督はこの大規模な現場を見事に仕切り、白熱のバトルシーンを次々に描き出してみせる。

撮影現場のリドリー・スコット監督

「ワーカーホリックという言葉をネガティブな意味で使いたくないのですが、リドリーはとにかく映画への愛が強くて、朝起きた段階から映画つくること、仕事に関するすべてを愛しているんです」とプルスは説明する。

「彼は優れた芸術家でありながら、同時に腕のたつビジネスマンでもあります。本作は完成しましたが、現在、彼は新しいウエスタン映画のスクリプトを書いていますし、第一次世界大戦を題材にしたプロジェクトも進行中です。さらにプロデューサーとして『エイリアン』と『ブレードランナー』のテレビシリーズの開発も進めています」

仕事量もすごいが、スコット監督に驚かされるのは作品完成の速度だ。通常の監督であれば数年かかるような超大作映画を、彼は毎年発表している。同時に彼はプロデューサーでもあるので、資金の問題やスタジオとの交渉もしているのだ。

「芸術とビジネスの間にはいつも緊張関係があります。彼はよく『映画というのはものすごくお金がかかるものだ。小説や絵画など芸術にはいろいろあるけど、映画はすごくお金がかかる。作る上で高くつくものではあるけど、自分は効率がいい人間だと思う。そしてセットでは自分は善意をもった独裁者である』と言いますね」

撮影現場のリドリー・スコット監督

自分の納得のいく環境・条件を獲得するために粘り強く交渉し、撮影に入れば誰よりも効率よく、明確なビジョンをもって撮影して俳優、スタッフを納得させてしまう。“リドリー・マジック”としか言いようがない。

「確かに映画づくりは“制御不可能なカオス”と”マジック”の両方の側面がありますよね(笑)。そこにルールがあったとしても、それを壊して“その先”に行けるかを常に考える必要があります。映画づくりは“戦い”です。ですから私もすごく大きな責任を背負っていると思っていますし、朝起きるとまず『今日はどんな問題がやってくるのだろうか』と考えるんです。

とは言え、どんな問題が起こったとしても確実に解決して、リドリーの創作環境を守る防御壁でいたいと私は思っています。リドリーは絵を描く人ですが、彼の映画は彼の描く絵画をものすごく大きくして、その世界に入っていくような感覚があるんです」

『グラディエーターII』もまさにプルスが語る”リドリーの世界に入っていく”体験ができる作品だ。スクリーンを通じて観客はローマ帝国に誘われ、目の前で剣闘士が戦い、軍船が大挙して攻めてくる瞬間を目撃できるのだ。

「私が最初の『グラディエーター』を観たのは20歳の時でした。まだ学生で、父と一緒にロンドンの郊外の映画館で観たのを覚えています。衝撃的な作品でした。まるで自分がローマの闘技場にいるような感覚になりました。まるで自分が歴史の世界を生きているように感じたのです。もちろん、デイヴィッド・リーンなど優れた監督の映画はそれまでにも観ていましたが、『グラディエーター』ほどの衝撃はありませんでした。とてつもないスペクタクルが描かれ、同時に感情に訴えかける物語もある。あの時のことは今でも忘れません」

プルスにとって、あの『グラディエーター』の新たな物語を描くプロジェクトは特別なものになった。いや、本作は作り手だけでなく観客にとっても特別な1作になるはずだ。スクリーンで観たくなる映画、俳優のレベルの高い演技を堪能できる映画。映画でしか体験できない魅力のつまった作品なのだ。

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』
公開中
(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

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