佐藤流司&高橋克典&花總まりインタビュー「『応天の門』はいろんな方に楽しんでいただける作品」
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2024年12月4日(水) より明治座にて舞台『応天の門』が上演される。
平安京で夜な夜な女官が行方不明になるという事件が起こっていた。その事件解決を命じられたのは京の守護につく在原業平(高橋克典)。そんな業平と偶然出会い、いつの間にか解決の手伝いをさせられることとなるのが菅原道真(佐藤流司)だ。さらに、怪しげな遊技場を営む昭姫(花總まり)がふたりに力を貸す。事件の真相はいかに。
今回、舞台製作発表後に佐藤流司、高橋克典、花總まりにインタビュー。それぞれの作品への想いを聞いた。
――本作に初めて触れたときの印象を教えていただけますか。
佐藤流司(以下、佐藤) 原作が本当におもしろくて。謎解きがあって、いい意味で少年漫画的なサクセスな感じもありつつ。どうやってこの問題が解決されていくんだろう、と思いますし、すごく引き込まれて、一気に読んじゃいましたね。
高橋克典(以下、高橋) 平安ものは、今年は大河もありますし、みなさんもだいぶ慣れ親しんで、心地よく感じてらっしゃるんじゃないかな、と思うんですよね。あまり戦はない頃のお話ですし、推理ものでもあり、原作ファンの方も、そうではない方も、年配の方もゆったり楽しんでいただけるのではないかな、と思います。
花總まり(以下、花總) このお話をいただくまで作品を存じ上げなかったんですけど、平安時代をモチーフにしつつ、推理ものとかミステリーものが漫画になっていて、なんておもしろいんだろう、って。
歴史ものは、好きな方は好きだけれども、知らないと難しいのかな、と敬遠しがちなんですけど、とても読みやすくて、すんなりとその時代のことが入ってきます。学べるところもあるんですよね。こういう作品に触れることができてよかったな、と。
――脚本を読まれての感想を教えてください。
佐藤 原作にはいろんなエピソードがあるんですけど、大好きなエピソードがあって。「かっけぇなぁ」と思っていた部分が入っていたので嬉しかったですね。作品のオチの部分なので詳しくは言えないんですけど(笑)。
――原作からの脚本になったことでの変化はどういったところに感じていらっしゃいますか?
佐藤 少しアレンジも入っていたり、舞台用にはなっているところもあるんですけど、それがキレイにハマっていて、読んでいて気持ちが良かったですね。
高橋 基本的には、本当に原作そのままですね。何話かが少し重なっている部分はあったりしますけど。原作もあまり深掘りしている話ではないので、やっぱり視覚的な部分が大きくなってくるのかな、という印象です。
――「なるほど、こうしたか」と納得するところも?
高橋 原作は1話完結なので、どういうふうに芝居にするのかな、と思っていたんですけど非常に見やすい形になっています。原作を知らない方でも、たまたま劇場に入られた方でも楽しんでいただけるような作りになりそうな脚本です。
花總 実は私も好きだな、と思っていたシーンが入っていて。本当に一瞬の場面なんですけど、そこは今から楽しみですね。あと今回、昭姫について深掘りしているところがあるんです。おそらく、原作ファンの方も初めて目にする昭姫の一面なので、大切に演じたいなと思っています。
――ご自身が演じる役への印象を教えてください。
佐藤 自分が思っていた菅原道真像とは少し違っていましたね。若い頃はこんな感じだったのかな、って思いました。志半ばで亡くなったということもあって、実直な感じを想像していたんです。でも意外と「冷めた小僧」なんて言われたり。そこで新鮮さも感じましたね。
高橋 在原業平は歌人として有名な人ですよね。原作ではわりと色っぽいシーンもあったんですけど、最近はもっぱらそういう役は少なくて(笑)。でも原作と比べると、わりとさわやかになっていますね。
花總 昭姫という役もわりとインパクトがありますよね。かっこいいなあ、と思って。最初にお話をいただいたときに、役とコミックの絵が添えられた資料を拝見したんですけど、単純に「おもしろそう!やってみたいな」と思うぐらい一目で惹かれました。本当にこのお話がいただけてすごく嬉しかったです。ちょっとわくわくしています。
この作品こそ明治座にぴったり
――ご共演経験もあるかと思うのですが、改めてお互いの印象はいかがですか? 佐藤さんは今日、初めて高橋さんとお会いされたんですよね。
佐藤 そうなんです。子どもの頃から知っていたので……かっこいいな、って(笑)。緊張していてまだ横顔多めでしか見れてないんですよ。稽古が始まったら真正面で向き合うシーンもたくさん出てくるので、早く慣れないとまずいな、と思っています。
――まだ緊張されているとのことですが、高橋さんは佐藤さんの印象はいかがですか?
高橋 今時の若い人、という印象だったんですけど、今日お会いしてみたらとても真面目な方だなと思って。役にも合ってますしね。稽古が始まったもっとツンケンされて、やりこめられるのかな(笑)。非常に楽しみにしています。
花總さんは何度かお会いしたことはあるんですけど、お芝居では初めてご一緒させていただきます。やっぱり役の作り方もビシッとされていますから。僕はとてもセリフ覚えが悪いし、緩いので、迷惑をかけないようにしようと思っています(笑)。
――佐藤さんと花總さんは2度目の共演ですね。
佐藤 嬉しいです。本当に綺麗な方だな、って。内面も本当に美しい方で……。
花總 いやぁ、まだそこまで知らないでしょ(笑)。
佐藤 ははっ! お美しいであろうお方で(笑)。前回も本当に優しくしていただいて、ありがたかったことを覚えていますね。
――花總さんから見てお2人の印象もお聞かせいただけますか。
花總 克典さんはお会いしたことがあるんですけど、今日が今までで一番長い時間お話させていて。かっこいいなあ、ダンディだなあ、って。
高橋 はい、ありがとうございます(笑)。
花總 流司くんとは、初共演のときはそこまで打ち解けられなかったんですよね。たまたま稽古場でお隣だったので、ちょっとだけ深掘りできたんですけど、公演が始まると会わなくなっちゃいますし。2回目の共演でもっと研究しようかな、と思っています。たぶんお稽古始まったらそれどころじゃないと思うんですけど、隙を見て、距離を縮めたいですね。
佐藤 ぜひぜひ、お願いします!
――『応天の門』は明治座での公演となりますが、ご自身の明治座への想いやエピソードがありましたら教えていただけますか。佐藤さんは初めての明治座ですよね。
佐藤 歴史ある場所に立てること、あとはいつも応援してくださってる方を今回こうして連れてくることができて、よかったなって思います。演出の青木さんも余すことなく明治座を使うとおっしゃっていましたから、ほかの劇場ではできないような体験ができるんじゃないかな、と楽しみです。
高橋 一度やらせていただいたときはコロナ禍のとき。座席も隣をひとつ空けて座って、遠方からのバスのお客様もない状態でした。興行ができるだけでも幸せ、という状況の中でしたけど、明治座なのにすごくアゲインストな空気を感じながらやっていました。
でも本来は地方のお客様もいますし、明治座で芝居を観て、ご飯を食べて、お土産を買って、1日を費やして楽しむ。ストイックな芝居っていうよりは、本当に演劇、娯楽の演劇としての立ち位置の場所なんですよね。今回は、平安ものですし、まったりと空気も楽しんでいただけたら。
花總 一度、明治座に立たせていただいたときは、いらしてくださる方には早めに来てくださいねって言っていたんです。お弁当が食べられますからね、って(笑)。
言っておかないと、私がいつも出させていただくような公演は開演何分前に行って、休憩はトイレに並んで……という感じで終わってしまうんですけど、明治座は1日楽しめる感覚で来てね、という気持ちなんです。
最近は帝国劇場さんがクローズすることもあって、明治座でいろいろなミュージカルも上演されていますけど、この作品こそ明治座さんにぴったりかな、と思うので1日どっぷり世界観に浸っていただきたいですね。
取材・文:ふくだりょうこ
<公演情報>
舞台『応天の門』
公演期間:2024年12月4日(水)~12月22日(日)
会場:明治座
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/ohtenstage/
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