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松田岳×新正俊インタビュー 唯一無二のエンタメを手掛けるBSPの新作『松陰狂詩曲』

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左より)新正俊、松田岳 撮影:石阪大輔

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2012年より始動したブルーシャトルプロデュース公演の第16弾『松陰狂詩曲』が2024年11月28日(木) より開幕する。脚本・演出は大塚雅史。幕末を舞台に、日本の未来を考えて行動した吉田松陰と彼の弟子である吉田稔麿、高杉晋作、久坂玄瑞、入江九一、伊藤博文、山縣有朋、松浦松洞らの生き様を描く。稽古が始まったタイミングで、吉田松陰を演じる松田岳と、吉田稔麿役の新正俊にインタビューを行った。

■どんな作品になるか、自分たちも楽しみ

――まずは今回の台本を読んだ印象を教えてください。

松田 BSPあるあるだと思いますが、一度読んだだけでは大塚さんの頭の中を知るのが難しいです。例えば「登場人物が突然蜘蛛になって連れ去られる」というような説明に、「どういうことだろう?」と。読めば読むほど知りたくなるのは作品として面白い証拠なんだろうなと思いながら繰り返し読みました。

 僕も岳くんと同じ印象です。あと、もちろんストーリーやキャラクターは違うけど、BSPで過去に上演した『龍の羅針盤』という作品に似た雰囲気を感じました。『龍の羅針盤』では重要な小道具としてロープがあったんですが、今回も「蜘蛛の糸」などのワードが書かれていて、どう演出されるのかワクワクします。

――吉田松陰、吉田稔麿という人物の印象、台本から感じるキャラクターの魅力はいかがでしたか?

松田 松陰は歴史的に活躍した人たちから「先生」と慕われていた人なので、人間としての魅力がないといけないと思いました。台本には、彼が生徒に教えた言葉を原文のまま伝えるところが何箇所かあります。あえてわかりやすい現代文にしていないと感じるので、吉田松陰の言葉を大事にしたいし、それが魅力になったらいいなという思いです。

 今回の稔麿は元気なキャラとして描かれていて、誰にでも分け隔てなく対等に接しています。松陰先生のことをちゃんとリスペクトしていて、その志をずっと持ち続けている。また、1幕から2幕で「吉田栄太郎」から「吉田稔麿」に名前が変わりますが、そこも印象的に伝えられたらと思っています。

――今作の見どころはどこになりそうでしょう。

松田 稽古で思ったのは、学ぼうとしている人たちの姿ってすごく輝いて見えるということです。まだ全シーンの稽古はしていませんが、すごくハツラツとしていると感じました。松陰先生は格差や身分を嫌っていて、学ぶ場にはそういうものがないといいなと思っていますし、稽古場には全然なかった。いい環境だと思います。

 稔麿のシーンでいうと、池田屋が見どころになるのかなと思います。池田屋といえば新選組がメインで描かれることが多いですが、今回は稔麿の視点で描くのですごく見どころになると思います。

■BSPならではのエンタメをしっかり届けたい

――歴史物の面白さ、難しさはどこに感じますか?

 難しいのは、資料がのこっているが故に、見てくださる方もイメージを持っていることです。原作のキャラクター像の中で作っていく2.5次元舞台にちょっと似ている気もします。2.5次元舞台やミュージカル・ストレートの舞台など、いろいろやっているからこそ、難しさも面白く感じます。

松田 冒頭で話したように、松陰先生の言葉が原文のまま出てくるところもあるので、「わからない」となってしまう可能性もある。でも、ノンフィクションをやりたいわけじゃなく、あくまでお客様に楽しんでいただくためのエンタメ作品です。役者としては、エンタメの中にいかに生身の人間の言葉や動きを乗せていけるかが大事なのかなと。わからなくても、僕らのエネルギーを通して歴史を楽しんでいただけると思います。

――BSP作品、大塚さんの脚本や演出の魅力を教えてください。

松田 いろいろな作品に出演させていただきますが、唯一無二だと思います。先ほどロープの話が出ましたが、アイコンやテーマを身体表現で見せたり、アイテムを使って表したり。噺家さんが扇子で表現しているようなメージです。BSPに受け継がれる歴史になってきている気がしますし、自分たちの武器の1つといっていい気がします。

 BSPといえば群読や全員で呼吸を合わせるシーン。録音したんじゃないかと思うほどの群読は大塚さん演出の魅力だと思います。僕は10代からBSPに出演していますが、他の作品との違いはダンスとアクションの多さ。今回もBSPならではの魅力をしっかり出していきたいです。

――W主演として、どんなカンパニーを目指したいですか?

 いつもと変わらず、みんなでいい作品を作りたいです。率先してお芝居やいろいろなことに取り組み、背中で見せられたらと思います。

松田 松陰先生は「みんなで一緒に考えよう」というのを大事にしていた方なので、僕も大所帯の一人ひとりとコミュニケーションをとり、みんなが楽しめる稽古にできたら。今まですごくみんなに甘えていましたが、今回はみんなのことをしっかり見ようと思いました。

 僕ら二人とも雰囲気がふわっとしているじゃないですか。今回もみんなが支えてくれる気がします。

松田 今までそれに甘えていたから、今回は俺が支える! 「わからないことは先生に聞く」ってなるくらい支えて、みんなに甘えてほしいと思います。

■難しく考えず、気軽に来てもらえたら

――お稽古で楽しみなことを教えてください。

 お馴染みのメンバーがすごく多いです。みんなの違う一面を見られたらいいなと思います。稽古場でたくさん話して、もっと親しくなれたら楽しい稽古になるかなと。

松田 今回の台本は敵がいないんです。常にみんなと一緒なので、相当仲良くないと厳しいなと思いました(笑)。みんなずっと仲良くいようねという感じです。

 (笑)。

松田 チームワークが重要で、10年やってきたBSPだからできることなのかなと。

――『学び』がひとつのテーマです。これまで学んできたことや恩師に関する思い出があれば教えてください。

松田 「学び」は一生のテーマですよね。ある?

 お芝居の師匠で、栗田芳宏さんという演出家さんがいます。1年くらいみっちり稽古をつけてもらい、そこから様々な作品に出演できるようになりました。それをきっかけにお芝居で生きていこうと思い、今もいろいろ教えていただいているので、大先輩であり師匠ですね。

松田 小学校からいる劇団ひまわりそのものが僕の学校のような感じです。挨拶から教わって、今でも稽古前にみんなで挨拶するんですが、それに今回外部から出演してくださる小南(光司)さんがびっくりしていたそうです(笑)。また、子供たちと一緒に舞台に立った時に、舞台に対するまっすぐな気持ち、客席のお父さんお母さんを見つけた喜び、みんなで手を繋いで袖にはける姿などを見ると、小さい頃の自分を見ているような気持ちになります。大人になるにつれて薄れてしまったものを思い出させてくれる。年下の子たちですが、先生に対するような思いがありますね。

――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

 歴史物というだけで少し足踏みをしてしまう方もいると思います。でも、歴史物というよりはBSPのエンタメを楽しみに来てほしいです。身体表現とちょっとした小道具だけで作り上げる作品は他にないと思うので、“BSP”というものを楽しみにしていただけたらと思います。

松田 応援してくださる皆さんのおかげで、公演に踏み切れたと思っています。今回は青春もの。気持ちよく見ていただける作品だと思います。みんな仲良しですし、作品の中で推しを見つけていただけたらすごく嬉しいです。初めての方にも、見ていただけたらBSPの面白さが伝わると思う。自信を持って本番を迎えられるくらいお稽古をしますし、期待を裏切らないものをお見せできると思うので、ぜひ足を運んでください。

取材・文:吉田沙奈
撮影:石阪大輔

<公演情報>
ブルーシャトルプロデュース『松陰狂詩曲』

東京公演:2024年11月28日(木)~12月4日(水) あうるすぽっと
大阪公演:2024年12月12日(木)~17日(火) ナレッジシアター

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/bsp16/

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