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楽しい仲間たち─東京チェロアンサンブルが12月に広島&京都公演

クラシック

インタビュー

チケットぴあ

東京チェロアンサンブル (C)TairaTairadate

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「東京チェロアンサンブル」は、同世代の10人のチェリストたちによるユニットだ。荒井結、清水詩織、髙木慶太、中実穂、新倉瞳、 堀沙也香、三宅依子、宮坂拡志、宮田大、横山桂。ソリストとして室内楽奏者としてオーケストラ奏者として、日本のチェロ界を牽引する顔ぶれに唸らされる。 2008年結成時から続けてきた定期公演が、去る5月、東京オペラシティコンサートホールに満員の聴衆を迎えて15回の節目を数えた。それを記念して広島と京都で自主コンサートを開く。

12月7日(土) 広島県民文化センター 多目的ホール
12月8日(日) 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
メンバーの堀と三宅に、コンサートの聴きどころ、このアンサンブルの魅力を聞いた。

三宅「チェロはとても音域が広い楽器なので、チェロだけのアンサンブルでも、幅広い音の重なりが作れます。まるでオーケストラを聴いているみたいに感じていただけるのがチェロ・アンサンブルの魅力ですし、だからこそ、新しくいろんなものを作り出せる可能性がある。私たち東京チェロアンサンブルも、その可能性に満ちたアンサンブルです。まだまだ開拓できる分野なので、それをもっと広げていきたいと思っています」

グループのモットーとして「今の自分達にしか出来ないアンサンブル」を掲げている。

三宅「10人それぞれが普段の活動の中で得た音を持ち寄って、その時の自分のいちばんいい音を、ここでガッと出せる。そこが強みかなと思います」

堀「だから、過去に演奏したプログラムを弾いても、またちょっと違うものができる。私たち自身もそれが楽しみのひとつになっています」

まるでファミリー!メンバー同士の仲の良さが音になって聴こえてくる

チェロ奏者たちに話を聞くときにいつも感じるのだけれど、ほかの楽器と比べて、奏者同士が際立って仲良し。年齢差5歳程度の同世代のメンバーが集まった東京チェロアンサンブルも、もちろんそうだ。その仲の良さが、じっさいにアンサンブルの魅力につながっているという。

堀「ファミリーですね。私たち、食事休憩とか、時間を共有するということをすごく大切にしているし、みんなでそれを楽しんでいます。それってすごく大切なことだと思うんです」

三宅「最近ではコンサートのアンケートで、全然知らないお客さんからも『あなたたち、本当に仲がいいんですね』って書かれてます(笑)。ステージ上のちょっとした仕草でわかるのかもしれませんが、大前提として、やっぱりそれが音になって出ているということだと思うんですね。

毎年みんなそれぞれが成長しているので、出てくるアイディアもどんどん変わっていきます。それを、もちろんアンサンブルの “あうんの呼吸” もありますが、『え、ちょっと待って!今何やってた?』とか、『この音どうする?』とか、本当に兄弟で話しているみたいな感じで、直に共有できる。それはみんなで作り上げている魅力だと思うので、ぜひそこを、聴いて、感じていただけたらうれしいです」

堀「逆に、ちょっと不安なところがあると、それを読んでサポートしてくれることも、もちろんあって。そのバランスがすごく取れていると思います。しかもまさに“十人十色”で、とくに最近はどんどん個性が出てきたなと自分たちでも感じているので、それぞれの個性を、より生かしていけるようにアンサンブルしています」

三宅「でもチェロのプロフェッショナル同士、言いたいことは遠慮せずに言いますし、お互いが本当にぶつかり合う場でもあるんです」

チェロってこんな音もするの?─多彩なプログラム

12月の広島・京都公演は共通のプログラム。

・ユリウス・クレンゲル:讃歌(小林幸太郎編曲)
・同:テーマとヴァリエーション
・チャルロ:フェジェ(蛇腹)*
・マリアーノ・モーレス:ブエノスアイレスの喫茶店、ラ・カレシータ(回転木馬)*
・鷹羽弘晃:蛍なすほのかに聴きて”日本の旋律による音風景”
・バーンスタイン:ウェストサイドストーリー組曲(小林幸太郎編曲)
(*=チャルロとモーレスはアルゼンチン・タンゴの曲)

クレンゲル(1859~1933)は自身がチェリストでもあったドイツの作曲家だ。代表作《讃歌》(1920)は6分ほどの単一楽章の作品。

三宅「チェロ・アンサンブルの曲の中でピカイチの作品です。チェロ・アンサンブルってこういう音、という自己紹介的な意味で選びました。冒頭、10人のチェロの音がひとつひとつ重なっていって素晴らしい響きになる。たぶんさむいぼ(鳥肌)が立つと思います!」

ちなみにもとは12台のチェロのための作品を10人用に編曲したのは、クレンゲルと同じく、チェリストでもある小林幸太郎。その彼が「専属アレンジャー」として参加しているのは東京チェロアンサンブルの特徴のひとつだろう。

堀「このアンサンブルで小林君と一緒に弾くことはありませんが、いわば11人目のメンバーです。彼自身がチェリストなので、どんなに難しいアレンジでも、絶対にチェロで弾けるものを書いてくる。私たちはもう、頑張るしかありません(笑)」

三宅「僕は弾けないけれど、東京チェロアンサンブルの皆さんだったら弾けるはず、というふうに書かれていることも、何回もありました」

堀「鷹羽さんの《蛍…》は、チェロの音がほとんどしません(笑)。1曲目は雅楽で、笙(しょう)とか龍笛(りゅうてき)とか篳篥(ひちりき)とかの音をチェロで表現します。2曲目は童謡の〈ほたるこい〉がモティーフ。照明にもこだわっているので、目でも耳でも楽しんでいただけます」

三宅「もしチェロ・アンサンブルを聴くのが初めてという方でも、《ウェストサイド》は聴きなじみがあると思います。第14回のコンサートでも弾いた、私たちも思い入れのあるアレンジです。今回は少し短くした “15th ANNIVERSARY ver.” でお聴きいただきます」

堀「本当にいろいろな曲が入ったプログラム。たぶん、『チェロってこんな音もするの?』というような、いろんな音が聴こえてくると思うので、そこもお楽しみください」

三宅「ぜひ聴きにいらしてください。損はさせません!」

取材・文:宮本明

<公演情報>
東京チェロアンサンブル15th ANNIVERSARY CONCERT in広島+京都

広島公演:2024年12月7日(土) 広島県民文化センター 多目的ホール
京都公演:2024年12月8日(日) 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/tokyocello/