【セットリスト】
01.Loopback
02.Bloom
03.天国
04.裏切りについて
05.劇場
06.また来世
07.トロイ
08.ラブレス
09.Virtual Castle
10.Misery
11.逃避行
12.ダークルーム
13.王
14.鬼よ
15.紙飛行機
16.花束
17.サマー・テープ
18.愛がすべて
19.スタンダロン
20.&疾走
21.My Gasoline
EN1.呆然
EN2.自由
EN3.アンダーグランド
音楽
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『Dios ガソリンツアー 2024』
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すべて見るText:森朋之 Photo:雨宮透貴
たなか(vo/前職・ぼくのりりっくのぼうよみ)、Ichika Nito(g・comp)、ササノマリイ(key・comp)によるバンド、Diosが全国ツアー『Dios ガソリンツアー 2024』のファイナル公演を東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催した。新作『ガソリン EP』を携えた今回のツアー。最終公演で3人は、さらに進化した音楽性とポジティブなメッセージ、そして、ライブバンドとしてのポテンシャルをはっきりと表明してみせた。
白を基調にした舞台にはドラム缶をモチーフにしたオブジェ(約30個)が置かれている。これはもちろん『ガソリンツアー』というタイトル、そして、新作『ガソリン EP』から派生したものだろう。白の清潔な雰囲気と“ガソリンが詰まっている”というイメージが鮮やかなコントラストを作る中、Diosのたなか、Ichika Nito、ササノマリイ、サポートミュージシャンのオオツカマナミ(b)、山本晃紀(ds/LITE)がステージに登場、大きな歓声の中でライブはスタートした。
1曲目は新作『ガソリン EP』の収録曲「Loopback」。エレクトロスウィングを取り入れたダンサブルなトラック、“慣性に抗い、次に向かってジャンプしろ”というメッセージを刻んだリリックが響き合い、Diosの音楽世界に一気に引き込まれる。ササノは冒頭からハンドクラップを要求。会場全体に心地よい一体感が生まれた。さらに美しくも鋭利なギターフレーズとドラマティックなボーカルが互いを高め合う「Bloom」(たなか、笑顔でめっちゃ楽しそうに歌ってました)、「渋谷、アガっていけそうですか? 声出していけそうですか? 天国まで行けちゃいそうですか?」(たなか)という言葉から始まった「天国」(サビのフレーズは観客とシンガロング)と1stアルバム『CASTLE』の収録曲を連続で披露。そして、2ndアルバム『&疾走』の最後に収められた「裏切りについて」を続け、キャリアを行き来するようなオープニングとなった。
「『ガソリンツアー』は6カ所を回るツアー。最終日はLINE CUBE SHIBUYAということですごい楽しみにしてたんですけど、みなさんはどうですか!?」(たなか)とフレンドリーに話しかけるたなか。「懐かしい曲やりますね」と紹介された「劇場」からは、Diosが持つ奥深い音楽性をダイレクトに体感できるシーンが続いた。きらびやかで切ないIchikaのギターに導かれた「また来世」は、憂いを帯びたメロディが心に残るミディアムチューン。〈あなたの痛みはあたしに届かない/あたしの後悔もあなたに届かない〉というラインが会場全体に広がり、ギュッと胸を締めつけられる。
続いては新作『ガソリン EP』の収録曲「トロイ(feat.Daoko)」。原曲にはDaokoがゲストボーカルとして参加しているのだが、ライブではササノがコーラスを担い、新たな表現を提示していた。ラテンの香りが漂うアレンジも斬新だ。「ラブレス」では〈Repeat after me〉〈“あなたに会いたい”〉〈聞かせてよ〉〈“あなたに会いたい”〉というコール&レスポンスが発生し、バンドと観客の距離がさらに近づく。そして、ライブ前半のハイライトは「Virtual Castle」だった。まずはしなやかな4つ打ちのキックに合わせてオーディエンスが手拍子。「まだまだ踊れますよね!?」というたなかの煽りによって凄まじい歓声が上がり、会場全体がダンスフロアへと変貌していく。“幻想の城の舞踏会”をテーマにした歌詞も素晴らしい。それはつまり“せめてこのとき(ライブ)だけは楽しく踊っていたい”という切実な願いそのものなのだと改めて実感させられた。
「Diosがこんなライブをやれるようになるなんて......というのは、こっちの話なんですけど(笑)。みんながこんなに踊ってるのを見れて、とてもうれしいです」(たなか)「みなさん、『ガソリン EP』聴いてくれましたか? いちばん好きな曲、教えて!」(Ichika)というトークを挟み、陰鬱なテイストの楽曲が続けるシークエンスへ。自分自身を苦しめ、〈眠るように消えていけたら〉という妄想に捉われた状態を描いた「Misery」、“僕から君を奪わないでほしい”と願う「逃避行」、外界を遮断している状況を暗い部屋に例えて表現した「ダークルーム」、そして、自分の世界に留まる“あなた”に向けて〈ただ あまりにも/怯えててもつまらなくない?〉と語り掛ける「王」。ダークな世界観を増幅させるIchikaとササノのプレイ、歌詞に込めた暗鬱なエモーションを生々しく歌い上げるたなかのボーカリゼーションも素晴らしい。「『&疾走』以降、前に向いてやっていこうというモードになってるんだけど、どうしても前を向けない日もありますから。悲しみにもちゃんと寄り添えるDiosでもありたいと思っています」というたなかの言葉も心に残った。
鋭利なメロディを奏でるギター、壮大なスケール感をたたえたサウンドの中で、たなかのリリカルな歌声が響いた「鬼よ」からライブは後半へ。ラウドロック的なダイナミズムと繊細なサウンドスケープが共存する「紙飛行機」、たなか、ササノのツインボーカルで披露され、〈Lalala〉の大合唱が巻き起こった「花束」、さらにインディーポップ×サーフロックな音像が楽しい「サマー・テープ」へ。高いスキルと独創性を併せ持った3人が、ステージの上でどこまでも自由に音楽を楽しむ。そんなピュアな佇まいもまた、Diosのライブの大きな魅力だ。
クライマックスの始まりを告げたのは、「愛がすべて」だった。様々なクリエイターが参加した『ガソリン EP』の中で唯一、メンバー3人だけで作ったこの曲は(タイトル通り)愛の大切さを真っ直ぐに描いたナンバー。そこに込められた暖かいエモーションは、観客ひとりひとりの胸にしっかりと刻まれたはずだ。
“あなた”との共依存的な関係を抜け、ひとりで立とうとする“あたし”の姿をポップに昇華した「スタンダロン」では、ササノがハンドマイクを持ち、ステージの前方へ。たなか、ササノ、Ichikaが並んで立ち、楽曲のテーマを視覚的にも表現してみせた。続いては「&疾走」。体と精神が求める“正しいフォーム”で走れ! とリスナーを鼓舞するこの曲のテンションは、ライブという場所でこそ真価を発揮する。本編の最後は「これからも喜びを燃やして走り続けよう」(たなか)という言葉に導かれた「My Gasoline」。新作『ガソリン EP』の軸になる、この曲の〈不幸なんかじゃ燃えない〉というフレーズは、現在のDiosのモチベーションであると同時に、現代社会を生きるすべての人に有益なメッセージを含んでいる。3人のチアフル&パワフルなステージングが、そのことをはっきりと証明していた。
アンコールの1曲目は、2025年1月にリリース予定の新作EP『脱構築β EP』からの先行配信曲「呆然」。Seihoがトラック制作を担当したこの曲は、エレクトロサウンドを軸にした爽快なダンスポップチューン。この先のDiosのライブにおいても、大切な役割を果たすことになりそうだ。さらに「自由」「アンダーグランド」とDiosのアンセムを繋ぎ合わせ、溢ればかりの感動とともにライブはエンディングを迎えた。
前述した通り、2025年1月に新作EP『脱構築β EP』をリリースする。EP『ガソリン EP』の続編にあたる本作は、新曲6曲が収められたCD、『ガソリンツアー 2024』ファイナル公演の映像を収録したBlu-rayの2枚組。さらに2025年2月には対バンツアー『脱構築β with』を開催。2月11日の宮城・Rensaから18日の東京・Zepp DiverCity(TOKYO)まで計5会場でライブを行い、各公演の出演者は追って発表される。チケットぴあでは12月1日23:59までチケットの先行予約を受付中。音楽的な精度とメッセージの強度を高めながら、喜びを燃料にしてスピードを上げているDiosの新たなアクションにぜひ注目してほしい。
<公演情報>
『Dios ガソリンツアー 2024』
2024年11月19日(火) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
01.Loopback
02.Bloom
03.天国
04.裏切りについて
05.劇場
06.また来世
07.トロイ
08.ラブレス
09.Virtual Castle
10.Misery
11.逃避行
12.ダークルーム
13.王
14.鬼よ
15.紙飛行機
16.花束
17.サマー・テープ
18.愛がすべて
19.スタンダロン
20.&疾走
21.My Gasoline
EN1.呆然
EN2.自由
EN3.アンダーグランド
<リリース情報>
Dios「呆然」
2024年11月20日(水) 配信リリース
配信 URL:
https://orcd.co/deconstructed
<ツアー情報>
Dios 対バンツアー『脱構築 β with』
■2025年
2月11日(火) 仙台・Rensa
2月13日(木) 愛知・Zepp Nagoya
2月14日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
2月16日(日) 福岡・UNITEDLAB
2月18日(火) 東京・Zepp DiverCity
【チケット情報】
スタンディング:6,500円(税込)
東名阪公演のみ2F指定席:7,500円(税込)
※ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要
オフィシャル最速先行:12/1(日)23:59まで
https://w.pia.jp/t/dios/
Dios 公式サイト:
https://dios-web.com/
フォトギャラリー(6件)
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