スタジオセットの手作り感とテリー・ガーの魅力が全開『ワン・フロム・ザ・ハート リプライズ ‐4Kレストア版‐』
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イラストレーション:高松啓二
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
テリー・ガーが亡くなった。笑顔がキュートな女優だった。華やかさに欠けるが、生活感漂う親しみやすさがあった。『ヤング・フランケンシュタイン』のセクシーでトボケたインガ役が、可愛くて、以来ボクの推しとなった。
60年代にデビューしたが、70年代に華ひらいた。スピルバーグの『未知との遭遇』では子供のような夫に困り果てる妻、シドニー・ポラックの『トッツィー』ではアカデミー助演女優賞にノミネート! そしてフランシス・フォード・コッポラの本作。当時、コッポラは『地獄の黙示録』のロケに懲りて全てをスタジオで撮ったが、莫大な超過予算で興行的に失敗し自分のスタジオを売却することになる。
けだるい声のトム・ウェイツと透き通った声のクリスタル・ゲイルのデュエットが全編を包み込む。現在であればCGで作れるが、この頃はミニチュアやセットの手作りである。これが不思議な魅力を輝きはなっている。甘いメロドラマだが、達者な踊りといつものように困り顔ととびきり可愛い笑顔のテリー・ガーの魅力に溢れた作品である。
ちなみに今回の上映は『70/80年代 フランシス・F・コッポラ 特集上映 ―終わりなき再編集―』の1本、4Kレストア版、再編集バージョンである。
<作品情報>
『ワン・フロム・ザ・ハート リプライズ ‐4Kレストア版‐』
11月29日(金) 全国順次公開
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:アーミアン・バーンスタイン、フランシス・フォード・コッポラ
出演:フレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ナスターシャ・キンスキー
(C)1982 Zoetrope Studios