全員優勝! ついに夢を叶えた憧れのヒーロー・サンボマスターとの対バン『ハンブレッダーズ 秋のグーパンまつりZ 2024』名古屋公演レポート
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ハンブレッダーズ Photo:渡邉一生
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すべて見るText:笠原幸乃 Photo:渡邉一生(ハンブレッダーズ)、SUBU(サンボマスター)
今年のハンブレッダーズは結成15周年イヤーを迎え、とても濃密な日々を過ごしている。2月に4thフルアルバム『はじめから自由だった』のリリースを皮切りに、3月に大阪城ホールで『ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Jタイム ~15th Special~』、4~6月に全国ツアー『はじめから自由だった ワンマンツアー』を開催、7月に配信シングル「⚡」をリリース。そして10月には日本武道館で『ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Bタイム ~15th Special~』を終え、配信シングル「フィードバックを鳴らして」「アクション!」をリリースした。ここに列挙していくだけでも驚くほど、全力で駆け抜けている。
そんな彼らが11月から開催している対バンツアー『ハンブレッダーズ 秋のグーパンまつりZ 2024』。3カ所目となるZepp Nagoyaでの愛知公演はサンボマスターをゲストに迎えた。ハンブレッダーズにとって夢が叶った喜びに溢れた、その模様をレポートする。
サンボマスターが登場すると瞬く間に会場は大歓声に包まれ、木内泰史(ds/cho)はドラムスティックを頭上で叩きクラップを促す。「サンボマスターです、よろしく!」と山口隆(vo/cho)の挨拶を合図に「世界をかえさせておくれよ」でスタートを切った。始まるなり、近藤洋一(b/cho)のベース音が腹の底にずしんと響いてきて、初っ端から重厚なサウンドで打ちのめされそうになっていると、すかさず山口が「まだまだこんなもんじゃねぇだろ!」とオーディエンスを焚き付ける。その言葉に感化されるように、大合唱と共に拳がステージへと突き上げられた。
勢いは失速することなくそのまま「ヒューマニティ!」へ。「俺、めちゃめちゃギター上手いのよ!」と鮮やかにギタープレイを披露し、「自分自身」ではレゲエのリズムにのってオーディエンスは自由に身体を揺らした。そして「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」では「上手い演奏しに来たわけじゃない」と目の前の君へと語り始める。「おめぇのこと優勝させに来たんだ。サンボマスターのライブで優勝できるのは全員なんです! 全員優勝!!」と熱い言葉を届けると、「全員優勝!!」の声が会場中に響き渡った。序盤にしてフルスロットルなステージングに熱気は高まる一方だ。
ライブ中盤に差し掛かり、山口がギターひとつだけでマイクレスで「ラブソング」を歌い出す。その後ろで木内はスマートフォンのライトを光らせてペンライト代わりに左右に振り始めると、その姿を受けてオーディエンスも各々のスマートフォンのライトをオンして手に持つ。気が付けば、目の前には光の海が広がっていた。幻想的な光景の中で山口は全身全霊で歌う。その音を、その歌を、ひとつとも聴き逃さないようにとオーディエンスはサンボマスターへと熱い視線を注いでいった。続く「Future is Yours」でも〈君はいたほうがいいよ/未来は君のためにあるの〉と歌っていたように、いつだって愛と平和を歌うサンボマスターは、君のことを本気で思っている。ずっとその姿勢を崩さないまま、愚直にステージの上で体現しているからこそ、オーディエンスは絶対的な信頼感を持ち応えるのだろう。
「できっこないを やらなくちゃ」でラストスパートをかけ、最後は「花束」で締めくくる。ステージ袖ではスタッフが花束を揺らす姿も見受けられ、ハッピーな空間が作り上げられていく。〈信じてんぜ君を そう昔から気づいてた/あなたは あなたは 花束のように咲きほこる人〉とあなたはこの世界でかけがえのないひとりであるのだとメッセージを残し、サンボマスターはステージを去った。
サンボマスターの手加減のない熱量を受け取ってハンブレッダーズが姿を現す。それぞれ定位置につきムツムロ アキラ(vo/g)が両耳に手を当てると、フロアからは自身の声を届けようとオーディエンスの歓声が湧き立った。準備は万端だと大きく頷き、木島(ds)を中心に4人は集まり顔を見合わせ、始まりの合図の音を鳴らした。「サンボマスター、マジでありがとうございました! あとは俺たちに任せてください!」と高らかに告げ、爆発的なスタートダッシュを切ったのだった。序盤から勢いは加速しながら、ハンブレッダーズは自分たちの魅力を存分に発揮したステージングを披露する。でらし(b)は全身を使ってプレイし、ukicaster(g)はソロを華麗に演奏していく。オーディエンスの歌声と拳は力強さを増していき、どんどん熱量は高まっていった。
曲を連投していく中で感じたのは、ハンブレッダーズは4人でひとつ、そのひとつの結束力が強くて揺るがない、ということ。この日に演奏された各曲には様々なカラーがあり、アウトプットのバリエーションの豊富さが伺え、曲ごとに見せる顔が違った。でもどんな曲でもハンブレッダーズの確固たる芯を崩さない力量があったのだ。メンバーお互いが持ちつ持たれつという関係で結ばれていて支え合っているのが、構築される音像に滲み出ていた。友人・家族という関係性を超えた、同じ方向を目指して歩む同志――バンドだからこそ築き上げることのできる繋がりを感じずにはいられなかった。
中盤に差し掛かると、ムツムロはサンボマスターへの想いを語り始める。「小学生の時にテレビでサンボマスターがロックンロールを歌う姿を見て、高校生の時に歌っている言葉の意味が分かりました」「友達がいなくて登下校中にサンボマスターを聴いてました」「高校の文化祭でサンボマスターの『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』をやったんですよ」。彼の学生時代はサンボマスターと共に過ごした日々であり、彼にとって憧れのヒーローだったのだろう、「話したいことがたくさんあって、いっぱいいっぱいになってる」と気持ちが溢れ出す。そして「俺たちにとっての『できっこないを やらなくちゃ』です!」と告げ、始めたのは新曲「アクション!」。ムツムロが「山口さん、俺もそこそこギター上手いんですけど!」とお立ち台に上ってプレイすれば、ボルテージは上がっていく。〈だけどまだ鳴り止まない/鳴り止まないから歌うんだ〉という歌詞と相まって、俺たちのロックンロールも鳴り止まないんだと高らかに宣言するようなステージングが繰り広げられる。「アクション!」がSNSなどでたくさんの情報に押し潰されそうな世の中を必死に生きる、令和のアンセムになる予感がした。
「山口さんに『サンボマスターのおかげでいろんなバンドを知りました』と伝えたら『うれしいよ!』と言ってくれたんです。夢が叶ってうれしかった」というムツムロの言葉に表れていたように、終始ハンブレッダーズはサンボマスターとの対バンが実現した喜びを噛み締めていた。でも彼らがすごいのは、ただ喜びだけの演奏をしないことだ。「サンボマスターから愛と平和と自由を受け取って歌おうと思います!」「もらうだけじゃなくて、次の世代にロックンロールを繋げていけたら」「俺たちだって演奏は上手くないけど、伝えていかなきゃいけない」と、ヒーローから受け取ったものをしっかりと繋げようとしていたのだ。目の前の君に愛を伝えることの意義を体現しようと、自身の思いを余すことなく伝え続ける。それはサンボマスターにとって頼もしい後輩の姿であったに違いない。
天井知らずの熱量を生み出した本編を経て、アンコールはオーディエンスから「全員優勝!!」の粋なコールで応えた。そして「ロックバンドは再生ボタンを押して聴いている人の生存を肯定しなきゃいけない」と最後の1曲を演奏する。ハンブレッダーズはロックバンドとして君に伝えるべきメッセージを知っている。だって彼らもロックバンドで救われたひとりであるからこそ、愛と平和と自由を叫べば君が信じるべき言葉になるのだ。そう思わせてくれたこの日のライブは、新たなるヒーローが誕生した日なのだろう。まだまだ対バンツアーは続く。走り抜けたその先で、どんな彼らと会えるのか。楽しみに待ちたいと思う。
<ツアー情報>
『秋のグーパンまつりZ 2024』
11月13日(水) 福岡・Zepp Fukuoka
開場18:00 / 開演19:00
ゲスト:04 Limited Sazabys
※SOLD OUT/終了
11月20日(水) 北海道・Zepp Sapporo
開場18:00 / 開演19:00
ゲスト:UNISON SQUARE GARDEN
※SOLD OUT/終了
11月26日(火) 愛知・Zepp Nagoya
開場18:00 / 開演19:00
ゲスト:サンボマスター
※SOLD OUT/終了
11月27日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
開場18:00 / 開演19:00
ゲスト:マカロニえんぴつ
※SOLD OUT/終了
12月5日(木) 東京・Zepp Haneda(TOKYO)
開場18:00 / 開演19:00
ゲスト:凛として時雨
※SOLD OUT
<リリース情報>
デジタル・リリース「アクション!」
配信中
配信リンク:
https://lnk.to/hmbr_action
デジタル・リリース「フィードバックを鳴らして」
配信中
配信リンク:
https://lnk.to/hmbr_feedback
ハンブレッダーズ公式サイト:
https://humbreaders.com/
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