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リーディングドラマ『フェイス』坂元健児&細谷佳正インタビュー「違う何かがあるかもしれませんよ」

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インタビュー

チケットぴあ

坂元健児&細谷佳正 (撮影:ふくだりょうこ)

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リーディングドラマ『フェイス』が12月16日(月) より、よみうり大手町ホールにて上演される。

ある工場地帯の一角。その部屋には古びた机と椅子、そしてひとりの青年がいた。名は、瀬尾一樹。そこにやってきたのは精神科医・小和田。数年ぶりに会ったふたりの関係とは。何のため、小和田はやってきたのか。ふたりの男性のスリリングで悲しくも美しいサスペンスとなっている。

2017年9月、2021年4月に上演され、コロナ禍ではオンラインで配信も行われた『フェイス』が、リアルの朗読劇としてお届け。

全5公演が行われ、各公演、キャストが異なる本作。物語が進んでいくごとに、ふたりの台本である紙の束から1枚、また1枚と床へと降り積もっていく――。今回は、瀬尾一樹を演じる細谷佳正、精神科医・小和田を演じる坂元健児に話を聞いた。

――これまでに二人芝居という形で表現されてきた作品ですが、今回はリーディングドラマです。ずっと作品に携わってきた坂元さんとしては、今回はどういったところを楽しみにされていますか。

坂元健児(以下、坂元) やはり、演出家が変われば違うものとなってくるので、そこは楽しみにしています。最初は椅子に座った状態で朗読をするのかな、と思っていて、稽古初日は稽古着もシューズも持ってこなかったんですよ。そうしたら、わりと立ってやるんだ、と。初日はスリッパでやるという失礼な形になってしまったんですけど(笑)。

また違った形で楽しんでいます。台本を読みながらも使うことによって、新しい表現も出てくるかな、と今思っています。稽古をしていく中でいろんな発見もあるので、それも楽しみたいですね。

――細谷さんは、出演が決まったときのお気持ちというのはいかがですか?

細谷佳正(以下、細谷) 演出をされている大高洋夫さんが、普段舞台俳優をされている方で、そういった方に演出していただけるということ、この作品にお声がけいただけた、というのはすごく光栄でした。

でも、「どうして僕だったんだろう」と思って聞いたんですよね。そうしたら、以前、『逃げるは恥だが役に立つ』という朗読劇に出演させていただいたんですけど、それを観てくださった制作の方が、こういう作品がお好きなんじゃないか、ということで。その経緯を聞いて、すごく嬉しいな、と思いました。

日頃、同業の方とお仕事をすることが多いので、普段はお会いできないような方と、尺に縛られない、こういう朗読劇や舞台を経験したい、と思っていたので、声をかけていただけて嬉しかったですね。

――役としてもかなり刺激的ですね。

細谷 こういうふうに変化していくんだ、というのには驚きました。ネタバレになるので詳しくは言えないんですけど(笑)。変化をどんな風に見せていくか考えると難しいんですけど、相手役として立ってくださる方が日ごろ会えない方々なので、それは本当に刺激になりますし、おもしろいですね。勉強になります。

――今日、初めて通し稽古をされたとのことですが、手ごたえはどうでしょう?

坂元 いろいろと発見もあって。リーディングではあるんですけど、わりと動きもあるので、もっとおもしろくなるんじゃないか、深められていくんじゃないか、という感じがしています。

細谷 稽古初日にどう見せるか?の動きをつけていただいたり、どういうテンポでセリフを言うかみたいな演技指示をいただいたんですけど、自分は中身が埋められていない、という状況でした。今は、たくさんあった隙間がちょっとずつ埋まってきている感じはします。何を使って埋めたらいいのか、どこを修正したらいいのか、というところが見えてきたかな、と思います。

――お稽古中は、おふたりでどういったお話をされるんですか?

細谷 まだそんなに話してないんですよね。

坂元 そうそう、さっき廊下で少し話したぐらい。

細谷 他愛もない話をしていましたね。

――お互いの印象はいかがですか?

細谷 坂元さんは、もう稽古初日でわりと出来上がっている感じがしてました。リーディングライブなので、セリフを客席に通しながら会話していくのかな、という感覚で僕はいたんですけど、最初に部屋に入ってくるシーンから実際の部屋の間尺と距離感で入ってこられたのがすごく印象的で。「そういう感じだな」と思って僕もそれに合わせて台詞がどんどん小さくなっていく、みたいな(笑)。それもあって、稽古が進んでいくごとに、「これはヒントになるな」と思って合わせたり、合わせていただいたり、という形ですね。

でも、初日では「演じている人」と「読んでいる人」みたいな違和感を感じて、「自分がこれでは違っているのではないか」と思ったんです。たぶん、坂元さんは実際にこれまでもやられているのでセリフも入ってらして、そこに僕があと数日で追いついて、というのは無理なんじゃないか、と。けれど、そこは今日、歩み寄りをいただいたりしながら、僕もなんとか必死でついて行っている感じです。

坂元 僕はセリフを全部、自分にものにしてやるのが仕事なので。彼は声優さんなのでやっぱり読むのがうまいんですよね。僕のほうがギクシャクしていて、「あれ、どこだったっけ」という間がわりとあったりして。「いろいろ感じている間だったんですね」と言われたんですけど、違います。自分のセリフが分からなくなっているだけの間でした(笑)。

細谷 逡巡されている間の演技なのかな、と思ったら、本当に逡巡されているだけでした(笑)。

「お客様、ちょっと見てもらえませんか」という気持ちです

――あと数日後に本番を控えて、今のお気持ちはいかがですか。

坂元 楽しみですけど、もう少し稽古したいな、という気持ちはあります。やっぱり動くので、ある程度、キャッチボールは大事ですから。

細谷 今日、通し稽古をして、初日大丈夫かな、と思っていた部分を減らせて、少し安心できました。今は見た目が整いつつあって、そこに中身を添わせていくことをもう少ししたいので、僕も稽古はもう少ししたいです(笑)。区切ってやるよりも、通し稽古のほうが思いきりよくやれると思ったので。

――最後に、記事を読んでくださっているみなさんにメッセージをお願いします。

細谷 自分は今まで経験したことがない朗読劇になるんだろうな、と思いますし、より視覚的なものになるんだろうな、と。セットや照明だとか、そういう派手さで人を惹きつけるというよりは、台本が一枚、床に落ちていることで感じてもらえるものがあったり、ランダムに落ちている台本は何を意味するんだろう、とか。僕ら声優がやる朗読劇は立ち止まってマイクの前でセリフを喋ることが多くて、商業的な部分が大きいと思うんですけど、このリーディングライブは演出を受けてやってみて、もちろんエンターテイメントではあるんですけど、よりアート性が高い印象だな、と感じています。

多分舞台を日頃好きでご覧になってるお客様は目の肥えてらっしゃる方が多いと思うんですけど、それでもちょっと見たことないなっていう感じになるだろうし、日頃声優さんやアニメが好きだというお客様にとっては、すごく新鮮に映ると思います。

視覚的に派手なことは起こらないけど、その分、考えさせられたり、物語の世界に入れるような演出になってると思うので「こういうのもあるのか」という感じで見てもらえたら嬉しいです。

坂元 今日、通しをやってみて、最後に台本が散らばっている床を見たときに、数年前の森新太郎さん演出の「パレード」を思い出しました。最初から雪を少しずつ降らせていって、最後は床一面、紙吹雪になるんです。

森さんってバミりに厳しい人で、床一面いっぱいにバミりがあるんですけど、雪で全く見えない状態なんです。今まで稽古場で見ていたバミリりはなんだったんだ!という感じなんですよ(笑)。僕は掃除人の役だったんですけど、最初から降ってくる雪を掃除しながらバミりがわかるところを掃除して。そんなことを思い出していたんでけど、これも新しい演出のような気がするな、と思っています。初めてなので僕たちも分からないんですよ。だから「お客様、ちょっと見てもらえませんか」という気持ちです。

「違う何かがあるかもしれませんよ」「ちょっと見てください」って。また、これまでの西森英行さんの演出のものと全然違うんですけれど、箱の中のものは一緒で全体的な大枠がだいぶ違うというイメージです。その中でのおもしろみがあるんじゃないかな、と僕は思っているので……うん、「ちょっと見てください」ですね。

取材・文・撮影:ふくだりょうこ

<公演情報>
リーディングドラマ『フェイス』

公演期間:2024年12月16日(月)〜2024年12月18日(水)
会場:よみうり大手町ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/face-stage/