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岐洲 匠と原嶋元久が語る2025年版、演劇『ライチ☆光クラブ』2025の見どころや魅力

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左より)岐洲 匠、原嶋元久 撮影:石阪大輔

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漫画家・古屋兎丸が東京グランギニョルの舞台『ライチ光クラブ』から着想を得て発表した『ライチ☆光クラブ』。少年たちの狂気と愚かしさ、彼らに作られた機械と少女の恋を描いた作品で、これまでも舞台やミュージカル、映画といったメディアミックスが行われてきた。2025年版の舞台では劇団時間制作の谷 碧仁が脚本・演出を手がける。稽古が始まってすぐのタイミングで、タミヤ役・岐洲 匠、ダフ役・原嶋元久にインタビューを行った。

◼︎カンパニー全員が自信を持って挑む2025年版

――まずは本作のオーディションを受けようと思った理由、出演が決まった時の思いを教えてください。

原嶋元久(以下、原嶋) 以前古屋兎丸先生の作品に出演したことがあったことと、過去の『ライチ☆光クラブ』には知人が出ていて、拝見した際に「どうしてこんな素敵な作品に自分が出られていないんだ」と、悔しい思いもあったんです。しかも今回は、演出が谷さん。ずっとご一緒したかった方なので、このチャンスには「絶対受かってやる!」という気持ちで臨みました。オーディションでできることはやったので、ちゃんと結果がついてきて良かったなと思いました。

岐洲 匠(以下、岐洲) オーディションを受けることが決まってから作品を読みました。タミヤとの共通点を感じるところもあったので、変に作らず自分らしく挑もうと思っていました。出演が決まって嬉しかったのもそうですが、「やっぱ自分でしょ」という変な自信がありました(笑)。

原嶋 自信家の集まりですからね(笑)。

岐洲 共演者も含めて、「この役は自分でしょ」という思いをすごく感じます。

原嶋 自信があるだけじゃなく、みんなちゃんとハマっています。

――原作の漫画や今回の台本を読んだ感想を教えてください。

原嶋 原作は、きれいな絵で激しいことをする、兎丸先生の耽美な世界だと感じました。それに対し、今回の台本はより現実に近寄っています。谷さんも「これがリアルで起きたらどうなるか」というところを大切にしようとおっしゃっていました。原作を読んでから台本を読むと、問題提起がされているなと。それくらい差を感じました。

岐洲 2.5次元舞台の経験が少ないので、漫画を読みながらこれが舞台になるのかとすごく新鮮でした。僕も台本を読み、現実に寄って生々しくなっていると思いましたが、稽古でさらに強く感じましたね。その後また漫画を読み返したときに、ファンタジーだけどありえなくはないものを見せられていると思いました。台本を読む前後で感覚が変わりました。

■役の感情を読み解き、共感を増やしたい

――台本には各キャラクターの背景も描かれていますが、演じる役の印象はいかがでしょう。

原嶋 素直に話すと、原作を読んでもあまり掴めなかったんです。表紙にある「夢見る眼帯」も、どんな夢を見ているんだろうと思っていました。今は、女の子やかっこいいタミヤくんへの憧れ、この先こうなりたいという気持ちを「夢」と表現しているのかなと。深層心理で未来に希望を抱いている少年だと感じました。タミヤくんがきっかけで矛盾や自分の変化に気付いて葛藤することも含めて、本来子供が通るべき道を通っている男の子という印象。ダフの感情が少しずつわかりはじめました。

岐洲 タミヤは相手が誰でも違うことは違うという人。反発とは違うしみんなのことを思ってのことだけど、最終的に自分本位な気持ちが入ってしまっている。そこがタミヤの弱い部分でもあるなと思っています。頼れるしかっこいいけど、どこか自信のなさもあって、ゼラに対しても最後まで主張しきれない。ゼラについてみんなに問うシーンでも、喋っている途中でいろんな思いが混じってぐるぐるしている。稽古場でもその状態なので、これから落ち着かせていきたいです。

――役とご自身との共通点、役づくりに活かせそうな部分はどこでしょうか?

原嶋 やっぱり女の子に興味があるところじゃないでしょうか(笑)。台本ではダフのバックボーンも描かれていて、原作よりも共通点が多いかもしれま せん。でもまだあまり共感はできていないので、これから共感を増やして芝居に活かせたらと思っています。

岐洲 ゲームの話ですが、仲がいい友達の浜中文一さんと2人でゲームを始めて。僕がリーダーになってギルドを作り、今は50人近くが参加しています。

原嶋 すごい! ギルドクラブ作っちゃったんだ。

岐洲 そう(笑)。タミヤは多分、なりたいというよりみんなから言われてリーダーになっていった人だと思う。僕もどちらかというとそうです。他にも共通点はありますが、タミヤについて話すと、自分のことを話しているみたいな感覚があって言葉がうまく出ない。共感する部分はこれからもっと見つけていきたいですね。

◼︎何回観ても新たな発見がありそうな舞台

――共演者の皆さんや谷さんの印象を教えてください。

原嶋 いい意味で年齢が気にならないです。先日、17歳のもっちー(望月春希)に「稽古早く終わったから喜んでる!」と指摘され、「いいじゃん!」って会話をして。家に帰ってから「この感じいいな」って思いました(笑)。 みんな同級生みたいというか、本当に光クラブだなって。

岐洲 稽古場の映像にその様子が残っていて、楽しそうだなと思った(笑)。もっちーはリアルに学生なのもあり、すごくエネルギッシュ。「おいてかれちゃう!」って焦りました(笑)。あとは、稽古のウォーミングアップとしてやったシアターゲームも関係作りに役立った気がします。

原嶋 谷さんは作品に活かせることをしてくれるロジカルな方です。でも、多分好きなアーティストのライブに行った時は「バカになれる」タイプだと思う(笑)。

岐洲 僕はどちらかというとロジカルな考え方が苦手なので不安でしたが、谷さんがすごくわかりやすく説明してくれるので安心できました。

原嶋 共通言語を作ってくれたり、言葉を選んで寄り添ってくれたり。演者と演出家が同じラインに立っている感覚があるので、僕らもやりやすいですし作品に夢中になることができていると感じます。

――これまでもメディアミックスがされてきた作品ですが、今回ならではの見どころはどこになりそうでしょう。

原嶋 ゼラがたどり着く場所がこれまでのメディアミックスと圧倒的に違っている気がしています。台本を読んで、ゼラのこともすごく可哀想に思えました。そして、空気の裏をつく……といった谷さんの演出は本当に素晴らしいです。ハッとするシーンやお客様の不意をつくような演出もあると思うので、そこも見どころになると思います。

岐洲 みんなゼラを見ているけどバラバラに動いていて、自分が一番大切だと思っているのが見えてくる。心の動きなどについてもすごく細かく演出をつけてくださっているので、2回、3回と観ると気づくことが多いと思います。舞台を見せるというより、僕らのやっていることを感じてもらう構成になっている印象です。

■観に来た誰もが楽しめる作品になるはず

――作品にちなんで、秘密基地にまつわる思い出があったら教えてください。

原嶋 木の上に、自転車用のカゴネットを取りつけてその上で寝たり、駄菓子を食べたりしていました。

岐洲 そこまで本格的ではないけど、森に作っていたのは同じです。

原嶋 あとはダンボールで城を作りたくて、みんなで資金を貯金していました。

岐洲 レベル高いな! 光クラブだ。

原嶋 ところが、ある日見に行ったら基地が壊されていて貯金箱も空で。そこで「もうやめよっか」と諦めのような気持ちを持った、そんな記憶が残っています。どんなに頑張っても壊されたら一瞬だという無常さを知って、別のことに楽しみを見出すようになりました。

――楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

原嶋 各々のバックボーンが台本に書かれていることで、キャラクターが見えやすくなりました。僕らも一人ひとりの人生や生活を大切に稽古しています。今までとは違う提示の仕方ができると思いますし、ライチファンの方にも舞台ファンの方にも楽しんでいただける作品になっています。そして、なんと水が出ます!

岐洲 3列目まで濡れる可能性があるって結構すごいですよね。

原嶋 演出面でもそれぞれの役作りでも、たくさん楽しめるところがあると思います。

岐洲 公演は1月で寒いので、水がかかる可能性がある席の方は気をつけてお越しいただきたいです。

原嶋 優しい(笑)。

岐洲 回想を見せるシーンは少ないですが、一人ひとりのバックボーンが滲み出るように伝わっていくと思います。本物揃いの作品だと思うので、僕自身も楽しみです!

取材・文:吉田沙奈
撮影:石阪大輔

<公演情報>
演劇『ライチ☆光クラブ』2025

公演期間:2025年1月10日(金)〜26日(日)
会場:東京・IMM THEATER

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