50歳の節目を迎えるヤンネ舘野が特別なプログラムでリサイタルを開催
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すべて見るヘルシンキ出身のヴァイオリニストであるヤンネ舘野は、フィンランド、オーストラリア、アメリカで研鑽を積み、ソリストとして様々な活動を展開しつつ、2008年からは山形交響楽団の第2ヴァイオリン首席奏者も務める。父はピアニストの舘野泉で、共演も多い。そんな彼が2025年に50歳をむかえるにあたり、記念のリサイタルを開催する。
「思い出の曲を色々と入れることで、これまでを振り返るようなプログラムにしました。前半は親密さや内向的なものを感じさせる楽曲、後半には民族性や大自然を意識した楽曲を並べています」
最初に演奏されるのはシューベルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタ(ソナチネ)第2番イ短調。それにヤナーチェクのソナタが続く。
「シューベルトとヤナーチェクの作品は、演奏していると、作曲家が心に秘めている大切なものを語ってくれているような感覚になります。和声などは当然違うのですが、2曲のスタンスはとても似ていると感じます」
どちらの楽曲も演奏機会は決して多い作品ではないが、舘野にとって大切な楽曲だという。
「ヤナーチェクは8年ほど前にリサイタルで演奏して以来ですが、あの独特の響きの世界にもう一度浸りたいと思い選びました。シューベルトは跳躍が激しいですし、高音や転調も多く、毎回技術的にも、表現の面でも悩みます。ただ演奏するたびにさまざまな発見や喜びがありますし、ピアノの有吉さんとご一緒できることもあって弾きたいと思ったのです」
ピアニストの有吉亮治とは3年ほど前から定期的に共演を重ねている。今回のプログラムはとりわけピアノパートの雄弁な楽曲が多く、舘野の有吉に対する強い信頼も感じられる。
「共演する前からCDでシューベルトのソナタの素晴らしい演奏を聴いていて、“いつかご一緒したい”と思っていた方なのです。ご縁を頂き共演できるようになって本当にうれしいですね。言葉で何か伝えなくても私の想いや表現を感じてくださいます。また彼の和声感に魅了されますね。少しピアノの調律がくるっていたとしてもそこから美しいハーモニーを作り出せてしまうのです」
後半にはヒナステラの《パンペアーナ第1番》、グリーグのヴァイオリンソナタ第3番が選ばれている。
「《パンペアーナ》は中南米で牧畜に従事していたカウボーイのガウチョに着想を得た楽曲で、ラヴェルの《ツィガーヌ》と少し似た雰囲気のある、かなり民族性が強い曲です。グリーグは北欧の大自然を感じさせる素晴らしい作品で、どこか懐かしさも感じさせます。父がこの曲を録音する際に譜めくりをした思い出もあります。様々な楽曲の魅力を楽しんで頂けましたら幸いです」
信頼のおけるピアニストとの共演で奏でられる、思い出や思い入れのつまった楽曲を通して、舘野のさらに進化していく表現力を存分に感じられるリサイタルとなりそうだ。
ヤンネ舘野 ヴァイオリン・リサイタル 2025
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2454790
1月16日(木) 19:00開演
東京文化会館 小ホール(東京)
出演:ヤンネ舘野(ヴァイオリン)、有吉亮治(ピアノ)
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