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デジタル技術で復元。『眠狂四郎炎情剣』衝撃の“新旧画像”が公開

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『眠狂四郎炎情剣』(画像上が修復前、下が修復後)

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映画史にその名を刻む大スターにして名優、市川雷蔵の映画デビュー70周年を記念した映画祭「市川雷蔵映画祭 刹那のきらめき」が27日(金)から開催される。本映画祭では初披露となる『新源氏物語』、『華岡青洲の妻』、『陸軍中野学校』、『眠狂四郎炎情剣』の4Kデジタル修復版を含む出演作37作品を一挙上映。そこで『眠狂四郎炎情剣』の4Kデジタル修復前後の画像が公開になった。

『眠狂四郎炎情剣』は1965年の三隈研次監督作品で、雷蔵が眠狂四郎を演じるシリーズの第5弾として製作された。のちに『大魔神』シリーズや『兵隊やくざ』シリーズの撮影も手がけることになる森田富士郎が撮影を手がけ、カラー、大映スコープで撮影されている。

今回の修復は、IMAGICAエンタテインメントメディアサービス社が担当(なお、公開時に現像を担当したのは、のちにイマジカと社名変更する東洋現像所)。当時の色を再現するべく撮影監督の宮島正弘が監修を行った。宮島氏は大映出身で、名キャメラマン・宮川一夫に師事。大映京都で多くの作品制作に携わった後、フリー、のちに映像京都に入社。“大映の光と色”を知る人物だ。

映画フィルムは経年劣化によって褪色が進む。画面を構成する色素のうち、シアン(青緑)が最も劣化しやすく、マゼンダ(赤紫)が最後まで残ることから赤っぽく変化することが多い。また、傷、ホコリ、汚れ、上映よって出てしまう破片、静電気などもフィルムを変化させてしまう。

修復前

今回の作業では当時のフィルムをスキャンし、1コマずつ傷やごみを取り除き欠損している部分を補修するレストレーションを行った後、色味や明るさを調整するカラーグレーディングを施し、高解像度の映像が完成した。

修復後。画面が鮮明になっただけでなく、色の調整も行われたことがわかる。

【本映画祭上映作品の4Kデジタル修復に携わった、IMAGICAエンタテインメントメディアサービス スタッフからコメント】

・新井陽子氏(デジタルレストレーション担当)
映画のフィルムは、公開から60年という時の経過を飛び越え、当時の煌めきを今に伝えてくれる優れたコンテナでもあります。今回の4Kデジタル修復では、経年や使用による映像や色彩への避けられないダメージを修正しつつ、フィルムの中に残されていた公開当時の質感や美しさを余すことなく復元することを目指しています。『眠狂四郎炎情剣』のタイトルロールを演じる雷蔵の芝居の完成度の高さや、三隅監督のダイナミックな演出など、本作の持つ魅力がこの修復版を通じてより多くの人に再発見されることを願っています。

・阿部悦明氏(カラーグレーディング担当)
旧作の修復グレーディングでは、いつも公開当時のトーンについて当時はどんな具合だったろうかと考えます。色味に関しては使用されたフィルムの特徴による違いなどもありますが、旧作のほとんどは自然な見ためやライティングの活かされた画調で作成されていると思われます。そして観客はそのトーンに何のストレスもなく自然と作品に誘われていきます。
今回のグレーディングでもいろいろな当時の資料や証言なども参考にしつつ、直接今は見ることのできない当時のトーンを再現させるべく作業をしました。ぜひ4Kデジタル修復版で当時の雰囲気を味わっていただけたらと思います。

『眠狂四郎炎情剣』は、陰影に富んだ映像、クールな世界観と情念渦巻くドラマのコントラストが観客を魅了した傑作だ。1コマずつ丁寧に検証・復元された4Kデジタル版は、本作をくり返し観てきたファンも驚く映像になっている。

映画デビュー70周年記念
「市川雷蔵映画祭 刹那のきらめき」

12月27(金)より角川シネマ有楽町ほか順次公開

(c)KADOKAWA 1965

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