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窪塚洋介&亀梨和也が選んできた負の感情の手放し方「出来事は全部より良くなるためのものと思うと感謝ができる」

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窪塚洋介、亀梨和也 (撮影/梁瀬玉実)

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現在DMM TVで配信中のドラマ『外道の歌』では、悪人たちを被害者に代わって成敗する“復讐屋”をW主演で演じている窪塚洋介と亀梨和也。不器用ながら厳しさと優しさを併せ持つカモ(窪塚)と関西弁でパッション全開のトラ(亀梨)のコンビ役のふたりにインタビュー。正義と善悪について考えさせられる今作について熱く、真剣トークを繰り広げてくれた。

カモが先輩でトラが後輩みたいな感じだから、普段もそんな関係性でいられています

――壮絶な過去を背負ったカモ(窪塚)とトラ(亀梨)の復讐屋のバディを演じたお二人。今作が初共演ですが、お芝居で対峙してみて、どんな印象を持ちましたか。

窪塚 出来上がりを観て、亀ちゃんは、トラをまっとうしてくれたなって思いました。100点の心持ちでやるから100点以上で出るんだなって。亀ちゃんって自然体で現場にいることで、現場がケツを叩かれるみたいなタイプの俳優さんだと思うんですよ。役にのめり込んで一生懸命に関西弁のセリフ覚えていたりとか、アクションの確認をしたりする行為が、現場を活気づけてくれたので、刺激をもらいました。

亀梨 いや、僕こそ身を委ねさせていただいて、甘えさせてもらった部分が大きいです。窪塚さんが現場の進行や空気作りを先頭に立ってやって下さったおかげで、自分は自分のパートに集中できましたから。役の立ち位置や関係値って多少なりとも現場に影響すると思うんですけど。トラはカモという役に沿った中で現場に居させてもらえたっていうのは、すごくありがたかったです。

――普段は、明るく暴走しがちなトラが“動”なら、寡黙で冷静なカモは“静”という対極のお芝居に引き込まれましたが、このトラとカモというコンビがとても魅力的です。

窪塚 光と影というか、陰と陽っていう感じの真逆のキャラクターという点が魅力ではあるんですけど。圧倒的にトラを演じる負担が大きいので、亀ちゃんはそこの部分をよく耐え忍んでくれたな、と。カモは何もしてなさそうに見えるけど、別にサボってたわけじゃないんですよ? 本当に台本にセリフが書かれてなくて。「今日は3言だけだったな」みたいな日もありました。

亀梨 そうでしたね(笑)。

窪塚 亀梨くんはその10倍ぐらいの台詞を関西弁でやって。アクションまでやってって感じだったから、ありがとうっていう気持ちはすごくあったし。それをまっすぐに楽しんでやってくれるっていうことが、エネルギーになるっていう感じでしたね。

亀梨 本当に原作にあるそのパワーバランス通りというか。撮っていて、裏と表が綺麗にちゃんと逆転してくのが面白いなと思いましたね。表の世界での出来事っていうのは、もう圧倒的にカモが何もせずというか、トラがバーっと動き回っているけど。復讐の場面では、カモが主導になって、トラが手を下さない。表面上、威勢がいい所はトラだけど、裏では逆転するんですよね。カモはトラに一線を越えさせないんです。

窪塚 日常ではフォワードやってもらって。拷問になると俺がフォワードになる(笑)。

亀梨 そう。見えてるところとそうじゃないところでの濃度の違いっていうのが、この2人の関係値の魅力なのかなって。

――そんなトラとカモを演じたお二人は、今、どんな関係性ですか。

窪塚 こんな感じで、自然体でいられる関係性です。一緒にご飯を食べに行ったり、ゴルフに行ったり。友達みたいな感じなんで。

亀梨 本当にカモとトラみたいな立ち位置で。カモが先輩でトラが後輩みたいな感じだから、すごく自然にいられました。

窪塚 亀ちゃんが泥酔するまでは、仲良しでいられます(笑)。

亀梨 いやいや、泥酔しても、別にそこまで変わらないですよ(笑)。

窪塚 俺がいなくなってることを気づいてなかったよね?

亀梨 いや、めっちゃ探しましたからね。

――(笑)。悪人に裁きを下す処刑人のカモとトラ にとっては、復讐は正義感でやっていること。何が悪で何が正義なのか、考えさせられました。

窪塚 そうですね。決して、悪いやつに復讐していいよって言ってるわけじゃなくて。白でもない、黒でもないっていう、真ん中にいることって結構大変。黒白って分けた方が楽だけど、分けられることばかりじゃないから。この作品は、「俺だったらこれどうするだろう」って視聴者の人に感じてもらえるっていうのがすごい最大の強みのひとつでもあると思うし、ポイントなのかなって。答えを出していない。答えはあなたの中にあるから、考えてみてっていう投げかけ方をしているのがいいところだと思う。

亀梨 そうですね。実写の仕上がりを観させてもらって、加害者のキャラクターに対して、やっぱり嫌な気持ちを持つんだけど、後半になるとその加害者もかわいそうにも見えてくるというか。シチュエーションとか出来事によって、人間って捉え方が変わるんだなって。

窪塚 トラの方が復讐してる時にすごい葛藤があるよね。

亀梨 そうですね。人って本当に危ういなって思ったんですよ。世にいろんなニュースが溢れていますけど、切り取られた出来事だけで我々は事件を捉えてしまう。でも、その奥、真実まではなかなか見えてこない。加害者に対して「何やってんのこいつら」ってなるけれど、その奥には、彼らがやらなければいけない何かきっかけがあるのかもしれない。もし残虐に家族と離れることになってしまうようなことがあったら、どういう感情抱くのかなって、すごい今回の作品で考えて……。本当に人間って危うい生き物だな。だからこそ、今こうして平和に生かされてるのは、すごく幸せなことだなって思いますね。

昔から分類分けをされるのがあんまり好きじゃなかった

――ひとつの断面で判断してはいけないですね。お二人みたいに表に出る立場の人って、どうしても何か1つの出来事で「こういう人なんだ」って見られがちな対象であると思うんですけど、今作をやったことで、そんなことをより感じるところはありましたか。

窪塚 昔から分類分けをされるのがあんまり好きじゃなかったんですよね。真面目なようで、すごい不真面目で、すごい奇抜なようで、すごい普通で……みたいな、相反するものを提示したり、手に入れようとしてきた気がします。この人は正義の人だよねとか、この人は悪い人だよねっていう風に分類されることを嫌った結果、俺は俺でいいっていうか。人からの評価じゃなくて自分を持つことで、人からどう見られるかっていうイメージがある意味、どうでも良くなった。分類されないようにしてきて、曖昧さみたいなものを突き詰めた結果、自分になるっていうようなことがあったんで、その道を選んで良かったです。

亀梨 僕の場合はいろんなお仕事もさせてもらっていて、その時々の印象が多分、違うんじゃないかな。でもどれも全部自分。よくも悪くも、ある側面だけでいろんなことを評価してもらいがちで。僕も25年以上、この世界にいて、苦しんだ時期ももちろんあったし、亀梨和也というイメージに抗いたいみたいなところもあったけど、それはそれというか。ありがたいことに自分を理解してくれる方たちがいてくれるので、今の自分がいますね。

――この作品の登場人物たちは、復讐心で生きています。復讐したいほど、怒りの感情に支配されてしまったときは、どのように負の感情を手放すようにしていますか? 復讐というほど大袈裟なものでなくても、お二人の日々のネガティブな感情の解放の仕方が知りたいです。

窪塚 「ムカつくな~、コイツ!」って思う人っているじゃないですか。でも、眠る前に思い出して、イライラしながら眠るのは嫌だし、基本的にはそういう人のことを考えたくない。だから、考え方の問題で、嫌なやつは、自分を強くしてくれる存在だと思うようにしています。

――なるほど。

窪塚 自分の力ではどうにもならないような大きな出来事を含めて、起きることは全部より良くなるために起こってるんだという風に思うと、怒りの根源にも感謝できる。まぁ、本当に感謝できるかどうかは置いておいてもね、そういう風に考えればいいっていう道筋があるかないかで全然違うと思う。なるべくストレスが溜まらない考え方ができたらいいよね。

亀梨 本当にそうですよね。

窪塚 もう嫌な人とは、向かい合わないっていうか。そいつを宇宙から見てやろう。サテライトで……っていう感覚(笑)。

亀梨 ああ、僕もめちゃくちゃ考え方が近いです。そもそも、最近あまりイラっとすることがない。

窪塚 おっ、一緒。俺もそうだから。

亀梨 若い頃はね、ぶつかることもたくさんありましたけど。それは、自分と違うものに対してのキャパがなかったから。「この人、いい人だな」「この人、大好きだな」って思える人や自分と相性がいい人っていますよね。一方で、自分とは違う、自分が見えてない角度でモノを見ている人もいるわけで。今なら、その人の角度で物事を見てみようかなって思えますね。

窪塚 そうだよね。

――見習いたいです!

亀梨 僕、グループで活動してるんですけど……昔の話をしていいですか?

窪塚 ははは。もちろん。(グループ活動していることは)みんな知ってると思うけど(笑)。

亀梨 昔、本番ギリギリまでゲームをやっていた子がいたんですよ。その当時は、正直カチンときてました。でも、大人になって、いろんな人と出会って成長してきて、いい時も悪い時もいろいろ経験してきて。緊張から解放されるために本番ギリギリまで違うことにトリップして、本番のこと考えたくなかったのかもしれないって思えるようになった。若い頃は、同じ場所で、団体で動かなきゃいけない時って、自分の物差しで人を見ちゃってたけど。こうしなきゃいけないっていう正解は極論ないよな……みたいな。もちろん人に対して、イラッとさせるような感情を持たせないようにするのってマナーだとは、思うけどね。ただ、大人になればなるほど、受け取り方のキャパが大きくなったのかなって思います。

――いろんな角度から物事を見られて、受容力がすごいですね。

亀梨 まぁ、本番直前までゲームやっていて、本番ミスしたらダメなんですけど。リズムの作り方は、人それぞれ。自分とは物語も生き方も違うわけだし。違って当然。

――考え方も生き方も本当に十人十色ですね。

亀梨 そういう考えになれたのは、自分自身の弱さも分かってるからこそなのかな。20代前半は、自衛隊さんが3日間登山に挑むドキュメンタリーを観た時、最後の最後に「ダメだ」ってリタイアする人間に対して「なんでリタイアするんだよ! なんで、あきらめるんだよ!」って思っていたけど(笑)。今は自分の弱さも寄り添えるからこそ、リタイアしてしまう人の気持ちも分かりますね。

撮影の合間に役衣装のまま外に出ると、生っぽさが出せるようになるんです

――今回の作品のように重いものを抱えて、道を外れた生き方をする人間を演じている時は、感情のコントロールが大変そうですね。

窪塚 役作りは家で準備してできてるから、カチンコが鳴ったら作品の世界に入って、「はい、カット」って言われたら役から出るっていう感じのイメージなんで。カットがかかったら、普段の自分で人と接してます。

――切り替えが早いんですね。

窪塚 マネージャーから見ると、その時やっている役をちょっと引きずってる感はあるみたいですけど。俺的にはあまり意図的にはやってないです。

亀梨 僕もそうです。だから撮影に入る前、しんどい時期はありましたね。原作や台本を読んでどう構築していくか考える時って、作品で描かれる世界観の感覚に近づいているので、今回だったら、人を疑った目で見ちゃいがち。現場に入ってからは役を背負って現場に立ってるけど、もちろんずっと入りっぱなしってことはないかもしれないです。

窪塚 でも、ストイックにやってたよね。

亀梨 本当ですか?

窪塚 うん。僕といる時間もそうだけど、ふとした時もちょっとトラっぽかった。

亀梨 自分というより役っぽい選択をしてしまうことはありますね。今やっているのは、ちょっと“黒”がキーワードなっているキャラクターで。洋服を買いに行ったら、黒を買ったり。現場でも衣装を着て、ロケに行くと普段と歩き方が違ったり。

窪塚 そうなんだ。

亀梨 現代劇の場合は、なるべく役の衣装で外に出たいんですよね。時代劇の衣裳で外出ちゃうとタイムスリップみたいになっちゃうから違うけど(笑)。現代劇の時は、空き時間に外でご飯とか食べたり、街歩いたりするだけで、なんかね、より自分の中にそのキャラクターがリアルになってくるというか。

窪塚 分かる、分かる。

亀梨 それこそ、『正体』の時とかも、変装した状態で商店街を歩いて、コンビニ入って。蕎麦屋さんに行って、役のままの気分で蕎麦を食べてた(笑)。するとなんか役に生っぽさが出てくる。

窪塚 役を生きるって、そういうところが面白いよね。

<作品情報>
DMM TVオリジナルドラマ『外道の歌』 独占配信中

https://info.tv.dmm.com/original/pre-membership/gedounouta/

俺は警察でもなければ裁判官でもない。正義の味方でもない。 ただの復讐屋だ。 ⼀⾒何の変哲もない寂れた⼩さな古書店を営むカモ(窪塚洋介)とトラ(亀梨和也)だが、裏では被害者遺族の代わりに法の裁きから逃れた悪人を処刑する「復讐屋」であった。 「ライバー強姦殺人事件」「児童虐待死事件」「一家洗脳殺人事件」 目を覆いたくなるような数々の衝撃的な事件への復讐劇。 なぜ彼らは復讐屋となったのか?彼らの目的とは?


撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
ヘアメイク/(窪塚)佐藤修司、(亀梨)豊福浩一 スタイリスト/(亀梨)佐藤美保子

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