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タデクイって何なんだ!? 進化を続ける3ピースバンド・タデクイインタビュー

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タデクイ 左から)OMI(ds)、下倉幹人(g/vo)、廣野大地(b)  Photo:石原敦志

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Text:吉羽さおり Photo:石原敦志

昨年3月に札幌で初のワンマンライブ『ブルースを蹴飛ばせ!! 』を開催し、ライブハウスでのライブはもちろん、路上ライブでも観客を集めて1stワンマンを成功させた北海道釧路市・阿寒湖畔出身の3ピースバンド・タデクイ。
その後、10代限定夏フェス『マイナビ閃光ライオット2024 produced bySCHOOL OF LOCK! 』への出演や、『出れんの!?サマソニ!? 』オーディションを通過し見事SUMMER SONIC 2024の舞台に立つなど、2024年は3人がその音楽で大きな一歩を踏み出す年になった。そして2025年、1年ぶりとなる2ndワンマンが決定。今回は、3月23日(日)に北海道・札幌BESSIE HALL、そして3月26日(水)には下北沢 近道で開催される。会場もスケールアップして、繊細に、また熱いエネルギーをたぎらせたタデクイのブルースロックを響かせてくれるはずだ。

1月早々から、東京都内3カ所でライブを行なった3人。ここでのライブがまた20代に突入したばかりとは思えない貫禄や迫力を放ち、それでいて程よく力が抜け、柔らかに研ぎ澄まされたステージとなっていたことに驚かされた。
1月8日の下北沢440のライブでは、アンコールで対バンのシャッポと急遽、インプロヴィゼイションを行ない、集った音楽ファンの歓声を浴びた。急速に、着実に、バンドとして成長を遂げているのが頼もしい。その現在進行形の3人の感覚と、間もなく取り掛かるという新作について、2ndワンマンへの思いを聞いた。

──昨日(1月8日)の下北沢440でのライブ『440(four forty)×タデクイ presents シャッポ×タデクイ』にうかがったのですが、すごくいいライブでしたね。

下倉幹人(g/vo) よかったよね、今回は。

廣野大地(b) うん、ちゃんと楽しめた。

廣野大地(b)

下倉 のびのびとね。

──すごくのびのびと演奏しているな、いい空気感だなというのがいちばんに感じるライブでした。今回の東京の滞在で、440含め3カ所でライブがありましたが、セットリストであったりアレンジのムードであったり表現は、ライブハウスによって変えたりするんですか。

下倉 めっちゃ変えてます。

廣野 変わっちゃうというか。

下倉 それこそ440みたいなところだとアコースティックな曲やブルージーな曲が合うけど、ステージがちょっと高くて照明も作れたり音響がしっかりとしているライブハウスでは、もうちょっとサイケっぽい音を出しても映えるかなと思って。次の新代田FEVERはどちらかというとダークめな感じでいこうかなと思ってて。会場入ってみて、気分が変わるかもしれないですけど。

下倉幹人(g/vo)

──その会場に着いたときの気分で変えることもあるんですね。

下倉 めっちゃあります。もちろん曲は詰めていくんですけど、曲を持っていってそれをどう組み替えるかは、会場で決めることが多くて。

OMI(ds) スタジオのリハでやってない曲を当日のセットリストに入れてきたりとかもあるので、結構忙しいですね。

下倉 申し訳ないとは思うんですけど(笑)。

──メンバーも、いつ何が変わっても大丈夫な心構えはしているんですか。

OMI そうですね。できないことはしてないからね。

──前回のインタビューで、普段からセッションをしていたり、スタジオでジャムって曲を作るということも言っていたから、曲のアレンジが変わっていくことも抵抗はなさそうですね。

下倉 そうですね。曲自体にジャム要素が強いので、曲の展開はある程度決めているんですけど、その展開のなかで何をやるかは指示し切っていないので。だから、それぞれの瞬発力がちょっとずつ上がっているなと思うし。好きにやってくださいっていう感じで。

OMI 昨年の閃光ライオットのときはとくにそうだったよね。それまで一回もやったことがないやり方で曲を終えるという。舞台裏で口頭でちょっと合わせて、舞台上で初めてやる感じだった。

下倉 そうだったっけ、ごめん(笑)。

OMI まあ、ヒヤヒヤですよね。

OMI(ds)

──OMIさんはドラマーで、大事な曲の終わりのきっかけを出すパートでもあるからとくに緊張感はあるかもしれない(笑)。

下倉 ただ基本、OMIちゃんに任せればなんとかなるので。「じゃあここで、ダンッ、ツ、ダダン、トントン、バーン!で、そのまま次の曲のドラムに入ってね」とだけ口頭で伝えたら、最初は何言ってんのみたいな顔をするんですけど。

OMI しますよね。(笑)

下倉 腹立ってるのかな、これはケンカかなって。でも、なるほどねってわかってからが早いから。そこで大地とうまくやってもらって、あとはその上で私が好き勝手やるという遊びをしてます。

──そういう3人ならではの阿吽の呼吸や空気感、その安心感みたいなものはステージを見ていても感じました。今回の東京でのライブを終えて、1月末にはいよいよレコーディングに入るという話を聞いていますが、どういう感じになりそうですか。

OMI レコーディングはずっとやろうとは言っていたんですけど、本格的にやろうとなったのはここ1、2カ月くらいの話で。

下倉 今、4、5曲くらいのEPになるかなって思ってます。というのもタデクイの方向性……と言うほどではないですけど、とにかく今作っている曲と既にリリースしている曲調やイメージの差があるんです。昨年デジタル・シングルで「日常」「屁理屈」をリリースしたんですけど、この2曲よりもずっと前に作ったけど出してない曲を一旦ここで出しちゃおうという感じで。それでバンドの名刺が作れるくらいのものができたらと思っていて。

──では曲はもう出揃って、ある程度まとまっている感じですか。

下倉 若干、悩んでます。この2曲は録ろうっていうのはあるので、その2曲を主軸に、その周りの色をどうするかは考えていて。どうやっても、ちがうものになるなというのがあるので。そこをうまく考えたいなというところですね。

──今、バンドとして注目度が上がってきているところで、リスナーが聴けるのが「日常」と「屁理屈」の2曲だけだと正直、もったいないなという思いがあったので、まとまった作品が出るのは楽しみです。さらに「日常」と「屁理屈」で知って実際にライブに足を運ぶと、音源とはまたちがう迫力や演奏で食らうので、ますますタデクイって何なんだ!?ってなってますから。

下倉 僕らって何なんですかね? そこは探っているかもしれないですね。でもこれは絶対ちがうよなっていうのはあるし、これは好きだしこれは嫌いっていうのは若干わかるようになってきたので。

廣野 続けていったほうがいいこともあるだろうしね。

下倉 これは今だけだねっていうのもあるし。レコーディングに向けていろんな幅の曲を作ってみたけど、これからいっぱいやるだろうなという曲もあれば、これっきりになるかもなというのもあったりして。と言っても、夏休みの宿題を最終日に終わらすタイプなので、2024年作った曲、最初のワンマン(「ブルースを蹴飛ばせ!!」2024年3月)以降に作った曲は2曲くらいなんです。

OMI 「友人」と「蛹」、あとは「時計」という曲は今止まってるかな。

──作るタイミングがあまりなかったんですか。

下倉 正直、タイミングはいくらでもあったと思うんですけど、やらなかっただけというか。自分の弾き語りの何曲かできたんですけど。それはタデクイでやるのは気分がちがうし。私はナイーブなので、これはタデクイに任せるっていうところもあれば、この曲はあげないっていうのもあるので。やっぱりタデクイでやる曲はキメキメで作ったら面白くないし、ジャムりながら作るのが楽しいってなったら、3人で集まるタイミングがあまりなくて。

──2024年の春からは大地さんが進学で東京へ、ふたりは札幌でと生活の場が離れたこともありましたしね。

下倉 こういうデモができたんだけどって送り合って、集まったときに合わせるっていう感じになって。最近はやっとインターネットで音源を送り合って、ベース当ててみて?みたいな、自分らのやり方も見つけてきたんですけど。

OMI 「友人」は大地が東京に出てからだったから、そうやって作ったんじゃなかったっけ。

廣野 でもまだDAWとかは使ってなかった気がする。

下倉 しかも俺、シャッフルとか打ち込みでできないんだよね。だから、ここにドラムがこういう感じで入って、こういうベースを当ててくださいね、せーの、どんって感じで曲をやってみて。そうそう、そんな感じで決めていくので。

OMI タデクイは完成し切ってない、デモみたいな状態でまずライブでやるよね。ライブで曲を詰めている感じがすごくある。

──実際ライブで聴いている人、観ている人の温度感を知るのも大事?

下倉 そうしないとうまくできない気はする。確信を持ってやっても、意外とスカッとなったりするし。たくさん用意・準備をしていって一個ずつ試すのと、とりあえず輪郭だけ作っておいてそれをちょっとずつライブで浮き彫りにしていく、形にしていくのがあるとしたら、我々は後者のやり方なので。

廣野 ライブで育てる感じ。

OMI 昨日最後にやった曲も、昨年のワンマンで初めてやったんですけど。そのときはまだテンポもまったくちがったし。

──「灯台」ですね。前回のインタビュー時に、「灯台」という曲ができてボサノバっぽい感じでやりたいと思っていたけど、結果合わせてみたらドラムンベースみたいになったということを言っていたんですよね。

下倉 それが今回ちゃんとボサノバに落ち着けたので、すごくよかったんですよね。本当は、あのくらいの気分でいたいんですよ。テンション的にPerfumeみたいな感じというか。

廣野 平熱感ね。

下倉 それが結構今のムードというか。うぉぉぉい!みたいのは正直あまり好きじゃなくて。穏やかに笑うくらいが気持ちいいなと思っているんです。

──昨日のライブは相当いい塩梅でできた感じだったんですね。

廣野 よかった。

下倉 お客さんもあったかかったしね。

廣野 テンション上がったよね。

OMI でもやっぱりお客さんの年齢層は高いよね。

下倉 もうちょっと女の子からモテてもいいんですけどね。そういう感じでもないんですよ、残念ながら。

──モテたいと思ったら、今のタデクイの音楽にはなってないと思います(笑)。

下倉 それはトホホというか、できないだけなんですよね。モテる音楽が作れないだけなので。作れるもんなら作りたいですけど……いやどうかな?

OMI 普通にやってて楽しい音楽やってるんじゃない? 何かの理由で作ってるわけじゃないんじゃないかな。

下倉 令和ロマンの人が言ってたんですけど、漫才って勉強すれば作れるけど作った漫才がその人に合うかはわからないって。ああ、なるほどなと思って。私が下北沢のバンドマンたちのような歌を仮に作って歌ったとしても、これはうちらに合わないなって思ってやめちゃうと思うし。あまりかわいい声してないしね、私が。だからキャピキャピした、青春、イエーイみたいなのは残念ながらできないんです。君に胸キュンみたいなことはしたいですけど、今は20歳にもなったし、穏やかな感じで。やんちゃはすみましたね。

──それはずいぶん早い気がしますけど。それは3人の温度感としてもですか。

廣野 俺はなんでもやりたいタイプで。最近新しくGXIRD/D(ギザドド)というバンドに加入したんですよね。

GXIRD/D(ギザドド)

下倉 いいよね、ズットズレテルズの再来っていう感じがする。

廣野 ズットズレテルズが僕は大好きで、そういうノリ、ストリートベースの感じをやりたいのもあったから、また新しい楽しさがありますね。工藤礼子みたいな感じもあって好きなんですよね。

下倉 工藤礼子は素晴らしいよね。

廣野 基本GXIRD/Dは即興なんですけど。そこでのセッションとかやり方は、タデクイの感じとはまた全然ちがうんですよね。タデクイにも還元できるなと思うし。

下倉 それをバンドに持ち帰ってくれるよね、面白いよね。

OMI 俺も今他のバンドのサポートをしていて、ひとつはLOCHROってバンドで、あとは藤原颯太なんですけど。やり方はまったくちがいますよね。

──タデクイは3人が幼なじみというバックボーンがあるから、それぞれが持ち帰ってくるものが新しい風になりますね。

下倉 そう。お互いちがう人なんだなって思うし、それが最近楽しいんですよね、そのズレがいい。

──レコーディングするだろう曲たちの歌詞はどんな感じなんですか。どういうものを歌っているんですか。

下倉 「友人」は、阿寒湖を散歩するときの歌だったり。あとは今「隣人」といううるさい隣人の歌を書いてます。私の横に住んでいるであろう人が思っていることを書くっていうもので。“私の言ったことが聞こえなかったのか”っていう歌い出しなんですけど。

OMI 小説の書き出しみたいだね。

下倉 あとは海の歌がいっぱいあります。

──前回の海をモチーフにしたEPになるかもという話はしていました。「灯台」もそのなかのひとつといった感じですかね。

下倉 そうです。「灯台」は内に向けた曲で、確固とした意思というよりはその前段階の、どんどんどんどん外堀が埋まっていく心地の悪さを歌っている曲ですね。穏やかに苦しくなっていくというか。釜に入れられたカエルみたいに──釜の水にカエルを入れて、その水がだんだんと温まっていくとカエルは水の温度が上がったことに気づかないまま茹で上げられちゃうと言いますけど、そういうテンション感というか。曲を通して、気持ちは変わっていくけどテンションは平熱のままっていうか。

──それもあってサウンド的にはその平熱感があるんですね。

下倉 イメージしていたことができていますね。もっとできる気がするんですけど。

──音源の完成も期待したいですが、3月には2ndワンマンライブが決定しました、3月23日(日)が札幌BESSIE HALL、そして3月26日(水)下北沢・近道。

下倉 まだメンバー内でちゃんと話してないんですけど、このワンマンのテーマも、海になるのかなと思っていて。私、海好きなんですけど、怖いんですよ。

OMI 前に一回、朝の海みたいな曲もほしいよねって言ったら、「俺、朝の海嫌いなんだよ」って言ったことがあった。

下倉 今もそうなんだけど、朝の海ってなんか死のイメージと結びついていて。多分自分が人が死んだときに朝の海にいたからなんだろうけど。

OMI そういう記憶があるからだろうね。

廣野 あとは僕らのいう北海道の海、釧路の海もそうだけど砂浜の海じゃないんですよね。いわゆる“海”のイメージはちょっとちがうかもしれない。

下倉 流木がいっぱいあったり。

OMI 崖があったりね。

下倉 お墓のある崖があって、その下が海なんですけど。そこによく自転車で行ってて。とくに意味もなく行っていたんですけど。「灯台」も、そうやってよく散歩をしていたときの歌なんですよね。今回のワンマンは、そのときの気持ちを拾っていく感じになったらいいなと思っているんです。“なんで歌ってるんだっけ?”っていう。それが見えてきたらいいなと思ってます。

<公演情報>
『2nd ONEMAN LIVE』

3月23日(日) 北海道・札幌 BESSIE HALL
開場17:30 / 開演18:00

3月26日(水) 東京・下北沢 近道
開場18:30 / 開演19:00

【チケット料金】
前売:一般 3,500円 / U-22 2,500円
当日:一般 4,500円 / U-22 3,500円
※入場時ドリンク代が必要

★1月19日(日)23:59まで先着先行受付実施中
https://w.pia.jp/t/tadekui-hk/
※予定枚数に達し次第受付終了

※2024年初夏に行ったインタビュー記事はこちら

■関連リンク
タデクイX:https://x.com/TADEKUIDETAKUI

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