襲名を控える菊之助が強い決意 三谷幸喜の新作、野田版『研辰の討たれ』ほか上演発表も【松竹創業130周年記念ラインナップ発表会より】
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左より)尾上丑之助、尾上菊之助
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すべて見る松竹は1月23日、都内で「松竹創業130周年記念2025-26年ラインナップ発表会」を開催。歌舞伎俳優の尾上菊之助、丑之助が出席し、親子揃っての大襲名披露興行に向けて思いを語った。2025年5月、6月歌舞伎座にて、菊之助が歌舞伎界の大名跡である八代目「尾上菊五郎」を、丑之助が六代目菊之助を襲名。歴史的な襲名披露興行が歌舞伎座を皮切りに、全国各地の大劇場で開催される。
歌舞伎座での襲名披露狂言は、5月昼の部『京鹿子娘二人道成寺』でふたりの白拍子花子を新菊五郎と新菊之助が、夜の部『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助を、「浜松屋」「極楽寺屋根」では新菊五郎、「稲瀬川勢揃い」では新菊之助が勤める。また6月は、昼の部『菅原伝授手習鑑』で新菊之助が「車引」梅王丸、新菊五郎が「寺子屋」松王丸を、夜の部『連獅子』ではふたりが親子の獅子の精を、それぞれ勤めることになっている。

菊之助は「松竹創業130周年に、大切な名跡を八代目として、そして、私のせがれ、丑之助が、私が30年間名乗らせていただきました菊之助を六代目として襲名させていただきますこと、とても光栄でうれしく思っている次第であります」と挨拶し、「名前を受け継ぐということは、歴史を築き上げてきてくださった先人たちの知恵、技術、心を継承し、広く伝えることだと思っております」と思いを熱弁。「古典を継承し、発展させ、世界の皆様にお伝えしていくことを襲名のテーマにしたい」と強い決意を示した。
松竹は現在、「日本文化の古典、伝統を継承、発展させ、世界の文化に貢献する」を経営理念に掲げており、「まさに一致しております。松竹は毎月のように歌舞伎を興行してくださり、守ってきてくださった。その松竹と、歌舞伎役者が手を携え、よりお客様に楽しんでもらえる作品を(作りたい)」と共闘を誓った。
当代の七代目・尾上菊五郎は名前を変えず、引き続き菊五郎を名乗ることになっており、400年続く歌舞伎の歴史上初めて、同じ大名跡が同時にふたり存在することに。この件は、昨年5月に記者会見で発表され、大きな反響を呼んでおり「記者発表の時には、多くの皆さんが、びっくりされたと思うんですが、父がいつまでも元気で現役で、名乗って参りました名前を全うする。父の思いを家族で支えるという一族の総意で、これからも進んでいきたいと思っております」と、思いを新たにしていた。
丑之助は昨年の会見で「まだ丑之助でいたい」と発言していたが、今は「菊之助になる覚悟が出来てきた。弁天小僧は小さな頃から楽しみにしていたので、今回の襲名はとてもうれしい」と凛々しい表情を見せた。襲名公演に向けた“襲名カレンダー”も作ったそうで、菊之助は「あと何日と指折り数えながら、1日1日稽古をし、懸命に過ごしているところ。ちょうど、100日を切ったところでございますし、気を引き締め、手を取り合って稽古して参りたい」と、襲名に向けて改めて背筋を伸ばした。
興行は7月に大阪・大阪松竹座、10月愛知・御園座、12月京都・南座と全国各地を巡る予定だ。また、7月以降の歌舞伎座公演として、松本幸四郎主演の『鬼平犯科帳』、松本幸四郎、片岡愛之助、中村獅童出演、三谷幸喜による新作歌舞伎、中村勘九郎主演・中村七之助出演の野田版『研辰の討たれ』、中村獅童の「超歌舞伎」の上演が新たに発表された。
取材・文=内田涼
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