モーモールルギャバン、結成20周年!『つよし生誕祭2025』に向けてインタビュー
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モーモールルギャバン 左から)ユッカ(key/vo/銅鑼)、ゲイリー・ビッチェ(ds/vo)、T-マルガリータ(b/cho) Photo:町田真一郎
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ドラム、キーボード、ベースの3ピース編成で、サイケでエクスペリメンタル、それでいながらここ日本で生まれたならではのキャッチーな歌謡性や歌心を放つ、モーモールルギャバン。2005年に京都で結成し、2025年の今年めでたく結成20周年を迎えた彼らが、2025年12月9日(火) にZepp Shinjuku(TOKYO)でワンマンライブを開催することが発表された。この日はゲイリー・ビッチェ(ds/vo)の誕生日で、『つよし生誕祭』として恒例のライブが行われているが、今回はそこに20周年も加わったスペシャルな一夜になるという。
2017年に事務所から独立し、2018年にはセルフプロデュースによるEP『IMPERIAL BLUE』を発表。そしてコロナ禍はバンド活動を休止し、2023年3月にゲイリーとユッカ(key/vo/銅鑼)の第一子が誕生し、2023年末にはライブ活動を再開。徐々にバンドの活動ペースを上げながら迎えたのが、20周年を迎える2025年となる。インタビューは久々だという3人に、近況や来るZepp Shinjuku(TOKYO)のライブについて、ざっくばらんに語ってもらった。
──2025年に突入したばかりですが、早くも12月9日(火)に開催する恒例のゲイリーさん誕生日ライブがアナウンスされました。
ゲイリー・ビッチェ(ds/vo) 手を抜けない予定を最初に決めておこうという感じですね。それでまず僕がZepp Shinjuku(TOKYO)に電話したんです。
──ご自分でですか?
ゲイリー 僕、モーモールルギャバンってバンドをやってましてって……。
T-マルガリータ(b/cho) ちゃんとバンド名も言ったんだね。
ゲイリー そしたら、「個人の方からは受け付けていないんですよ」って言われて。ああ、そうなんですねと。それでライブ制作などをやっているATFIELD inc.の青木さんに連絡をして、お願いしますって言って。
──今年はZepp Shinjuku(TOKYO)でやるということは、早くから決めていたんですか?
ゲイリー 昨年9月に4年ぶりにワンマンライブをやったんです。
──渋谷CLUB QUATTROでの活動再開後の初ワンマン『T-マルガリータ44th生誕ルルギャバンdeワンマン』ですね。
ゲイリー そこで、2025年は20周年だから何かやったほうがいいよねってことをMCで言ったら、お客さんからZepp!Zepp!って声が飛んできて。
ユッカ(key/vo/銅鑼) 無責任な声がね(笑)。
ゲイリー たしかに、これまでワンマンをやらせてもらった一番大きな会場がZepp Tokyo(2012年)だったから、またZeppでワンマンをやってるモーモールルギャバンの姿を見たいというファンの人の気持ちは分かるんだけど。いやいやいや無理だよ......とも言い切れないくらいには、そのときのQUATTROが盛り上がってくれたんですよね。本当にZepp押さえちゃうよ? 押さえちゃったらお前らまじで全員友達連れてきてねってお客さんに言って。そういう流れがあって、Zepp押さえちゃうかっていう。
──Zeppでやることはバンド内でも満場一致で。
ユッカ えー! って言ってる間にもう決まってたよね。
T-マルガリータ 本当に大丈夫? って。
ゲイリー うちのバンドは満場一致とかないですからね。
ユッカ そうだね。だいたい決まってる。
ゲイリー 普段はバラッバラで、ああだこうだとお互いに文句を言いながらも、仕方なくステージ上でだけ一致団結するみたいな。
ユッカ 的確な表現(笑)。
ゲイリー 仕方なくですよ、ステージの上で一致団結するのは。このふたり(ユッカ、T-マルガリータ)が、よく言えば僕の自由なドラムに、しょうがねえか、合わせてやるよって感じで。スタジオでは合わせてくれないけど、本番中のステージでは合わせてくれる感じなので。
──(笑)。コロナ禍とともにモーモールルギャバンとしては活動を休止していました。2023年末に活動を再開しましたが、そこからの久々のワンマンはどういう感触でしたか? 戻ってきたなという感じもあったんですか?
ユッカ そのときまだ子供が小さかったので(2023年3月に出産)、今までみたいに夜遅くにスタジオに入ったりとかができなかったので。まずは保育園に預けるところからスタートして、バタバタっとスタジオに行って、また迎えに行ってという感じだったので。頭が全然切り替わらないんですよね。
ゲイリー なんとか10カ月かけてワンマンができるバンドに戻していこうかっていうのはありましたね。
──ゲイリーさんはバンドの活動休止中、ヤジマXとしてソロ名義で活動をされてましたね。
ゲイリー コロナ禍はほぼソロばかりやっていました。曲作りもソロ名義でやってという感じで。
──その頃はバンドに向けてというのは考えていなかった感じですか?
ゲイリー 僕は常に動いていないとすぐダメになっちゃうタイプのバンドマンなので。ライブがまったくないみたいな状況が3カ月くらい続いたら、僕死ぬんですよ。だからずっと何かやってましたね。実際コロナ禍に入って、緊急事態宣言が一番きつかった4月、5月とかは、こんな生活を送っていたら本当に死ぬなと思って。全然お客さんが来ないんですけど、でもライブハウスは開いている状況だったから、たくさん呼んでもらっていて。それはそれで楽しかったですね。
──ソロ名義での活動が、バンドでの活動や曲作りなどに還元できている感覚はあるんですか?
ゲイリー 分からないですけど、還元はできていると思いますね。なんか、今までの散々やらかしてきたところとか、残念な部分とか、全部含めて今があるみたいな感じで。バンドマンって、良くも悪くもそういうのがすべて糧になっていくからいいなっていう部分に甘えて、良いか悪いかとかは考えずにとりあえず思いついたことはなんでもやってということをやってきて、今があって。それが良かったのか悪かったのか、実際のところはよく分からないっす。
──何かしら力がついているのでは?
ゲイリー 力がついているかどうかもよく分からないんですけどね(笑)。
ユッカ はははは(笑)。
──T-マルガリータさんは、コロナ禍からバンド復活まではどういう動きをしていたんですか?
T-マルガリータ コロナ禍では、音楽のことを何も考えずここぞとばかりに2年弱くらい引きこもっていたんです。僕はひとりが好きだしゲームも好きなので、ずっとゲームをしていたんですけど。ひとりが好きでもさすがにその生活を1年半もやっていると飽きてくるみたいな。
ゲイリー 普段できるだけ人前に出たくないと言っているくらいだから、無限に引きこもってられると思っていたんですけど。マルもひとりに飽きるんだ。
T-マルガリータ そういうときに、いつもライブ写真を撮ってくれているカメラマンの子のイベントに呼ばれて、セッションみたいなことをやったんです。それが縁で別のバンドでサポートをやることになって、救われたところはありましたね。サポートをやりながら、ヤジマXのサポートもやったりしていたので、モーモールルギャバンが復活するとなったときは、リハビリを経て、そこまで苦労はせずに入れたかなというのはありますね。
──他のバンドでの経験は、モーモールルギャバンはどういうバンドかということを客観的に見る機会にもなりそうですね。
T-マルガリータ うちのバンド、こんなに音が大きいんだって改めて思いましたね(笑)。ベースの音で言ったら倍くらい違う気がするんですよ。ドラムがでかいからしょうがないんですけどね。
──活動を再開して、こうして今年結成20周年を迎えますが、今はバンドと歴史を共にしてきてくれたようなお客さんが多い感じですか?
ユッカ 長い方は長いですね。よく前の方に来てくださる方は顔もちらほら覚えていて、節目、節目に来てくださるとすごいうれしいですよね。
ゲイリー あと最近、若いバンドの子がモーモールルギャバンを聴いて育ったみたいな子がいっぱい出てきてくれて。それこそ、青木さんがされている『BAYCAMP』で言うと、超☆社会的サンダルとかトップシークレットマンとか、あと171と書いてイナイチっていうバンドとか、大阪のmuk(ムク)っていうバンドとか。171は、最初ヤジマXで対バンしたんですけど。モーモールルギャバンのカバーをやってくれたんです。mukは、vo/gの秋本(ユク)くんのお母さんがユキちゃんという名前なんですけど。「ヤジマさん! 僕ユキちゃんの遺伝子です」って自己紹介されて(笑)。そういう、20歳前後のメキメキと頭角を現している子らが、モーモールルギャバンが好きなんですって言ってくれる子が多いんですよ。
──そういう子たちと今、対バンができているってスペシャルな出来事じゃないですか。
ゲイリー さっき、ヤジマXをやっていて良かったのかよくなかったのか、よく分からないみたいなことを言ったんですけど、コロナ禍ではそういう子たちとすごく出会わせてもらいましたね。それこそ子供が生まれる前は、北海道から九州まで全国いろんなところに行っていたので。ヤジマXが熊本に来るよってなると、そういうヤジマXと対バンしたい子たちを集めてくれるじゃないですか。最近の20歳前後の子たちは、演奏がうまいだけじゃなくて、良い意味で尖っているんですよ。マッシュの前髪長いバンドを全員ぶっ殺すみたいなことを言ってる尖ったバンドマンがね、いるんです(笑)。良いですよね。
──また、今制作などはどういう感じですか?
ゲイリー 今、曲作りまでは全然いけてないですね。ただ、さすがにZeppの前に新曲がないのは……。
──年末のライブを今発表しているということも含めて、何かリリースもあるのかなとか、その期待値は上がっていそうですよね。
ユッカ やばいぞ……。
ゲイリー 2018年に『IMPERIAL BLUE』というEPを出す前に、LIQUIDROOMのワンマンが決まっていて。そのワンマンのチケットが200枚くらい売れていたんですよ。それがEPを出した瞬間に一気に500枚くらいまでいって、という奇跡をもう一回起こさないといけないのかなと思っているんですけどね。当時LIQUIDROOMでのワンマンが10月で、EPを出したのが9月だったので。今回できるだけ早めに出したいなとは思ってるんですけど、同時に、10月くらいでも間に合うなとか思ってしまっている……。そういう学習を過去にしてしまった自分もいて。今1月だから、まだ考えなくてもいいかって思ってしまっているのはよくないなっていう。
ユッカ 思っているだけだと、作品はできないからね。EPとかだったら1曲じゃないから大変よ? 私、隠しストックとかはないよ?
T-マルガリータ 僕はないですよ。
ゲイリー 僕は常に100曲はストックがある人間なので大丈夫です。僕はいつでもいけます。この曲を聴いて、Zepp行きたいっていう人が思ってくれるタイミングまでには、何か出します。
──EP『IMPERIAL BLUE』ももちろんですが、2019年のシングル「消えて」もグッと胸に刺さるすごく良い曲でしたしね。今のモーモールルギャバンがどういう曲、歌を歌ってくれるのかは楽しみでもあります。
ゲイリー うれしいですね。2012年とか13年とかは、モーモールルギャバン変わっちまったなとかよく2ちゃんねるとかで書かれていたんですけど。『IMPERIAL BLUE』とか「消えて」を出したら、「俺たちのモーモールルギャバンが戻ってきた」みたいなことを言われて。
──その意識、何かを取り戻すような感覚は自分たちでもあったんですか?
ゲイリー 多分、第4のメンバーがいるかいないかの違いだけだなと思うんです。というのも2009年から17年に出したアルバム『ヤンキーとKISS』まではプロデューサーがついていたんです。そこからセルフプロデュースとなって、俺たちのモーモールルギャバンが帰ってきたと言われて。
ユッカ 単純に環境が元に戻っただけなんですけどね。
ゲイリー プロデューサーがサウンドワークの部分でわりとアクの強い人ではあったので。
ユッカ そういう人がいるかいないかが、音に反映されていたんだと思うんです。だから意識をしていたわけではないんですよね。当時いろんなことが勉強になるので。そこがプラスになっている分、戻ったとしても学んだことや経験は、上積みされているので。何も分からずやっていた頃よりは、いろいろ分かってやれることが増えているので。作るっていうことに関しては、できることが増えているなという感じではありますね。
──では改めて12月のライブについてもお聞きしますが、今回は何かタイトル的なものなどあるんですか?
ゲイリー 『つよし生誕祭2025』ですかね。
T-マルガリータ 今回、副題はないんだ?
ゲイリー 今回は、『~モーモールルギャバン20周年~』が副題かな。
──すでに何か内容的なところで考えていることはあるんですか?
ユッカ この間、美容院でそれを相談してたの。
ゲイリー 美容院で相談したの!?
T-マルガリータ (笑)。
ユッカ 切ってもらいながら、美容師さんに「20周年、何をしたらいいですかね」って話をしていて(笑)。そこですごく良いアイデアをもらっちゃったから。それ採用! っていう。こうしたら、やる側も観る側も楽しくなるかなっていうものを今、いろいろと考えています。
──時間もたっぷりありますからね。
ゲイリー これももう言っちゃってもいいかな……実は6月4日(水) からツアーがはじまるんです。うちのバンドは京都で結成したんですけど、この6月4日というのが、京都のT-マルガリータの家でモーモールルギャバンの1stデモを完成させたねって、ふたりで朝日を浴びながらコーヒーで乾杯した日なんです。今考えているのが、その6月4日(水) に京都・磔磔で、デビュー前の初期曲限定ワンマンをやるっていうことで。
T-マルガリータ え、そうなの?
ユッカ ええと、今、私たちふたり初期の曲をやるとか何も知らないよねっていうアイコンタクトをしてますけど(笑)。
ゲイリー まず6月4日(水) に京都・磔磔でワンマンをやって、ツアーのファイナルがZepp Shinjuku(TOKYO)で。その間に、各地で誰に出てもらうかみたいなものも考えていて。
T-マルガリータ 何カ所かね、出てもらって。
ゲイリー 今考えているのは10カ所くらいなので、月に1、2本だから、これを果たしてツアーと呼ぶのかっていう……。そういう感じで今いろいろと考えているところです。
──各地で20周年を祝しながら、その集大成が12月9日(火) に行われるわけですね。
ゲイリー これはただの事実なんですけど、モーモールルギャバンのライブをもう10年以上観ていない人が、少なく見積もっても5万人はいるはずなんです。それもただ観ただけじゃなくて、モーモールルギャバンのライブめっちゃ楽しかったって、あのときあの場所で興奮した人が、少なく見積もって5万人はいるんですよ。あのときの気持ち、絶対思い出します。だからZepp Shinjuku(TOKYO)、ぜひ来てください。
<ライブ情報>
『つよし生誕祭2025~モーモールルギャバン20周年~』
12月9日(火) 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
【チケット料金】
前売:4,500円(税込)
学割:2,500円(税込)
※ドリンク代別途必要
■オフィシャル2次先行:2月2日(日) 23:59まで
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2455994
モーモールルギャバン 公式サイト:
https://mowmowlulugyaban.com/
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