過去最大規模の『ミロ展』が東京都美術館で 70年に及ぶ創作活動を《星座》シリーズなどの代表作を中心に紹介
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《カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち》 1940年 フィラデルフィア美術館 Philadelphia Museum of Art: The Louis E. Stern Collection, 1963-181-46 Successió Miró Archive
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すべて見る20世紀のスペインを代表する芸術家として、ピカソとダリと並んで称されるジュアン・ミロ(1893~1983)。太陽や星、月など、自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた詩情あふれる画風で高い人気を誇ったミロの芸術を包括的に紹介する大回顧展が、3月1日(土)から7月6日(日) まで、上野公園の東京都美術館で開催される。
スペインのカタルーニャ州に生まれたミロは、初期には緻密な描写に取り組むも、パリに出て前衛的な芸術家たちと交流するなかで、シュルレアリスムに共鳴していく。無地の画面に不思議な生き物が浮遊する「夢の絵画」などによってシュルレアリストとして名を馳せるが、スペイン内戦や第二次世界大戦などの勃発により、母の故郷マジョルカ島で隠遁生活を送りながら制作に没頭。戦後は、その抽象表現によってアメリカで評価を高め、抽象表現主義者たちとも影響を与え合うなど国際的に活躍し、90歳で亡くなるまで精力的に制作活動を展開した。
同展は、没後40年を迎え、世界各地で大規模な回顧展が開かれているこの巨匠の、初期から晩年までの各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻作品によって、その芸術を包括的に紹介するものだ。日本人に愛されたミロの展覧会はしばしば開催されているが、これまではある時代やテーマに焦点があてられることが多かった。70年に及ぶ画業の各時代の代表作を集めた大回顧展としては、生前のミロの協力もあって実現した1966年の展覧会以来初となるという。実に60年ぶりの、過去最大級の回顧展なのだ。
同展の大きな見どころは、ミロの代表作となる名品が世界中から集結すること。ミロ財団をはじめ、世界の主要美術館を飾る作品群が出品される。なかでもミロが戦中に描き、今では世界中に散らばって所蔵されている《星座》シリーズは、紙に描かれた脆弱な作品であることから貸し出しの機会が少ないが、今回はその3点が並ぶ。夜や音楽、星を着想源として描かれたこの美しい作品を、複数並べて見られるのは貴重な機会だ。

マジョルカ島に大きなアトリエを建造したミロは、彫刻や陶芸に取り組んだり、あるいはカンヴァスの一部を燃やした大作絵画を制作したりと、晩年になっても新たな表現の探求を続けている。初期からこの最晩年まで、常に自由な表現を探求し続け、自らの作風を変化させ続けた巨匠ミロの創造の軌跡をたどりながら、ミロ芸術の真髄を体感したい。
For all the works by Joan Miró here reproduced: © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 E5746
<開催概要>
『ミロ展』
会期:2025年3月1日(土)~7月6日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
時間:9:30~17:30、金曜は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日:月曜(4月28日、5月5日は開室)、5月7日(水)
料金:一般2,300円、65歳以上1,600円、大学1,300円 ※3月1日(土)~16日(日)は大学無料
チケット情報はこちら
公式サイト:
https://miro2025.exhibit.jp/
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