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ぴあ 総合TOP > 『中村勘九郎 中村七之助 新緑歌舞伎特別公演2025』取材会レポート - 勘九郎・七之助らの巡業公演は珍しい2演目とミニ歌舞伎塾も!

『中村勘九郎 中村七之助 新緑歌舞伎特別公演2025』取材会レポート - 勘九郎・七之助らの巡業公演は珍しい2演目とミニ歌舞伎塾も!

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チケットぴあ

左から)中村七之助、中村勘九郎

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「こちらから各地のお客様に会いに行くという気持ちで」(勘九郎)始まったという中村勘九郎・中村七之助ら中村屋一門による巡業公演。2022年はついに全国47都道府県での開催を達成、2024年には20年目の節目も迎えた。21年目となる『中村勘九郎 中村七之助 新緑歌舞伎特別公演2025』は、5月3日(土・祝) から25日(日) まで全国16カ所での開催。「やったことのない演目をやってみようと」(七之助)選ばれた2演目と、客席との気さくなやりとりが人気のトークコーナー、さらに今回からミニ歌舞伎塾も加わり、歌舞伎の楽しさがギュッと味わえる内容だ。1月23日に都内で行われた合同取材会で、勘九郎と七之助に見どころを聞いた。

幕開きは毎回好評の「トークコーナー」から。
「やはり歌舞伎というと、『敷居が高い』とか『何を言っているか分からない』というイメージがありますし、初めてご覧になるお客様は不安ですよね。トークコーナーでは作品にまつわるお話もしますので、安心して観に来ていただければと思います。それから楽しみにしているのは各地の美味しい店をお客様に直接お聞きすること。教えていただいたお店には実際に行くことが多いので、お客様とバッタリなんてこともあるんですよ(笑)。今回は2018年以来の北海道公演もありますし、平成中村座でお世話になった姫路にまた行けるのも楽しみにしています」と勘九郎は顔をほころばせる。

今回からコーナーの後半に、歌舞伎の舞台裏を解説する「ミニ歌舞伎塾」が加えられた。
「“後見”(演者の後ろで衣裳や髪型、道具を替える手助けをする)がどうやって“引き抜き”(衣裳を一瞬で変える演出)をしているかなどを門弟でお見せします。華やかな舞台の裏にどんな苦労と工夫があるのか、この機会にぜひご覧いただければ」と、七之助も新コーナーを楽しみにしている様子だ。

昨年は十八世中村勘三郎の十三回忌追善ということもあり、巡業公演でも中村屋にゆかりの作品が並んだ。ひと区切りを終えたところで、「今回は『やったことのない、観たことのないようなものを選んでみよう』という気持ちがあった」という七之助。
ミニ歌舞伎塾のあとの1本目は、七之助の『高尾懺悔』。自身も映像でしか観たことがないという舞踊作品で、もちろん今回が初めて。“高尾太夫”は、江戸時代に何代も受け継がれた太夫(遊女の最高位の称号)の名前だ。

「本作の高尾については諸説あるものの、伊達騒動のきっかけとなった“仙台高尾”(2代目の高尾太夫)がモデルだとか。華々しい世界に生きているように見えて、家の事情で売られてきた悲しみや、色々な人を裏切ったことで陥る地獄の責め苦など、吉原の影の部分が描かれています。これまでの巡業公演で一番“暗い”作品かもしれないですね(笑)」と七之助は言いつつ、「そういった物哀しさも、太夫ならではの品格と共にしっとりと踊ってお見せしたいです」と本作への意気込みをにじませる。

続く『太刀盗人』は、勘九郎が扮する“すっぱ”(スリ)の九郎兵衛が、中村鶴松演じる田舎者万兵衛の持っている立派な太刀を盗もうとして展開する、コミカルな物語。
「鶴松のほか、裁きに入る目代丁字左衛門は昼夜で中村山左衛門と中村いてうの役替り、その従者藤内も中村仲助と中村仲侍の役替りになるので、全員のコンビネーションが大切になります。それぞれに息を合わせて、面白おかしい舞台をお届けしたいですね」と勘九郎。
勘九郎との連れ舞を見せる鶴松は今年で30歳。昨年の歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」では『新版歌祭文~野崎村』で主役のお光を演じるなど、ここ数年でグッと活躍の場が広がった。

勘九郎は「鶴松が部屋子になったのは小学校高学年の頃ですが、彼が17歳の時に私の父(十八世勘三郎)が亡くなったので悩みは多かったと思います。でもその後はどんどん力をつけてくれて、今回もバディという感じで戦力になってくれるのが嬉しいですね。彼は女方を演じることが多くなっていますが、今回の“田舎者”のようなキャラクターは珍しいので、また新しい一面を見られるんじゃないかな」と頼もしげ。
七之助もうなずきながら、「最近ではコロナ禍もあり、鶴松たち若手はだいぶ苦しい思いをしていたと思います。どんな役でも舞台に出て(芝居の空気を)肌で感じなくちゃいけないという時期に、舞台袖にもいられなかったので……。その分、今は気持ちが爆発していると感じますし、これからも思う存分、歌舞伎への想いを舞台にぶつけてほしいなと思っています」と、“弟”の成長ぶりを笑顔で語った。

取材・文/藤野さくら
撮影/池上夢貢(株式会社GEKKO)
ヘアメイク/中村優希子
スタイリスト/作山直紀
衣装:Y’s for men/ワイズフォーメン
問い合わせ先/ワイズプレスルーム

<公演情報>
中村勘九郎 中村七之助 新緑歌舞伎特別公演2025

【埼玉公演】
5月3日(土・祝)
所沢市民文化センター ミューズマーキーホール

5月20日(火)
RaiBoC Hallレイボックホール(市民会館おおみや) 大ホール

【東京公演】
5月4日(日・祝)
ギャラクシティ 西新井文化ホール

5月5日(月・祝)
文京シビックホール 大ホール

【愛知公演】
5月6日(火・休)
刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール

【高知公演】
5月9日(金)
高知県立県民文化ホール オレンジホール

【愛媛公演】
5月10日(土)
松山市民会館 大ホール

【山口公演】
5月11日(日)
周南市文化会館 大ホール

【岡山公演】
5月13日(火)
倉敷市民会館

【広島公演】
5月14日(水)
広島文化学園HBGホール

【兵庫公演】
5月16日(金)
アクリエひめじ (姫路市文化コンベンションセンター) 大ホール

【大阪公演】
5月17日(土)
フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)

5月18日(日)
箕面市立文化芸能劇場 大ホール

【山形公演】
5月21日(水)
やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館) 大ホール

【北海道公演】
5月24日(土)
函館市民会館 大ホール

5月25日(日)
カナモトホール(札幌市民ホール) 大ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/shinryoku2025/