佐藤卓、田名網敬一、ヒグチユウコらが参加 「ラーメン」を「器」から紐解く『ラーメンどんぶり展』21_21 DESIGN SIGHTで
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田名網敬一 どんぶり
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すべて見るデザインの視点で日常におけるさまざまな物事や出来事を紐解く企画で知られる東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで、「ラーメンどんぶり」に光をあてた企画展が3月7日(金)から6月15日(日)まで開催される。美術館でラーメンどんぶりを見るのは意外な感じもするかもしれないが、焼き物の歴史に注目すると同時に、現代アーティストやデザイナーたちによる個性豊かなラーメンどんぶりが並ぶ、目にも楽しい展覧会となっている。
実は日本のラーメンどんぶりの90%は、岐阜県の多治見市や土岐市、瑞浪市を中心とした地域でつくられる陶磁器「美濃焼(みのやき)」だという。私たちの身近な食品のラーメンだが、どんぶりの産地についてはあまり知られてこなかった。同展は、この美濃焼に注目して2012年からプロジェクトを展開してきたグラフィックデザイナーの佐藤卓とライターの橋本麻里がそのプロジェクトのひとつとして開催した『美濃のラーメンどんぶり展』(2014-15年〜)をきっかけとするもので、今回の展覧会ディレクターもこの両名が務めている。
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『美濃のラーメンどんぶり展』は、ラーメンどんぶりを多様な視点から見ることで、1300 年以上の歴史をもつ美濃焼の歴史や背景、つくり手たちの活動、そして日常食の器が私たちの生活にもたらす豊かさについて掘り下げてきた。今回の展覧会でも、美濃焼の伝統を受け継ぐ作家のラーメンどんぶりなどの展示も通じ、その歴史やつくり手の活動に触れることができる。
もうひとつ、同展の大きな見どころは、プロジェクト開始から様々なジャンルのデザイナーやアーティストらがデザインしてきたラーメンどんぶりとレンゲのセット「アーティストラーメンどんぶり」に新作10点が加わり、全40点のオリジナルラーメンどんぶりが展示されることだ。
また今回は、プロジェクト初の試みとして、建築家とデザイナー3組の設計による「ラーメン屋台」が登場するのも楽しみなところ。さらに、身近な製品を「デザインの視点」で解剖し、その成り立ちを徹底して検証する「デザインの解剖」の手法によって、「ラーメンと器の解剖」を試みるコーナーなど、デザインに特化したこの館らしい展示もある。
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今や国民食とも言える「ラーメン」を「器」からひもとくことで、 慣れ親しんだ日常の世界がどのような要素で成り立ち、そこに人やデザインがどのように関わっているのかを改めて発見する楽しみも味わえる展覧会となっている。
<開催概要>
21_21 DESIGN SIGHT企画展『ラーメンどんぶり展』
会期:2025年3月7日(金)~ 6月15日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
休館日:火曜(4月29日、5月6日は開館)
時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)
料金:一般1,600円、大学800円、高校500円
公式サイト:
https://www.2121designsight.jp/
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