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愛の実話を映画化『35年目のラブレター』、笑福亭鶴瓶×原田知世と重岡大毅×上白石萌音に心が癒やされる──【おとなの映画ガイド】

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『35年目のラブレター』 (C)2025「35年目のラブレター」製作委員会

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笑福亭鶴瓶主演の『35年目のラブレター』が3月7日(金)、全国公開される。貧しくて学校へ通えず、読み書きができない男性が、苦労の末に生涯の仕事を得て、結婚をしてから35年。ずっと支えてくれた妻に感謝の「ラブレター」を書きたいと一念発起し、夜間中学に通い……というストーリー。夫婦役に鶴瓶と原田知世、その若い頃を重岡大毅と上白石萌音が演じる。好感度バツグンの俳優たちは、まさにはまり役。騙されたと思って、ぜひご覧ください。泣きます。または泣かないにしてもきっと心なごみます。

『35年目のラブレター』

まるで絵に描いたような、超がつく感動のストーリー。驚いたことに実話の映画化、だという。

モデルとなった西畑保さんは、1936年(昭和11年)の生まれ。家は、和歌山の山深い村で炭焼きをしていた。42年に小学校にあがったが、貧しく、十分に通えず、行けば行ったで差別的ないじめにあい、読み書きを覚える前に学校へは行かなくなった。

そういう人がいるのか、と驚かれるかもしれないけれど、戦後すぐ1948年の調査によると日本人で「読み書きが全くできない人」は1.7%いた。これを識字率ほぼ100%と判断したのか、以後、調査は行われていない。保さんはその1.7%のなかの、おひとりなのだ。

映画では、彼を笑福亭鶴瓶が演じている。

奈良で寿司職人となリ、定年まで働いた。文字はひらがなしか読めず、自分の名前も漢字で書くことはできない。そんな生活がどれほど不自由か、いくつかのエピソードで語られる。

例えば、全部ひらがなで書かれたお品書きを前に、にっこり微笑む保さん、という回想シーン。これも実際のお話。仕事をしやすいようにと、ひらがなのメニューにしてくれた懐が深い大将(笹野高史)のおかげで、なんとかやってこられたのだ。

もうひとり、保さんが感謝をしてもしたりないと考えているのが、原田知世が演じる妻の皎子(きょうこ)さんだ。結婚当初、皎子さんは保さんの読み書きができないことを知らなかった。知ったあと、なんとか文字を覚えてもらおうとするのだが、うまくいかず。「今日から私があなたの手になる」と寄り添ってくれた。

子育てを終え、寿司屋を定年で退職した保さんは、夜間中学に通いはじめる。目的はひとつ、愛する妻に、感謝をこめたラブレターを書きたい──だった。

鶴瓶のキャラはまさにはまり役、というか、彼が演じることによって、この実話がエンタテインメントになっている。同じ夜間学校に通う自閉症気味の少年や、外国人…、様々な境遇で生きる生徒たちの中に、あのひとなつっこそうな笑顔で溶け込んでいき、人気者になってしまうところなど、「鶴瓶の家族に乾杯」そのままで、この人がやると嘘っぽさがまるでない。

出会った頃の若いふたりを、WEST.の重岡大毅と上白石萌音が演じていて、それがまた、納得のキャスティング。重岡は、コミカルな味を持ちながら健気で誠実、上白石は、原田知世と醸しだす雰囲気が似ている。

かれらの周りには、笹野高史をはじめ、江口のりこ、安田顕と、クセのある役をやらせてもピカイチな俳優が並ぶのだが、みな至って好人物の役。それがかえって面白い。

監督は、NHK『舟を編む〜私、辞書つくります〜』などの人気ドラマをてがけたテレビ出身の塚本連平。保さんをとりあげたTVのドキュメンタリーをたまたま見て、感動し、深く調べ始め、映画化に至ったという。

西畑保さんの半生は、実は鶴瓶の弟子、笑福亭鉄瓶によるノンフィクション落語『生きた先に』として、高座にもかけられている。

秦基博による主題歌『ずっと作りかけのラブソング』も心に刺さる。何度も何度も手紙を書き直す保さんの姿にインスパイアされて、書き下ろしたという。手書きの文字に込められた、まごごろ、あたたかい気持ち。デジタルの時代だからこそ、大事にしたいことを教えてくれる映画です。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会

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