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MYTH & ROID『NEXUS vol.2』、Aoooを迎えた埼玉公演レポート アニメ『けいおん!』が繋げた縁

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MYTH & ROID

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Text:斉藤貴志

MYTH & ROIDがゲストを迎えて主催するツーマンライブシリーズ『NEXUS vol.2』。関東シリーズとしてHEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3では、男女4人組ロックバンドAooo(アウー)との対バンとなった。昨年の『vol.1』からでも、最も音楽の色合いが異なる競演となったステージをレポートする。

Aoooは石野理子(vo)、すりぃ(g)、やまもとひかる(b)、ツミキ(ds)という個々に活躍していたメンバー4人で、2023年に結成された男女4人組のロックバンド。全員が作詞・作曲を手掛け、昨年10月に1stアルバム『Aooo』 をリリース。バンド名はメンバーの血液型に由来するという。

Aooo

軽く手を振ってステージに現れた石野は、最初からお立ち台に上がって、初のオリジナル曲だった「アパシー」でスタート。タイトなバンドサウンドにクールで抜けのいいボーカルが心地いい。うねりを上げるすりぃのギターから「Casablanca」になだれ込み、スピード感が爽快。ツミキの躍動的なドラミングに石野はロングトーンも響かせ、歌声に熱が帯びていった。

石野理子(vo)

「青い煙」はシズル感のあるメロディに<ドラマチックな瞬間に臆病にならないで>などジュブナイルな歌詞で清々しい。作曲したベースのやまもとひかるは軽快なスラップを織り交ぜながらコーラスでも彩り、観客から手拍子が起こった。

やまもとひかる(b)

チケットはソールドアウトでギッシリのフロアを前に、石野が「たくさん曲を持ってきたので、私たちの魅力を存分に浴びて帰っていただけたら」と話す。「皆さん、最後までついてこれますか?」と呼び掛けると「オーッ!」と歓声が返された。

石野がミニキーボードでリフを弾くゴキゲンなポップチューン「ネオワビシイ」では、曲中で「恒例にしようとしている」(すりぃ)というコール&レスポンスタイムが始まる。「都会の合図は」の3回繰り返しから「ネオワビシイ!」と一体になって楽しんでいた。

すりぃ(g)

「新曲をやります」と披露した「BAQN」は攻撃的なロックナンバーで、サビの四つ打ちビートでアガる。4人それぞれ名うてのソングライターでもあるだけに、ライブで曲のバリエーションの豊かさも映えていた。

この日はバレンタインデーの翌日とあって、MCでは石野が思い出を語り始める。

「好きな人がいて、チョコレートを渡そうと思ったんです。向こうの気持ちはわからない。でも、仲良くはずっとしていただいていて。気持ちを伝える勇気はなく、『いつもありがとう。これからもよろしく』と手紙を付けて渡しました」

そして、「そんな春の空気をまとった曲を、ひかるちゃんと作りました。私の恋の行方がどうなったのかも、詞を聴いていただけると楽しめるかと思います」と、「フラジャイル・ナイト」へ。石野が腕を上げて流麗に歌いながら、切なさが漂うラブソング。高音にファルセットも交え琴線を揺らした。

すりぃのギターにワウのエフェクトを掛けて浮遊感を醸し出す「黄昏メモリーロード」などを続け、クールダウンしたあと、接点が見られなかったMYTH & ROIDとの関係の話に。すりぃは「面識はないけど、音楽を始めたきっかけが『けいおん!』で……」と明かす。その『けいおん!』のテーマ曲などを手掛けていたのがMYTH & ROIDの Tom-H@ck。一緒の楽屋で「感動がありました」とのことだった。

ツミキもボーカルのKIHOWとは「昔めっちゃ遊んでた」と言い、仲間で一緒に年越しをしたこともあるそう。しかし、「7、8年ぶりに会って人見知りが出てもうて」との様子で、「昔はたぶんタメ口だったっスよね」などと言っていたことが、石野たちから暴露された。

ツミキ(ds)

このツーマンに招かれたのは、ミスドのふたりがAoooの曲を聴いていたかららしく、やまもとは「『何で呼んでくれたの?』と思ったけど、私もカラオケで歌っていたのでうれしかった」と喜んでいた。

ステージはラップで始まるダンサブルな「MORE」や、手拍子を煽ったファンキーな「イエロートイ」で沸き、終盤の「水中少女」からは石野もギターを弾いて、ドライブ感を上げていく。石野の涼し気ながら温もりのあるボーカルが、正調なバンドサウンドと相まって生み出す、さわやかな世界。

ラストの「サラダボウル」では石野、やまもと、すりぃと揃ってお立ち台に乗って、フロアも「ハイ! ハイ!」と拳を突き上げる。ツミキの打ち出すソリッドなビートに疾走感が高まった。駆け抜けていくようなスパートに、最後は石野が台から両手を広げて飛び降り、フィニッシュをキメた。

Aooo

インターバルを経て、ステージの幕が再び上がると、暗転された中でライトが明滅。ドラムのシンバルが打ち鳴らされ、シルエットになっていたKIHOWが「I am very, very crazy, very」と「VORACITY」を爆発的に歌い出すと、フロアがドッと沸いて、一瞬でMYTH & ROIDの世界に引き込んでいった。

金髪にベールなどを着重ねた派手な衣装のKIHOWは、続く「ACHE in PULSE」では左手を上げて体を揺らしながら、グイグイ迫るように歌う。「みんな跳んで!」と叫び、「エオ、エオ、エオ」の合唱も起こる。Tom-H@ckは重心を落とし、ギターをかき鳴らす。轟音のようなカッティングに乗った「RESIST-IST」では、KIHOWの英語詞のハイトーンが波状的に突き刺さった。

Tom-H@ck(g)

続く「HYDRA」からは空気が一変。ピアノの旋律から<破滅さえ厭わないで>と始まり、静けさと激しさが交錯する中で、寂寥感を帯びたシャウトが轟く。まるで荘厳な叙事詩を思わせた。

「shadowgraph」はささやくように歌いながら、張り詰めた緊迫感が漂う。間奏では重みのあるギターフレーズが奏でられ、KIHOWのボーカルのトーンも重々しく変わる。歌詞にある<光と影 夢と現の狭間>が現出された。

MYTH & ROID

さらに壮大なバラード「Endless Embrace」は、目を閉じながら伸びやかに歌い上げる。美しくも寂寞とした世界が広がっていくよう。ディストーションの掛かったギターからピアノのアウトロで曲が終わって、ハッとした。気づけば幻想に浸っていたような3曲だった。

MCに入ると、KIHOWが「このツーマンが発表されてから、『MYTH & ROIDとAoooに何の関係性が?』みたいな声をチラホラ聞きまして(笑)」と切り出す。Tom-H@ckは「Aoooさんの楽曲をずっと好きで聴いているんですけど、やっと気づきました。全然毛色が違うんですよ」と笑いを誘う。「僕たちの黒と紫と青が似合うようなダークな雰囲気を楽しんでいただけたら」と、Aoooファンへのアピールも。

MYTH & ROID

今回のツーマンの経緯は、「すりぃさんが『けいおん!』を観て音楽を始めたと噂が耳に入って、その繋がりで実現しました」と説明。KIHOWもAoooのステージで話が出た通りツミキと知り合いだったが、「(Aoooの)ツミキさんとそのツミキさんが私の中で一致してなかった」とのこと。Aoooもツミキ個人の曲も知っていながら、同一人物と認識してなかったそう。再会に「久しぶりすぎて『敬語でしゃべってた?』と苦笑いで始まって(笑)、何とか仲良くしてきました」と語った。

ライブに戻ると、『Re:ゼロから始める異世界生活』1期のEDテーマだった「STYX HELIX」に、放送中の3期のEDテーマ「NOX LUX」と続ける。「NOX LUX」はハイテンポの加速感がゾクゾクさせて、KIHOWのシャープなボーカルも圧巻で息を呑む。ラスサビは自らクラップしながら歌い、観客も手拍子を送り、新たなキラーチューンとなっているようだ。

KIHOW(vo)

MYTH & ROIDはファンを「Myrror(ミラー)」と称しているが、その理由を改めてKIHOWが説く。

「私たちは活動10周年ですけど、日本国内でワンマンを始めたのは2年前から。そこでみんなが楽しんでいる顔が忘れられなくて、私もみんなから輝きをもらいたいと。輝く自分たちを見て、みんなももっと楽しく生活できるのかなとも思いました。そんな人たちと一緒にいたくて(鏡=mirrorとかけて)Myrrorと名付けたんです」

今回のツーマンでは、Aoooファンも全員Myrrorにしようと臨んだとも。「今からの曲で、きっと兼業してくださるでしょう」と最後のブロックに入る。

Tom-H@ck(g)

キャッチーなメロディで押せ押せの「Paradisus-Paradoxum」からスリリングな「L.L.L」と定番のアゲ曲を連発。Tom-H@ckは体を激しく振り、渾身のギタープレイを見せる。KIHOWはお立ち台に上がって、シャウトしながら「もっと声を出して!」「後ろも!」と煽り、何度も耳に手を当てたり、手招きのポーズをして、フロアからの声を求めていく。観客も「オイ! オイ!」と拳を突き上げて呼応。会場に熱気が渦巻いた。

さらに声を張り上げて「行けますか? 行けますか?」と繰り返し、恒例の「We’re shouting」「Oh Yeah、Oh Yeah、Oh Yeah」のコール&レスポンスからの「TIT FOR TAT」。この夜、非日常的な神秘感を生み出すミスドのファンと、日常の中の清々しさが輝くAoooのファンの割合がどうだったのかわからないが、会場は紛れもなく一体となって盛り上がっていた。

KIHOW(vo)

ラストのゴシック調の「JINGO JUNGLE」では、KIHOWも観客も手を挙げて飛び跳ねる。「AH RA LA OH LA」と呪文フレーズの大合唱に「ウォウ、ウォウ、ウォウ」のコール。KIHOWは「最高っ!」と叫び、自らも逆に煽られたようにジャンプを続け、ライブはカオスのような熱気の中でエンディングとなった。

汗だくのTom-H@ckと共に深々とお辞儀をして、KIHOWは少し息を切らせながら「今年の夏は全国12カ所のツアーがあります。ファイナルは今までで一番大きいZepp Shinjuku」と告知。「またすぐお会いできるのを楽しみにしてます」と呼び掛け、大きな拍手を浴びた。

Aoooのメンバーを呼び込んで軽いトークから、満員の観客にも「皆さんが一緒に声を出して飛び跳ねて楽しんでくださったので、本当に楽しく演奏することができました」とお礼。2組での写真撮影をして、最後に改めて「夏にお会いしましょう」とステージを後にした。

MYTH & ROID

<公演情報>
MYTH & ROID Two-man Live Series『NEXUS vol.2』

2025年2月15日HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3

セットリスト

Aooo
1. アパシー
2. Casablanca
3. 青い煙
4. ネオワビシイ
5. BAQN
6. Fortune
7. フラジャイル・ナイト
8. ネロリ
9. 黄昏メモリーロード
10. MORE
11. 煽り~イエロートイ
12. 水中少女
13. リピート
14. エイプリル

MYTH & ROID
1. VORACITY
2. ACHE in PULSE
3. RESIST-IST
4. HYDRA
5. shadowgraph
6. Endless Embrace
7. STYX HELIX
8. NOX LUX
9. Paradisus-Paradoxum
10. L.L.L
11. TIT FOR TAT
12. JINGO JUNGLE

<ライブ情報>
MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long"

5月18日(日)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
開場17:00 / 開演17:30

5月25日(日)静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
開場17:00 / 開演17:30

5月31日(土)長野・NAGANO CLUB JUNK BOX
開場17:30 / 開演18:00

6月1日(日)埼玉・HEAVEN'S ROCK KUMAGAYA VJ-1
開場17:00 / 開演17:30

6月7日(土)福岡・FUKUOKA INSA
開場17:30 / 開演18:00

6月8日(日)岡山・YEBISU YA PRO
開場17:00 / 開演17:30

6月13日(金)北海道・SPiCE SAPPORO
開場18:30 / 開演19:00

6月21日(土)愛知・名古屋 Electric Lady Land
開場17:30 / 開演18:00

6月28日(土)茨城・水戸 LIGHT HOUSE
開場17:30 / 開演18:00

7月5日(土)宮城・仙台 ROCKATERIA
開場17:30 / 開演18:00

7月12日(土)大阪・OSAKA MUSE
開場17:30 / 開演18:00

7月27日(日)東京・Zepp Shinjuku
開場16:30 / 開演17:30

【チケット料金】
東京公演以外:前売6,900円(税込) 、特典付前売8,000円(税込)
東京公演:前売8,000円(税込)、特典付前売9,100円(税込)
※別途1ドリンク代が必要
3月2日(日)23:59まで先行受付実施中
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2557281

■MYTH & ROID公式サイト
https://mythandroid.com/

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