映画『TATAMI』場面写真&監督コメント公開「表現することはアーティストにとっての唯一の武器」
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『TATAMI』 (C)2023 Judo Production LLC. All Rights Reserved
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すべて見る2月28日(金) に公開される映画『TATAMI』より、新たな場面写真とガイ・ナッティヴ監督のコメントが公開された。
本作は、『SKIN 短編』で第91回アカデミー賞短編実写映画賞を受賞したガイ・ナッティヴと、『聖地には蜘蛛が巣を張る』で第75回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したザーラ・アミールが監督、イスラエルとイランをルーツに持つふたりが史上初めて共同で演出した社会派ドラマ。スポーツ界への政治介入や中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧、アスリートたちの不屈の“戦い”を臨場感溢れる映像で描き出す。
公開されたのは、自分の額を打ちつけ、ひびの入った鏡の前に立つレイラが、鏡に映った自分自身を凝視する場面。棄権させるために父を拉致し、夫と息子にまで危険が迫る。動揺し、やり場のない怒りを鏡にぶつける姿が痛切な一枚だ。
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もう一枚は、選手時代に国家の命令に従わざるを得なかった監督のマルヤムの姿。国家の命令とアスリートとしてのレイラの思いの間で板挟みとなった彼女も人生最大の選択を迫られていた。それでも戦うことを決意したレイラは試合会場に向かう。選手に寄り添うことができなくなったマルヤムは、気分を鎮めるために向かったトイレで割れた鏡を目にし、レイラの額の傷の原因を思い知る。果たしてふたりは、この後どのような道を選ぶのか。鏡の傷によって人生最大の決断を迫られたふたりの思いを伝える強烈な場面写真となっている。
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実際に起こった事件にインスパイアされた『TATAMI』は、スポーツ界への政治介入や中東国家間の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧など、多層的にテーマを描いている。同時期には『聖なるイチジクの種』『セプテンバー5』(ともに2月14日公開)など、中東情勢を背景にした社会派作品の公開が続く。
ガイ・ナッティヴ監督は、「映画史を紐解いても、映画作家たちが怒りやフラストレーションをアートという形に昇華させるということはずっと繰り返されてきました。オリバー・ストーン監督に注目してみても、『プラトーン』や『ウォール街』、私が好きな『7月4日に生まれて』などの作品から、やはり政府に対する抗議の声を挙げていることがわかります」と、映画は時代を映し続けてきていると指摘する。
「これは、ストーン監督やアメリカ映画だからというわけではなく、世界中で反戦、あるいは自分たちの政府に対する抗議を映画という形で、世界中に届けようとする動きがあるはずです。また、特にイランの場合は、今は亡命されている方が多く、海外にいるからこそ挙げられる声、作ることのできる作品があることの表れなのではないでしょうか。映画に限らず、音楽のような他の芸術分野でも同じことが行われていて、特に何か悲劇の後はそのような作品がより多くなるのだと思います。なぜなら表現することはアーティストにとっての唯一の武器だから」と、映画だけではなく、音楽、アートなどを通して、世界に問いかけるアーティストたちが数多くいると語っている。
<作品情報>
『TATAMI』
2月28日(金) 公開
公式サイト:
https://mimosafilms.com/tatami/
(C)2023 Judo Production LLC. All Rights Reserved
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