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映画『石門』経済至上主義の暗部を映し出す本編映像公開 著名人からのコメントも到着

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『石門』 (C)YGP-FILM

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公開中の映画『石門』より、本編映像が公開された。

本作は、“中華圏のアカデミー賞”と称される台北金馬獎で日本資本の映画として初めて「最優秀作品賞」を受賞し、「最優秀編集賞」との2冠に輝いた作品。監督を務めたのは、中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治夫妻で、これまでに女性の性に関する問題をテーマに『卵と石』『フーリッシュ・バード』を共同制作してきた。

ヤオ・ホングイが演じる20歳の主人公リンは、フライトアテンダントを目指して勉強をしている。外で診療所兼薬局を営む両親は、死産の責任を追及され高額な賠償金を迫られていた。ある日、仕送りするために卵子を売ろうとした彼女は、自分が妊娠していることを知る。親を助けようと考えたリンは、賠償金の代わりに生まれてくる子どもを提供することを思いつく。

公開された本編映像は、胎内の子の検査を訪れた病院での一場面。リンと両親の元に、子どもの提供相手が「従妹のシルビアだ」と母になる女性を紹介する。母は気丈に「どうもお元気そうで」と挨拶する。「風邪を引いてね、鼻がグズグズいってる」と、コロナともただの風邪ともつかぬ会話の後、父は「しっかりと愛情を注ぎ赤ん坊の世話をして、立派な人に育ててほしい」と伝える。

ソファに居残ったシルビアとふたりきりになったリンは、「ご主人は来てないの?」と尋ねるが無視される。その時、偽名を使って通院しているリンに「シルビアさん結果はよかったわ、休息と栄養をきちんととってね」と看護師が診断結果を渡す。診断書を見つめていたリンは、「見て、いい結果だから」とシルビアに差し出すが、相手はスマートフォンを見つめているだけ。「目を通して、この子はあなたが育てるのよ」と繰り返すリンに、仕方がないとばかりに渋々診断書を手に取るが、一目見ただけでスマートフォンの画面に目を移してしまう。たまりかねたリンが「怒ってるの?」と問うと、母になる女性は「世間知らずね」と吐き捨て、「従兄に渡して、彼が見るから」と診断結果を突き返して立ち去る。

また、本作をいち早く鑑賞した著名人からコメントが到着した。

<オピニオンコメント全文(順不同/敬称略)>
■折田千鶴子(映画ライター)
現代中国の(いや世界中!)マネー至上主義社会で生き惑う女性の呆然が肌感覚で伝わる。でも意外な逞しさがユーモラスで、その選択と顛末から目が離せない。

■児玉美月(映画批評家)
搾取的な経済体制に組み込まれた女性の身体において、いかに自己実現のための体力が奪われ、気力が削がれてゆくのか。
その“痛み”に気づけるのかを、『石門』は問う。

■古内一絵(作家)
女性を「産む性」としか定義しない世の中は、なんて根深く、残酷なのだろう。この映画は静かだが、とても切実で、深い。

■瀧内公美(俳優)
役者とは何か。演技とは何だろうか。日常を生きる、社会を見つめることを蔑ろにしてはいないだろうか、と自身に問わざるを得ない。
この作品の中で生きている、演じている"非俳優"のみなさんにただただ尊敬の念を抱きました。

■斎藤綾子(作家)
妊娠初期の乳腺の痛みから始まり、出産直後の腹部の鈍痛で終わる『石門』。真摯な行動をとろうとするリンの心の痛みの行く末は。

■杉谷伸子(映画コラムニスト)
もがきながらも進むしかない先に、わかりやすい正解はない。リンの姿は、社会の価値観が変わっても、いつの時代も変わらない “現実”を突きつける。

■奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
妊娠はひとりではできない。生まれる命の責任はふたりにあるはずだが、人生の選択肢が狭まるのも自己責任だと責められるのも女性だけだ。夢を持ち学ぶ若い主人公から、人権が剥ぎとられていく。舞台となる国は違っても、彼女にかかる重力を私は知っている。

■吉川龍生(慶應義塾大学教授)
爆発しそうな閉塞感のなかに投げ出され、さあお前ならどうするのかと、問いを突きつけられているような感覚にさせられる。

■藤岡朝子(山形国際ドキュメンタリー映画祭理事)
世界に身を開き、飛び込んでくる要素をすべて素材として受け止める共作の姿勢が生んだ、見事な成果。

■伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)
痛烈なパンチを喰らった。夢を叶えたくとも女性特有の壁が立ちはだかる。淡々と進む会話は何処か他人事で誰も彼女の本心に触れようとしないのは都合が悪いから。あの泣き声に誰が何を感じるのか。衝撃のカットはしばらく脳裏から離れないだろう。

『石門』本編映像

<作品情報>
『石門』

公開中

公式HP:
https://stonewalling.jp/

(C)YGP-FILM

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