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海宝直人が語る『ウィキッド』 「作品に対するリスペクトが強い映画」

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海宝直人 (撮影:源賀津己)

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俳優の海宝直人が、3月7日(金) に公開になる映画『ウィキッド ふたりの魔女』の日本語吹替版でウィンキー国の王子・フィエロを演じている。幼少期から俳優として活躍し、ミュージカル作品への造詣と愛情も深い海宝は「本作の持つメッセージ性が初演よりも必要な時代になってきたと思います」と語る。

海宝は1988年生まれ。7歳で舞台デビューを果たし、現在にいたるまで数々の舞台、ミュージカルで活躍しており、演じるだけでなく自身も舞台作品やミュージカル、音楽を愛する俳優だ。本作の基になった舞台も長年にわたって愛しているという。

「最初に観たのはトニー賞(舞台『ウィキッド』は2004年のトニー賞で9部門の候補になった)で観たパフォーマンスで、劇団四季の初演(2007年)から観ています。初めて観た時はあまりにもインパクトが強くて、一幕が終わった時には放心状態で席を立てませんでした。登場する曲のすべてが良くて、次から次へと名曲が出てくる。本当に衝撃的でした。何度も舞台を観るうちにエンターテイメント性の高さ、技術のレベル、そういったありとあらゆるものが高い次元で成り立っている作品なのだと思うようになりました」

ミュージカル『ウィキッド』はファンからの熱がとにかく高い作品で、リピーターも多い。それだけに映画化のプロジェクトは実現するまでに長い時間を要し、熱烈なファンの期待と不安も極めて大きかったと言える。しかし、本作を愛する海宝は本作を観て「作品に対するリスペクトが強い映画、というのが最初の印象でしたね」と笑顔を見せる。

「監督が『ウィキッド』の大ファンだと聞いて納得しました。僕も舞台を本当に好きですから、もし映画になって舞台に対するリスペクトがない部分が見えてしまったら敏感に気づいたと思うのですが、ワンカットごとに本当に繊細に神経を張り巡らせて撮ったんだろうなと。

ミュージカルとして必要な要素が的確に映画化されていて、その上で新しい情報や表現がある。楽曲も映画化されると現代的な解釈になってしまったりすることがありますが、本作は舞台を真正面から映画化して、さらに映画的な面白さもある。そのバランス感覚が本当にすごいと思いました」

海宝が本作で演じたのはウィンキー国の王子・フィエロ。自由気ままな若者で、華麗な振る舞いで周囲を瞬時に魅了してしまうキャラクターだ。一見すると、“チャラいイケメン”的なイメージがあるが実は彼にはまだ誰にも明かしていない胸の内がある。演じる上では華麗で少し軽薄なフィエロを演じなければならないが、同時に観客に極端なイメージを与えてもいけない。歌唱シーンも含め、難役だ。

「日本語の特性もあって、やり過ぎて演じると本当に軽くなってしまう。ですから、その点は監督とやりとりしながら、セリフのひとつひとつ探っていく感じでした」

本作は、見た目が緑色なことから周囲から特別視されているエルファバと、そんな彼女の親友になるグリンダが主人公の物語で、劇中には繰り返し“見た目では判断できないエルファバの優しさや能力”に関するエピソードがたくさん描かれる。一方で、私たちはフィエロが登場した時、思わず「フィエロはルックスも良くて王子で軽薄な男だな」とつい思ってしまう。彼が何に悩んでいるのかも知らずに。

「フィエロは少し軽薄に見えるかもしれないですけど、女性だけでなく男性にもモテるわけで、“この人だったらそれはモテるよな”という魅力がある。そんな中で本作はいわゆる “スクールカースト”だったり、”マッチョイズム”みたいなのを扱っていて、学校で人気者のフィエロが、学校では隅にいるはずにエルファバに本質を教えられて、自分自身の中にずっとあった誠実さや、優しさと向き合うことになる。その点はとても大事なポイントだと思います」

「この作品は“今の時代”を観ているような感覚になる」

毎年、数多くの新作ミュージカルが上演されては消えていく。その中には長年にわたって愛され続ける“クラシック”作品が存在するが、『ウィキッド』も初演からこれまでの20数年にわたって人気が衰えることがなく、今後も観客を集め続けることになるだろう。

「いつの時代にも戦争であったり、人間の争いがある。そこには対立や喪失もある。それはとても普遍的なテーマなのだと思います。この作品は“グッド・ニュース”というタイトルの曲から始まりますけど、今もニュースを見ると戦争や対立について報道されている。この作品は“今の時代”を観ているような感覚になるんです。

そんな中では何が真実かは関係なくて、人は自分の信じたいものだけ、刺激的なものだけを妄信的に信じて、相手を選別したり判断したりしてしまう。このミュージカルは湾岸戦争があったこともベースになっているんですけど、その当時よりもさらに状況は悪くなっている気がします。だからこそ、この作品はこれまでよりも観る方に響くでしょうし、本作の持つメッセージ性が初演よりも必要な時代になってきたと思います」

長年にわたってミュージカルを愛し、自ら演じ、その魅力を考え続けてきた海宝にとって、本作への出演は特別なものになったようだ。

「この映画はずっと前から企画があったわけですけど、僕はいま36歳で、この役を演じられるタイミングで映画が完成した。これは本当にラッキーだったと思っています」

撮影:源賀津己

<作品情報>
『ウィキッド ふたりの魔女』

3月7日(金)より、全国ロードショー

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

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