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『デュオ 1/2のピアニスト』インタビュー。感動のクライマックスはこうして生まれた

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俳優のカミーユ・ラザとメラニー・ロベールが映画『デュオ 1/2のピアニスト』で双子のピアニスト、クレールとジャンヌを演じている。本作は実在の双子姉妹の物語がベースになっているが、ふたりはモデルを真似たり、実話を再現するのではなく、双子として共に育ち、共にピアノに情熱を注ぎ、共に困難に立ち向かうキャラクターを丁寧に描写することに心血を注いだようだ。

クレールとジャンヌは双子の姉妹で、幼い頃からピアノに情熱を注いできた。やがてふたりは才能を開花させ、家を出て名門の音楽院に通うようになるが、新しい環境でそれぞれが自身の人生の“これから”を問われる。さらに両手が少しずつ不自由になる難病がふたりを襲う。このままいけばピアノが弾けなくなるかもしれない。クレールとジャンヌは自身が愛してきたピアノとどう向き合うのか?

劇中、ふたりは多くの場面で共に行動している。ピアノを練習する時も、通学する時も一緒。クレールとジャンヌは姉妹だが、双子だけに「通常の姉妹の関係性とはやはり違うものがあると思います」と姉を演じたラザは分析する。

「メラニーと一緒に演じる上では、身体の動き、手の動かし方など“類似点”をできるだけ多くつくりながら演じようと思いました。クレールとジャンヌは双子で、通常の姉妹よりも強い絆で結ばれています。彼女たちは幼い頃からいつも一緒にいて、どちらかが落ち込むことがあれば、もう一方が励ましたり、慰めたりしてきたと思うのです。そうして築き上げた親密さを演じることはとても興味深いことでした」

それは別の言い方をすれば「ふたりは姉妹だけで外界と触れ合わずに生きてきたようにも思える」と妹を演じたロベールは語る。

「彼女たちって友人がいないんですよ。学校でも一緒で、すぐに帰宅してずっと部屋でピアノを弾いている。本当の意味での人生を生きていないまま成長したような、そんな違和感は演じる上で表現できたらいいなと思っていました」

“双子として絆がある、団結している”とも言えるが、ふたりは近すぎて相手を疎ましく思う瞬間もある。彼女たちは時に喧嘩になったり、相手を批判するが、それは単に相手を責めているのではなく、相手の中に“自分の嫌な部分”を見て苛立っているようにも見える。ラザは「それは鏡の効果のようなものだと思う」と語る。

「相手の欠点を見ながら、同時に自分の欠点を見ているような気持ちになるのだと思うのです。相手を批判しながら、自分の心の中にある“やましさ”を意識してしまう。そのことは演じる上でいつも意識していました」(ラザ)

「双子だからこそ相手の欠点、そして自分の欠点が見えるという部分はあるでしょうね。一方でふたりにはライバル心みたいなものはないんです。そこは本当に素晴らしいところです。彼女たちは常に支え合う関係だと思います」(ロベール)

映画『デュオ 1/2のピアニスト』は、ステレオタイプな双子でも、友愛の情で結ばれただけの姉妹でもなく、常に一緒に夢を追い、同じ時を過ごし、だからこそ相手を見るのが苦しくなる時もある女性ふたりのドラマを繊細に描き出していく。他の映画ではまず描かれることのない、ひとことでは説明できない不思議な関係性。これこそが本作『デュオ 1/2のピアニスト』の最大の見どころだ。

その魅力が最も美しく描かれるのが、映画のクライマックスだ。クレールとジャンヌはステージの上でピアノを披露する。しかし、彼女たちの配置は“背中合わせ”で、演奏しながら相手の視線や呼吸を確認することはできない。そこにあるのは相手の奏でる音と背後に感じる気配だけだ。

「あのシーンの撮影は本当に大変でした。この映画にとって重要なシーンでしたし、事前に何度もピアノの練習はしましたけど、背中合わせの状態で演奏するのは大変で、さらに撮影の環境的に何度も撮り直しができるわけではありませんでした。ですから、あのシーンに向けては時間をかけて、ふたりの動きがちゃんと同期しているように見えるまで何度も練習して、曲も把握して準備をしました。もし、観てくださった方に感動していただけたとしたら、私たちの準備が報われたと思います」(ラザ)

様々な困難に立ち向かう中でクレールとジャンヌは自分の愛するもの、自分の人生を見つめ直し、情熱をもってピアノの前に座る。背後から聞こえてくるのは姉妹の音。それぞれが自分の音を奏で、ふたつの音が混ざり合い、ひとつの音楽になっていく。観る者を揺さぶる感動のクライマックスをぜひ映画館のスクリーンで堪能してほしい。

『デュオ 1/2のピアニスト』
公開中
(C)2024 / JERICO - ONE WORLD FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 3 CINEMA

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