SAKURACROSSPROJECT『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』山口乃々華×山崎彬インタビュー

魅惑の90年代音楽×12人の女性キャスト

――1990年代のメロディを使った音楽劇というアイデアはどのように生まれたのでしょう？

山崎　今作のお話いただいた時、「90年代のメロディを使って女性陣12人で、山崎さんの好きなように作ってください」という形でご依頼いただいたんですが、（90年代は）僕がちょうど青春時代を過ごしていた時期で、音楽やTVが学生たちの中でも現在より大きな影響力を持っていました。一方、90年代には世紀末を迎える終末感のようなものもありましたが、そこには今日のような悲壮感はない。そんなあの時代の空気感をいまに蘇らせて音楽に乗せて表現できたら、というのが最初に出た着想でした。

――山口さんもオーディションに参加されて、出演が決まったんですね？

山口　そうです。すごく緊張感ありましたが、オーディションの場に入ったらとても柔らかい雰囲気だったので、こんな中でお芝居をできたらいいな、一緒にできたら嬉しいなと思っていたところに合格をいただいたので、素直に嬉しかったです。

――オーディションでの山口さんの印象、今回の作品で期待されていることを教えてください。

山崎　オーディションの前にこれまでのご活躍はもちろん知っていました。オーディションでお会いして――まだ2～3回しかお会いしたことのない僕の印象は、ひとりの俳優さんとして、強い意思を言葉や立ち姿にしっかり乗せることができる人。 俳優として存在感がとてもある方なので、純粋に役の世界に染まっていきつつ、大勢のうちのひとりにはならない人だろうと。今回、山口さんには物語は引っ張っていくような役割、あるいは物語に対してリアクションする役割をやっていただきたいと思っています。たぶん、面白い役になると思いますけど（笑）。

山口　楽しみです!!!

山崎　元気な性格ですよね？

山口　元気です!!!（笑）。

山崎　うん、元気そうだなと思いました。オーディションでも、元気なエネルギーというかオーラを感じていましたから。

――山口さんが本作に対して楽しみにされていること、期待していることは？

山口　時代と共に親しまれてきたメロディは、お客さまも一緒に盛り上がりやすいだろうと思います。お客さまと気持ちがつながったまま物語が進んでいくと思うので、その一体感も楽しみです。あとは女性が12人いるということで積極的にコミュニケーションをとって、仲良くなれたらいいなと思っていますし、そういうのも楽しみです。グループで活動していたので女性といるのは好きですし、自分とはタイプの違う人とも仲良くできるので。

――山崎さんとって、特に思い出深い90年代の音楽シーンや楽曲というと？

山崎　モーニング娘。さん（以下モー娘。）の「LOVEマシーン」、そしてモー娘。を輩出したTV番組「ASAYAN」ですね。まさに世代でした。（山口に）わかりますか（笑）？
後藤真希さんがモー娘。の追加オーディションでメンバー入りして、すぐにセンターを務められた「LOVEマシーン」。1999年9月9日リリース、“日本の未来は 世界がうらやむ”のフレーズが日本を制覇したときから約25年。いまだにカラオケで歌います。

――90年代カルチャーへの山口さんの印象は？

山口　1998年生まれなのでギリギリなんですけど（笑）、すごく華やかなイメージです。「LOVEマシーン」はもちろん知っていますけど、「ミニモニ。」世代です。「ミニモニじゃんけんぽん！」とかやっていました。私もカラオケで昭和から平成の曲を好きでよく歌いますけど、活気がありますよね。とにかくカラフルでキラキラしているイメージ。

――特に好きな曲はありますか？

山口　山崎さんとお話ししているときにも話題にあがった華原朋美さんの「I‘m proud」、今井美樹さんの「PRIDE」も好きです。

山崎　「PRIDE」が好きなんですか（笑）。90年代ですね。

山口　「PRIDE」は母がすごく好きで、そこから覚えたんです。

山崎　アップテンポな曲だけではなく、90年代はバラードもすごく良かったですよね。

シームレスな舞台と客席、向かうのは2025年7月!?

――ところで、今作のリリースに「舞台と客席が一体となったインタラクティブな手法で」とありますが、どのような舞台になるのか、現時点で教えていただけることは？

山崎　僕は自分で「悪い芝居」という劇団と、「愛しのボカン大作戦」という演劇プロジェクトをやっているんですが、そこでも取り入れたお客さまを巻き込んだ芝居、お客さまが劇場にいる意味のある作品をやりたいと思っています。昨年上演した「愛しのボカン大作戦」の『こんなんほろんでいい世界』という作品は観劇ではなく“参劇”というのを押し出して、舞台上にお客さまを乗せてインタビューをしたりしていました。

山口　面白い（笑）。

山崎　役者さんがやる良さももちろんあるんですけど、「実はやってみたかったけど……」「でも、私なんて……」という思いで観劇されているという方も多い。みなさん、それぞれが“参加”していただける芝居をもっと打ち出していければと思ってきました。 そのことを（今回の制作の）公演プロデューサーが面白がってくださって、「参加型にしてほしい」とおっしゃっていただいて。歌に手拍子のようなことだけではなく、お客さまがもっと物語に関わってやりとりができる、客席と舞台上の垣根のない作品にしていきたいと思っています。お客さまが作品に向けてさらに一歩踏み出してほしい、というのが率直な思いです。

――音楽以外の部分でも90年代カルチャーを演出に取り入れることは？ ストーリーで「1999年7月」と「2025年7月」というのが強調されていますが……。

山崎　1999年のノストラダムスの大予言、僕はガチガチに信じていましたし、半ば面白がって「7月に死ぬならやりたいことやろう」とか思いながらできなかったんです。いま、あの頃の終末感とはまた違うものを感じていて、現実に平成の価値観がどんどん崩れていって「まさかね」という時代じゃないですか。その価値観の違いが物語にも重なるような作品にしたいとは思っています。

――最後に山口さんから、どんな作品になるのか楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

山口　幅広い世代の方に楽しんでいただける作品になるんじゃないかと思います。山崎さんが目指されている客席と舞台上がシームレスな作品は俳優として私自身とても楽しみですし、「あの瞬間に立ち会えてよかった」と思っていただけるような演劇体験をお届けできれば幸いです。ご期待ください！

取材・文／黒豆直樹

＜公演情報＞
SAKURACROSS PROJECT『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』

日程：2025年4月3日(木)～13日(日)
会場：六本木トリコロールシアター

チケット情報：
https://w.pia.jp/t/girlz99/