第6回「大島渚賞」受賞者の山中瑶子、「社会を転覆させる映画を作りたい」と涙の誓い
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左より)黒沢清監督、山中瑶子監督 撮影:内田涼
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すべて見るPFF(ぴあフィルムフェスティバル)が2019年に創設した映画賞「大島渚賞」の授賞式が3月17日、都内で行われ、第6回受賞者の山中瑶子監督が出席した。「身に余るうれしい賞。大島監督はものすごく尊敬しているので、身が引き締まる思い」だと喜びを語り、「現代の若者なので、きれいにまとまっちゃうところもあるが、大島監督のような社会を転覆させる映画を作りたい」と、涙の誓い。すでに新しい企画の構想があることも明かしていた。
山中監督は、19歳で初監督した『あみこ』がPFFアワード2017に入選した後、ベルリン国際映画祭をはじめ、多数の海外映画祭で上映され、日本女性のイメージを覆す斬新な主人公のキャラクターが注目を浴びた。「大島渚賞」の初代審査員長である故・坂本龍一は、ニューヨークの映画祭で『あみこ』を鑑賞し、当時から才能を絶賛していた。山中監督は、「1作目の『あみこ』をPFFで見つけてもらった自負もあり、坂本龍一さんにもお世話になったので、映画を観てほしかったという気持ちもある」と思いを語った。
対象作品となった『ナミビアの砂漠』は、第77回カンヌ映画祭監督週間に出品され、女性監督として史上最年少となる国際映画批評家連盟賞を受賞した話題作だ。
審査員長を務めた黒沢清監督は、「今の若い監督は、自分の身の回りのことや、心に沸き上がることを描くことにつけては、力と才能を発揮する」と指摘し、「外側に飛び出そう、壊してみようという動きと思考を持った映画はないものかと。そして、とうとうこの映画に巡り合った」と、同作を絶賛。「映画が強い力を持っていると証明したのが、大島渚。山中監督もきっとこの先、まったく新しい、風穴を開けてくれる映画を作ってくれるだろう」と期待を寄せた。
また、ドキュメンタリー監督の大島新は、「オリジナリティのかたまり」と映画を激賞。「よくこんな面白い物語と台詞を思いつくなと。それを映像に落とし込み、面白い作品にしているのが素晴らしい。どんどん海外に飛び出していく、飛びぬけた才能」だとエールを送った。矢内廣(一般社団法人PFF 理事長、ぴあ株式会社代表取締役社長)も、「ますます大活躍していただきたい」と祝福の言葉。現在、黒沢監督とPFFディレクターの荒木啓子の2人体制による審査については、「坂本龍一さん亡き後を埋めるのは大変だが、今年中には何とか決めたいと思っております」と、体制の見直しを示唆していた。
第6回大島渚賞 公式サイト: https://pff.jp/jp/news/2025/02/oshima-prize2025.html
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