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KAATラインアップ発表 デヴィッド・ボウイ遺作ミュージカルにKERA、岡田利規新作も

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KAAT神奈川芸術劇場芸術監督の長塚圭史(撮影:加藤甫)

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KAAT神奈川芸術劇場の2025年度ラインアップ発表会が3月18日に開催され、芸術監督を務める長塚圭史らが出席。デヴィッド・ボウイがプロデュースを務め、遺作となったミュージカル『LAZARUS』やケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』、岡田利規作・演出の『未練の幽霊と怪物』など多彩なラインアップが明らかに。また、新年度で芸術監督の任期最終年となる長塚だが、2026年度から5年間の再任が理事会において決議されていることも併せて発表された。

長塚芸術監督は、ラインアップ発表に先立って2024年度をふり返り、『リア王の悲劇』でリア王を演じた木場勝己が読売演劇大賞の最優秀男優賞及び大賞を、演出の藤田俊太郎が芸術選奨演劇部門・文部科学大臣新人賞を受賞するなど、高い評価を得たことへの喜びを口にした。

また、KAAT独自の取り組みにも言及。村上春樹の小説を原作に、KAATと劇団ヴァニシング・ポイントによる日英国際共同制作で3年の月日を費やして制作・上演された『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』が日本のみならず、スコットランドでも好評を博し、今後、世界中での上演の可能性があると明かした。また長塚の演出による『花と龍』で、芝居小屋の空気を再現させるべく、ステージに実際に飲食物を扱う屋台街を出現させ、飲食可の空間で上演を行うというこれまでにない試みに関しても、好評を得たと明かし、手応えを感じさせた。

2025年度は、5月から7月にかけてのプレシーズンにおいて、デヴィッド・ボウイが最後にプロデュースしたミュージカルの日本初演となる『LAZARUS』を上演。D・ボウイの新曲を含む計17もの楽曲がオリジナルの歌詞のまま劇中で使用される。D・ボウイから直々に依頼されたエンダ・ウォルシュによる戯曲で、過去に『Medicine メディスン』、『バリーターク』などウォルシュ作品に携わってきた白井晃が演出を務める。

4月下旬から6月中旬にかけては山本貴愛が空間デザインを手掛け、アトリウムにてパフォーマンスも行われる「KAATアトリウムプロジェクト」を実施。ビデオメッセージを寄せた山本も長塚芸術監督も、同劇場が周囲の住人や県民から“劇場”として認識されていないという問題点を指摘。長塚は「アトリウムという劇場の入口を活用して、人を惹きつける場所になっていけば」と期待を寄せる。

また7月には、KAATとストラスブール・グランテスト国立演劇センター(TJP)による国際共同制作のダンスプログラムとして、TJPのディレクター(総芸術監督)を務める伊藤郁女を振付・演出に迎えた『ダンスマラソンエクスプレス(横浜⇔花巻)』を上演。現代から戦後の時代をポップシーンに乗せて、9人の日仏のダンサーたちの踊りによってさかのぼりつつ、やがて宮沢賢治の物語へと誘っていくという作品で、ドラマトゥルグの部分を長塚が担う。

毎年好評のキッズプログラムでは、“宝探し”をテーマに、大池容子脚本・演出、小林顕作の音楽による『わたしたちをつなぐたび』、SPACの新作(台本・演出:寺内亜矢子)の2公演が行われる。

「虹~RAINBOW~」をテーマに掲げたメインシーズン 劇場でホッとできるものを

メインシーズンの幕開けを飾るのは、6年ぶりのKAAT凱旋となるケラリーノ・サンドロヴィッチが、セルバンテスの名作を新たな視点で描く『最後のドン・キホーテTHE LAST REMAKE of Don Quixote』。ビデオメッセージを寄せたケラは「いつか『ドン・キホーテ』をやりたいと思っていた」と明かし「世間から“夢想狂”と呼ばれる男と世の中の関係、狂気と現実社会の対立というテーマに惹かれる。妄想と現実の境目がなくなっていくことへの興味もある」とこれまで映画や演劇で幾度も描かれてきた冒険譚の“読みかえ”への意気込みを口にした。

『最後のドン・キホーテTHE LAST REMAKE of Don Quixote』出演者

KAATの劇場空間と現代美術を融合させるKAAT EXHIBITION 2025では、循環していく生命をテーマにした作品を発表しているアートユニット「大小島真木」による個展 「あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?」(仮)を開催。ダンス海外招聘作品では、ポルトガル出身のマルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラの振付・演出による『CARCAÇA(カルカサ)』を上演する。

11月には山内ケンジ率いる演劇プロデュースユニット「城山羊の会」の新作『アマンダ・Kの甘い生活』(仮)を上演。2026年2月には、<ひらかれた劇場>を目指して神奈川県内の各地を巡るKAATカナガワ・ツアー・プロジェクトの第3弾として、「西遊記」を原作にした『冒険者たち 〜JOURNEY TO THE WEST〜』(上演台本・演出:長塚圭史 共同演出:大澤遊)の再演、および『冒険者たち』シリーズ新作(作:長塚圭史 演出:大澤遊)の上演を実施する。キャストには長塚に加え、柄本時生、菅原永二、佐々木春香、成河を迎える同シリーズは、「西遊記」の三蔵法師一行が、天竺を目指す途上で神奈川県内のあちこちに迷い込むというもので、新作では長塚によると「神奈川県がメンタルに支障をきたし、バランスが狂ってしまうという問題が生じる」とのこと。

そして2月から3月にかけては、岡田利規の作・演出による『未練の幽霊と怪物』(新作)を上演。岡田が能に触発されて執筆した音楽劇で2021年にKAATで上演された『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』に続く第2弾となる。

なお、この日、発表された2025年度のメインシーズンのタイトルは「虹~RAINBOW~」。長塚就任以来、「冒」、「忘」、「貌」、「某」と“ボウ”という音で統一されてきたが、今年も一部に“ボウ”の音を含む形に。長塚はこのタイトルについて「いまの強者が勝つ社会の中で、劇場でホッとできるものつくれないか? 困難のあとの幸福の光が見えないか?」と“虹”に込めた願いを明かすと同時に「それだけでなく、色が違うということは、何かの摩擦が生まれたりする可能性もある。一見、よく見えても何か起こる可能性があるのがいまの社会」とも語り「トップアーティストがどんな作品を作り、タイトルと呼応していくか楽しみです」と期待を口にした。

質疑応答では、『花と龍』で行われた「やさしい鑑賞回」に関する質問も。「やさしい鑑賞回」は、より多くの人に演劇を楽しんでもらうための、鑑賞サポートとリラックスパフォーマンスの要素を盛り込んだ上映で、自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)などの発達障害のある人など、従来の劇場空間では芸術鑑賞に不安がある人たちも安心して鑑賞できるように配慮された公演形態のこと。専門部署とも連携した上で、照明や音響(銃声や大きな音など)の刺激を弱めたり、開演中の出入りを自由にするなど、サポート・配慮を整えて、上演が実施された。長塚は、『花と龍』でのこの試みの反響、手応えを口にし、2025年度以降も継続的に実施していくつもりであると語った。

取材・文:黒豆直樹

KAAT神奈川芸術劇場 2024年度主なラインアップ

<プレシーズン>
■ミュージカル『LAZARUS』

伝説的なロック・スターで、1970年代以後のファッションやアート、カルチャーに多大な影響を及ぼした革新者、デヴィッド・ボウイ。彼の遺作ともなったミュージカル『LAZARUS』が日本初演

音楽・脚本:デヴィッド・ボウイ
脚本:エンダ・ウォルシュ
演出:白井晃
出演:松岡充
豊原江理佳 鈴木瑛美子 小南満佑子
崎山つばさ 遠山裕介
栁沢明璃咲 渡来美友 小形さくら
渡部豪太 上原理生

ダンサー:Nami Monroe ANRI KANNA

演奏:益田トッシュ [Bandmaster] フィリップ・ウー [Key.] 松原”マツキチ”寛 [Dr.] Hank西山 [Gt.] 三尾悠介 [Key.] フユミカワカミ(おふゆ) [Ba.]

スウィング:塩顕治 加瀬友音

2025年5月31日(土)~6月14日(土)<ホール>

ツアー公演
【大阪公演】2025年6月28日(土)・29日(日)フェスティバルホール

◎KAATアトリウムプロジェクト

KAATの<アトリウム>を活用した新しいプロジェクト

空間デザイン:山本貴愛
パフォーマンス:後日発表

2025年4月下旬~6月中旬 <アトリウム>

■KAAT×TJP(ストラスブール・グランテスト国立演劇センター)
 『ダンスマラソンエクスプレス(横浜⇔花巻)』

ポップダンスカルチャーの特急列車に乗って時代を駆け上り、いざ、宮沢賢治の織りなす幻想世界へ

振付・演出:伊藤郁女
ドラマトゥルグ:長塚圭史、Améla Alihodzic
出演:湯浅永麻 Aokid 岡本優 リンノスケ 山田暁
Noémie Ettlin、Louis Gillard、Issue Park、Léonore Zurflüh

2025年7月11日(金)~7月13日(日)<大スタジオ>
ツアー公演
【フランス公演】10月
TJP - Centre Dramatique National Strasbourg - Grand Est
CDN de Normandie-Rouen – Les Anges au Plafond

■KAATキッズ・プログラム2025
 『わたしたちをつなぐたび』

劇団「うさぎストライプ」を主宰、気鋭の劇作家・演出家として注目を集める大池容子が、少女が自らの出生をめぐる旅に出るすがたを情感豊かに描く、イギリス人作家イリーナ・ブリヌルの傑作絵本を舞台化

作:イリーナ・ブリヌル 脚本・演出:大池容子 音楽:小林顕作

2025年7月下旬<大スタジオ>
※7月26日(土)・27日(日)は『SPAC新作』との2演目同日上演

■KAATキッズ・プログラム2025
 『SPAC新作』

長年SPACで俳優として活動し、近年は演出家としても活躍目覚ましい寺内亜矢子を演出に起用し、子どもたちの自由で豊かな発想力を用いて物語を進めていくインタラクティブな演劇作品を創る

台本・演出:寺内亜矢子
出演:SPAC/大高浩一 舘野百代 榊原有美 杉山賢

2025年7月26日(土)・27日(日)<大スタジオ>

<メインシーズン「虹~RAINBOW~」>
■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
 『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』

あの名作のリメイク決定版⁉︎ KERAが新たに読みかえる「ドン・キホーテ」

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:大倉孝二
咲妃みゆ 山西惇 音尾琢真 矢崎広 須賀健太
清水葉月 土屋佑壱 武谷公雄 浅野千鶴 王下貴司 遠山悠介
安井順平 菅原永二 犬山イヌコ 緒川たまき 高橋惠子

2025年9月中旬~10月上旬<ホール>

ツアー公演
2025年10月〜11月
【福岡公演】J:COM北九州芸術劇場 中劇場
【大阪公演】SkyシアターMBS
ほか予定

◎KAAT EXHIBITION 2025
 大小島真木展「あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?」(仮)

命が生まれ、育まれ、やがて自然に還り循環していく。そのすべてを包み込む胞衣。劇場に命が繋がっていくことへの祈りを捧げる場を生み出すインスタレーション作品

作家:大小島真木

2025年9月21日(日)~10月19日(日)<中スタジオ・アトリウム>

■ダンス海外招聘作品
 『CARCAÇA(カルカサ)』

パワフルなダンスが語るポルトガルの現在地

振付:マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラ
音楽:ジョアン・パイシュ・フィリプ ルイシュ・ピシュタナ
出演:アンドレ・スピーディ ファビオ・クレイズ レオ・ラモシュ
マルク・オリヴェラシュ・カーザシュ マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラ
マルコ・タバルシ マリア・アントーヌシュ マックス・マカウスキ メラニー・フェレイラ
ネルソン・テウニシュ ナラ・レヴロン

2025年10月24日(金)・25日(土)<ホール>

■KAAT×城山羊の会
 『アマンダ・Kの甘い生活』(仮)

山内ケンジの新作、熱烈なリクエストに応え実現

作・演出:山内ケンジ

2025年11月<中スタジオ>

■KAAT カナガワ・ツアー・プロジェクト 第三弾
 『冒険者たち 〜JOURNEY TO THE WEST〜』

上演台本・演出:長塚圭史(原作:呉承恩「西遊記」)
共同演出:大澤遊
音楽・演奏:角銅真実

『冒険者たち』シリーズ新作

作:長塚圭史
演出:大澤遊
音楽・演奏:角銅真実
出演:柄本時生 菅原永二 佐々木春香 長塚圭史 成河

KAAT神奈川芸術劇場が<ひらかれた劇場>を目指し、より多くの県民へ向けて、神奈川県内各地を巡演するプロジェクト第三弾

2026年2月<中スタジオ>

ツアー公演
2026年2月~3月
横須賀市、川崎市、鎌倉市、藤沢市ほか、神奈川県内を巡演予定

■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
 『未練の幽霊と怪物』(新作)

目に見えないもの、霊的な存在がその想いを語る「夢幻能」の構造を借り、岡田が問うものはー

作・演出:岡田利規
音楽:内橋和久
謡手:里アンナ

2026年2月~3月<大スタジオ>

ツアー公演
2026年3月
【兵庫公演】兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【新潟公演】りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
【京都公演】ロームシアター京都 サウスホール

■YPAM ‒ 横浜国際舞台芸術ミーティング 2025

2025年12月上旬〜中旬<ホール>ほか

【共催プログラム】
■神奈川県芸術舞踊協会 第41回芸術舞踊展
「アートダンスカナガワ No.13」

2025年11月1日(土)・2日(日) <ホール>

■NDT2[Nederlands Dans Theater]『ネザーランド・ダンス・シアター 来日公演』

2025年11月21日(金)・22日(土)<ホール>

■かながわパフォーミングアーツアワード2026 ファイナル

2026年3月 <大スタジオ>

【提携公演】
■神奈川県演劇連盟 TAK in KAAT Theater Company 夜明け 『Blue Moment』

2025年5月29日(木)~6月1日(日)<大スタジオ>

■Shake&Speare!!Stage 宮川彬良×木村龍之介 『ナツユメ』

2025年6月6日(金)~8日(日)<大スタジオ>

■OrganWorks2025-2026 『ショウメイコウ / show me a code - 未明詩 side -』

2025年6月19日(木)~22日(日) <大スタジオ>

■ナビロフト『りすん 2025edition』

2025年8月7日(木)〜10日(日)<大スタジオ>

■ブレラ美術館『こどもとおとなのオペラプロジェクト』

2025年8月16日(土)・17日(日)<大スタジオ>
1幕:オペラシネマ『ペレグリンと大きな魚』/2幕:オペラ『エマと青いバク』

■神奈川県演劇連盟 TAK in KAAT theater 045 syndicate 『真夏の夜の夢』

2025年8月21日(木)~8月24日(日)<大スタジオ>

■オペラシアターこんにゃく座 オペラ『変身』

2025年9月20日(土)〜9月23日(火・祝)<大スタジオ>

■CCCreation 『近松心中物語』

2025年10月18日(土)~10月26日(日)<大スタジオ>

■まつもと市民芸術館 『チェーホフを待ちながら』

2025年11月13日(木)~16日(日)<大スタジオ>

■ゆうめい 10周年全国ツアー公演『養生』

2025年12月<大スタジオ>

■ヨウ+『中村蓉 新作ダンス公演2026』

2026年1月16日(金)〜1月18日(日)<大スタジオ>


※その他取り組みについてや各公演の最新情報は、劇場公式サイトにてご確認ください。

KAAT神奈川芸術劇場公式サイト
https://www.kaat.jp/

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